眠りと痛みのタイミング

 Pさんは、睡眠の不調でお困りのお客さんです。
 入眠はわりと簡単で、布団に入れば30分以内にはぐっすり深く寝入っている。ところが3時間ほどで目が覚めて、そこからは胃が痛くて眠れない。結局、毎晩、まとまって眠れるのは3時間程度、という日々を過ごしておられます。

 もちろん睡眠状態がそれですから他にも不調はいろいろおありで、その辺りのことはもうちょっと改善してから記録しておきたいと思っていますが、今回は、そのPさんからお聞きした眠りと痛みのタイミングについて書いておきます。
 ふだん寝つきの良いPさんが、その日は珍しく寝付けなかった。それで、胃の痛み具合を観察していた、というのです。

 それによると、寝転がって1時間の時点では痛くなかった。それが2時間半を過ぎた頃から痛くなり、3時間の時点では激痛になっていた。
 これが、私には意外でした。
 立っている姿勢と寝転がっている姿勢では関節にかかる力やそれを支える筋肉の働き方が異なりますから、筋肉に由来する痛みの場合は、寝転んだ姿勢になってすぐから徐々に始まるだろうと想像しています。要は、寝転んだ直後からすでにいくらかは痛い、ただ、痛みより眠気が勝つから、しばらくは眠れる。そして眠りのサイクルが一巡して浅くなり、痛みの程度が耐えきれなくなったタイミングで目覚める――Pさんもこの感じなのだろうと想像していました。が、違っていました。

 「私の想像と違ってました!」Pさんに言うと、Pさんご自身も寝転んで2時間以上痛くなかったことは意外だったようで、「そうでしょう!」。

 同じ姿勢を続けていて、褥瘡じょくそう(いわゆる床ずれ)のもとというか種というかができ始めるのが2時間、と聞いたことがあります。これは自分の身体の重みで皮膚・血管がつぶれて起こるわけですが、寝転んだ姿勢で胃が背中側に垂れて体内で褥瘡的になったりする、みたいなことがあったりするのでしょうか? あるいは神経・血管関係が引っ張られて悲鳴を上げるとか??

 Pさんには、興味深い観察結果を教えてくださったことにお礼を言いつつ、今度同じ状態が起こった際にはちょっと立ち上がって軽く身体を動かして、そこから改めて寝ようとして、3時間、痛まずに済むかどうかを実験してみてください、とお願いしました。
 寝て3時間で痛みは出るけど、ちょっと動かしたらまた針はゼロに戻る、であるなら、3時間×2セット、3セット、みたいな寝方ができるかもしれません。もちろん、理想はぶっ続けで7時間眠ってほしいし、整体屋としてもそれを目指して手を尽くしているわけですが、先行して、裏技的にでも睡眠時間が増やせるなら、絶対、そのほうが良い。

 寝て、朝起きたらここが痛い、という人はちょいちょいおられますが、筋肉系の痛いと今回Pさんが教えてくださったような痛いは、ちょっと区別して理解しておくほうが良さそうです。Pさんには大事な勉強をさせてもらいました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?