![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/141329616/rectangle_large_type_2_b0f266b9350f19013d541444367b4457.png?width=800)
もう言わないから
昨日のnoteを読み返していて、どうやって人を叱ればいいのかと首をかしげていたら、ここ1年半間で友人に叱られたことをいくつか思い出した。
その日、私と彼女は東京駅近辺で飲食店難民になっていた。
丸の内口から八重洲口方面に向かいながら、食べたいものに近い店をしらみつぶしに回っていて、ヤエチカでようやく理想的な店を見つけて、席に着いた。
席について「これにする?」「あれもおいしそうだよね」とわちゃわちゃしながら注文を決めて、料理を待ちながら、今日お互いが撮った写真を見せ合ったりして、その日の出来事を振り返っていた。
しばらくして料理がきて、「んー、おいしいねぇ」と笑い合ったりして、とても楽しかった。
食事が中盤になり、お互いの近況報告を一通りしたあとで、私はうっかりしていた。
うっかり、
「早く死んじゃいたいね」
と口から出た。
「たくさん歩いて疲れたね」って言いたかったのに、なぜかその言葉が口から出た。いままで、その言葉を言ったこともなかったし、ひとりの時でも絶対に言わないように気を付けてすらいたのに(すみません。noteには何度か書いたことがあるかもしれません)。
自分でも驚いて、彼女の顔を見ながら固まっていた。すると、彼女は咀嚼していたものを飲み込み、茶碗と箸を丁寧に置いたあと、私の目をまっすぐ見て、
「いくらのぞみちゃんでも怒るよ?
そんなことしたら、絶対に許さないから。」
と言った。
彼女は、私に対していままで1度も怒ったことが無かったのだけど、彼女は明らかに怒っていた。
私は驚きの連続で、咄嗟に
「うん。ごめんなさい。」
と謝った。その謝罪は素直な気持ちだった。
そのあと、彼女が話題を変えてくれて、さっきまでのことはなかったように過ぎ去り、彼女を駅の改札まで見送って別れた。歩いて帰りたい気分だった。
帰り道を歩きながら、私が彼女に同じことを言われたとしたら、どうしただろうかと考えた。
たぶん、「そうだね」って言って、笑って、彼女が本気でそれを望むなら、一緒に身投げでもなんでもするだろうと思った。彼女と違って私は弱いから。
その反面、何も聞かずに怒るだなんてひどいじゃないかとも思った。
きっと、私が軽い気持ちでそれを言ったから、怒っていたのだろうと思う。
確かに言おうと思って言ったわけではなかったが、無意識に言ってしまうほどには思いつめることがあったのだ。
いまになって振り返ってみると、叱られたときの感情に、”しょんぼりする気持ち”と”理不尽さに対する反抗”が含まれていて、両者が拮抗すればするほど身に染みるし、どちらかが強すぎると反省しなくなるような気がする。
本当に他人事だけど、叱るのも簡単じゃないなと思った。
世のお父さんお母さんは大変だ。
あまり叱られてこなかったから尚更そう感じる。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/141329591/picture_pc_7961fb4bd9339247fcc6d0dd6bea60bf.png?width=800)