何もしてあげられない
人生こんなことあるんだってことが起きた。
1回目は、自分のうっかりなのかもしれないと思ってさほど気にしないでいたが、用心深く気を付けていたのに、また同じことが起きた。
事情を知る人からは、「怖かったね」と背中をさすってもらったけれど、怖いというか、驚いて呆然としてしまっている、というか。
誰のせいなのかわからないし。
幸いなことに、被害はほんの少しだけだった。
無意識に、仕事を辞めないといけないのかなとか、
引っ越さないといけないのかなとか、考えてしまう。
そこまでする必要ないのに。
最近noteを何日もサボってしまうのはそのせいなのかもしれない。
いや、まあそれは違うか。普通に意志が弱いだけだ。
環境に変化があったからって書けないなんてことないはず。
あぁ、もう、不甲斐ない…
もっとしっかりしなきゃ。
夕食を済ませて、夜が深くなってから散歩に出かけた。
思いっきり、走りたい気分だった。
線路沿いにまっすぐ伸びる遊歩道を、左腕で胸を押さえながら駆け抜けた。
全力で走ったのなんていつだろう。胸が重い。
学生のときから走りは抜いてきたから、もしかしたら小学校の運動会以来かもしれなかった。
折り返し地点にかけて上り坂になっていたので、負荷を感じながら膝を交互に入れ替えて走っていたら、まぁでも、いいやと思った。
わざわざ悪事に手を染めたのだ。
よっぽど困っていたのかもしれない。
それに、私も困り果てて死んでしまうというわけでもない。
だから、もういい。
助けたとも思ってない。
その人は救われたわけではない。
私がこのまま何もしなければ、また繰り返すのだろうと思う。
罰を受け損ねたから。
折り返し地点の信号機が青に変わるのを待ちながら、腰に手を当てて、吸って吐いて、体内の空気の入替をする。
かわいそうだと思った。
何もしてあげられない。
私はどうにかしてそうならないように回避する。
次はない。
折り返しの道は、ゆっくり歩いて帰路についた。