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道が見えてきたかも

ホームセンターにやってきた。
版画用の版木を探すためである。

自転車で来たので、駐輪場に停める。
閉店1時間半前なのに、駐輪場はまばらに埋まっていた。
浮足立つ気持ちとは裏腹に、停める場所がなかなか見つからない。
ようやく自転車と自転車の隙間を見つけて、自転車を差し込む。
一応、鍵とチェーンをかける。

ホームセンターに来たのは久しぶりだが、ウキウキする。
ホームセンター、好き。
正直、テーマパークに連れて行ってもらうより、大型のホームセンターに連れて行ってもらう方がよっぽど楽しい。
さすがにそれは言い過ぎか。

ホームセンターの入り口脇には園芸コーナーがあった。
本当は、木材コーナーに行きたいのに、お花に吸い寄せられた。
お花の株がこれでもかと言わんばかりに所狭しと置かれている。
お花っていいなと思うけど、今日は自転車で来たし、持って帰れなさそうだ。

それに、いままで生き物を育てたことがほとんどない。
小学校の宿題で育てた、プチトマトと朝顔。
あとは、小学校の帰り道に捕まえたカマキリとカブトムシ、ザリガニくらいだ。

いのちの火が小さく細いものは、季節を越えられずに死んでしまうのが辛くて、自宅に招くことができない。
植物は、種を残してくれるけれど、その種から出た芽は、種を残した植物とは別の個体に思えて、なんだか植えられない。

私の母は、カレーリーフとかバジルとかそういう食べる物を育てているので、食べ物ならいいかなぁと思わないでもない。

いやいや、こんなことを考えている場合ではないのだ。

足早に木材コーナーへ向かう。
幸いにも入口をくぐってすぐの左側にあった。

版画に使えそうな板を探す。
目が緻密で硬い木が版画に向いているそうだが、正直、目で見て、表面をなでてみても、サラサラか、ザラザラか、くらいの違いしか分からない。

引き続き、首をひねりながら、板を触り歩いた。
いくつかの棚を通り過ぎて、ある板を触った時にとてもサラサラで、足を止めた。

棚の値札にはMDFボードと書いてあった。
そして、とても安い。
思わず直感で、これだ!と思ったが、持って帰れるサイズでは売られていなかったのと、裁断コーナーの営業時間が過ぎていたので、今日のところは断念した。


家に帰ってから、MDF材という素材を調べてみた。
MDF材は、木材繊維を強い力で加圧しており、硬度が高い。
一方で、湿気に弱く、カビや腐食が発生する可能性があるとのこと。

江戸時代の浮世絵は、初摺で200枚程度刷られ、1枚あたり蕎麦1杯と同等の値段で売られていたそうだ。

しかし、私1人で200枚も摺れるわけがないので、水に弱かろうが別にいい気がする。

MDF材いいね、いいね。
可能性、広がるね。

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