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人生にもスパイスを

昼休み、パン屋さんにパンを買いに行った帰りに、駅前で女子高生を見た。

物珍しくて、すごく見てしまった。

なぜかというと、彼女たちがただの女子高生ではなく、ギャルと呼ばれるファッションをしていたからだ。
幻のルーズソックスを履いていた。一体どこで買えるのだろう。

立山でライチョウのヒナをみつけたときくらいの感動があった。

ギャル文化は、私が現役だったころにはもう既に絶滅状態にあったような気がするのだけど、いま再燃しているのだろうか。

それはどうでもいいことだけど、道のド真ん中で塊になって談笑する彼女たちは、それなりに通行の妨げになっていたが、それを毛ほども気にせず、彼女たち特有の言語を使い、特有の笑い方をしていて、なんだか楽しそうでいいねと思った。

きっと彼女たちは、大人になって過去を振り返ったときに、あのときは楽しかったねと言えるのだ。

自分の学生時代を振り返っても、楽しかった記憶が思い出せない。
そもそも楽しかった出来事があったのかどうか疑わしい。

苦悶と疲労を顔に浮かべ、ため息をよくついて、いつも下を向きながら歩いていたし、常に何かしらに対して苛ついていたような気がする。

過去に戻れるチャンスがあったとしても、どの瞬間にも戻りたくはない。
やり直す必要もないし、追体験もしたくない。
地獄に落ちることよりも嫌だ。

ただ、現在の時間軸に何の影響も及ぼさずに、過去へ行って現在に帰ってこられるのなら、もっと無駄な時間を過ごしたり、他人に迷惑をかけておくべきだったなと思う。

もっと学校をさぼっておけばよかったし、

感情をぶちまけて、友達と喧嘩すればよかったし、

ふざけて、先生に怒鳴られておけばよかったし、

浪人も、留年もすればよかったし、

理不尽なことに反抗すればよかったし、

どうしようもない人と交際してみればよかったし、

同級生と、いい関係を築く努力をすべきだったと思う。


私の人生には、雑味が足りないのだ。

子供のころに描いた未来予想図を、多少の誤差はありつつも、進路を変更せず、順調に目的地へ進んでいる。

だけど、「このままでいいのかな」と思う気持ちが大きくなって、未来への推進力を殺いでいくのを感じるようになってきた。


だから、彼女たちには精いっぱい他人に迷惑をかけて、好きなことしていいんだよと言いたい。

少なくとも、他人に迷惑をかけて許されるのは、学生のうちだけなんだから。