BTS 7人の「声」の色、形、景色

声優オタクの絵描き兼物書きが、BTSの「声」の魅力を音楽用語を使わずに文字で伝えてみようとする。の巻

七色の声

あれは2021年も半分程過ぎた頃の事。
始めは7人の顔も声も区別がつかず、ファミマでグクのコーヒー買ってきて!と娘に言われて連れて帰ってきたのがSUGAとJINだった、など、暫くの間ふわふわした距離感だった私とBTS。
その後娘のレクチャーを受け、CS放送でライブ映像とバラエティーも何本か視聴。満を辞して挑んだ7月9日、PTDの初披露配信でめでたく個々の顔と名前と声が一致したと同時に、私は新しい世界に降り立っていました。

ビジュアルやダンス、楽曲などその魅力に迫るに当たってテーマに事欠かない彼らなのですが、特に私が気になるのが「声」。
声優オタク歴30余年の私は彼らの声のチカラに興味を持たずにはいられませんでした。

音域から質感までこれ程それぞれが個性的で多様な声を擁するグループと言えば、二次元と三次元を全部ひっくるめても同じ7人組のST☆RISHくらいしか思い浮かびません。

BTSは全員の表現力が桁違いで、どの声に注目しても疑問がなく、ボーカルとラップのバランスが絶妙で相乗効果は天井知らず。

また、タルバンのアフレコ回とV LIVEのFM06.13企画も聴きましたが、アフレコも朗読劇もプロレベルというスキルお化けが揃っている事がわかりました。
いや、ほんとに…めっちゃ驚きました。
歌と素面の演技ができても声の演技となると技術が足りないって方がほとんどですが、ちょっと引くレベルでみんな上手でした。

そしてここからはメンバーそれぞれの声を、絵描きと物書きをしている自分の感性で、なるべく音を表す既存の言葉に頼らずに表現してみたいと思います。

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JINの声

ジンくんの声はペールトーンのシトラスカラー。
カラッとした明るさの中に程良く熱を帯びた初夏の陽射しに、くっきりと浮かび上がる光と影の境界線。
ピカピカに磨かれた鏡みたいな潔さ。

SUGAの声

SUGAの声は深めのブルーグレー。
うねり叫ぶ真冬の海の色。
切っ先みたいな鋭さに加え、海原のような広さと大きさも感じる両極性。
温度は常時低め。ただし不意に温くもなる。

J-HOPEの声

ホビの声はビビットなビリジアングリーン。
夏の余韻の中に混じる確かな初秋の気配。
突き抜ける空を自由に舞い踊る鳥が魅せる軌跡。
風にめくれるページの変幻に感じる小気味良さ。

RMの声

ナムさんの声はアンバー系のグラデーション。
ふっかふかに積もった落ち葉の絨毯。
熟れた果実が持つ湿度と確かな質量。
拳で叩く胸の鈍い痛み。それを寛容する柔軟さ。

JIMINの声

ジミンちゃんの声はホワイト。
言うなればプラチナ。
輝きに満ちた目覚めの朝。芽吹きの春。
シルクのヴェール。天女の羽衣。
霧煙る湖面に落ちる完璧なまでの弧を描く波紋。

Vの声

テテの声はボルドーの分厚いベルベット。
雪の日の暖炉の前で感じる特別な温度感。
冷えた指先が熱を取り戻す時の、あの痺れ。
沈むような座り心地の大きめシングルソファー。

JUNG KOOKの声

グクの声はリッチブラック。
ありとあらゆる色を集結させた、虹をも映す艶やかな濡羽色。
角度によっては透けるようなクリスタル。
撫でる度に思わず違う所で手が止まる、小さなささくれが残る無垢材の温もり。

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…いかがでしたでしょうか。
なぜこのような事を書こうと思ったかと言うと、彼らがPermission to DanceのMVにおいて手話を採用し、音声に頼らない発信をした事に感銘を受けたからです。

音楽を生業とするアーティストが音声に頼らない表現を選択し、そこに必要性を感じている。とんでもなく目から鱗でしたし、心から尊敬しました。

そして、彼らが持つ声の魅力は確かなものなのに、それらが限られた人にしか伝わらないのがもどかしくなりました。

ここに書いたそれぞれの色、形や景色は私の主観でしかありません。でももしかしたら、どこかにいるARMYさんの目に止まった時、今まで開かなかった扉が開くきっかけになるかもしれない。そう思って書きました。

声って声紋認証が成立するくらいですから、極めてパーソナルな唯一無二の宝物だと思うのです。
彼らの声の輝きは彼らの人間性を象徴するものであり、彼らがどれ程自分を大切にし、磨き上げてきたのかを理解する為のひとつの断面なのだと思います。

声優さんたちが口々におっしゃる言葉の中に、「年齢と共に変わる声と上手く付き合いたい、歳を取ったら取ったなりの声を操って、年相応の演技ができるようになるのも楽しみのひとつだ」という旨のご意見があります。

長くBTSを続けていきたいと願う彼らの声が、今後どんな変化や進化を遂げていくのかも楽しみでなりません。


最後まで読んで下さりありがとうございました。

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