コロナの後遺症と整体

 遠方から、初めてのお客さん(Pさん)に予約いただきました。主訴はPTSDとコロナの後遺症……って、どちらも整体屋の守備範囲内なのかなあ……戸惑いはありましたが、お電話で聞く限り、〈施術できそう〉の印象を持ちましたので、お引き受けしました。まあ、きっと、何か私にできることはあるんだろう、と。

 来院当日、受付票にケガ歴などを書いてもらうと、見事にケガをされていない。……うーむ。私はケガの痕に施術するのがメインの仕事なのだけど、ホントにできること、あるのかな……いよいよ戸惑いながら施術を始めると、みぞおち・背中を中心に、ごりごり施術はできる。みぞおち、ということは、PTSD系の、交感神経系(? 仮)の施術をしているのか?と思わないでもないけれど、何だかあんまり〈がっつり神経系!〉という手応えでもない。神経の施術、というより手応え的には皮膚・筋肉への施術に近いけれど、場所的にはモロにみぞおちなので……もしかして腹筋系なのか、な?
 施術の構造はいまいち理解できないながらも、手作業のほうはどんどん進む。嫌な硬さで凝り固まっていた背中の真ん中がごりごりほどけたら、見た目にもくたっとPさんの緊張はほどけて、よしよし、良い感じ。理屈は何だか分かりませんけど、まあ、結果オーライということで。

 遠方からのご来店だし、ケガ歴も全然ないようだし、もう来られることはないだろう、と、勝手に思い込んでいたら数日後に再度ご予約いただきました。訊くと、コロナの後遺症が楽になったので、もう一押し、受けておいたほうが良い気がする、とのこと。なるほど。しかし改善したのはPTSDではなくコロナ後遺症のほうだったのか……。うーむ……ますます分からん。

 Pさんのコロナ後遺症は呼吸のしんどさと背中の凝り、睡眠の不調で、それが緩んだということは、やっぱり初回の私の施術は肋間筋その他に効いていた、と、考えられそうです(。眠りも肋骨と関係する)。とすると神経系ではなく筋肉系の施術をしていた、という理解で正しそうですが、じゃああれは腹筋への施術だったのかなあ……。
 Pさんへの再度の施術は、前半が初回からの続きでみぞおち・背中及びその他の皮膚・筋肉系への施術、後半というか終盤に至ってようやく、いかにも神経系な手応えの施術がみぞおちにできました。うまくすればこれがPTSDに影響するかもしれません。私としては、是非とも!そこに期待したい。

 分からないのはコロナの後遺症で、結局のところ実体は何なのだ……が、気になります。もともと抱えていたしんどさが、意外に根深い性質の感染症による体力低下で悪化・顕在化した、ということなのか、あるいは新型コロナという一種独特なウイルスそのものの有害さによって皮膚・筋肉にまで影響が及んだ、ということか。循環器系に悪影響があるとは言われているようなので、そちらの関係で血管絡みなのかもしれませんが、それで何で私は腹筋に施術するのか。ここがちっともわかりません。肺で炎症が起こるから、腹が緊張する、とかあるのかしら??
 コロナ後遺症には少なくない人たちが困っているらしい噂は聞くけれど、実体は調査・研究されているのでしょうか……不勉強なもので、私は知らないのですが。

 Pさんからお聞きした感想で印象深かったのは、「コロナ前の、ふつうに動いていたときの感じに戻って、懐かしかった」というもので、いかに悪化が急激だったかがわかります。
 大抵の場合、時間をかけて悪化した症状は〈ゆでガエル〉的にじわじわ悪くなるので、以前の〈楽だった状態〉は実感を伴って思い出すことが難しい。しかしPさんの場合、がたっと悪くなっていた呼吸状態その他が、ぽっと良くなったからこそ、〈戻って、懐かしい〉という感想になるのだなあ、と、感慨深く納得しました。いやはや、楽になられて良かったです、めでたい。

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