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ゴミ収集車がいないゼロウェイスト・タウン。実現できた「切実な理由」

水曜と土曜が待ち遠しい——。

この日は私が住むエリアの、可燃ゴミの収集日。プラスチックのトレイや牛乳パックはリサイクルに出していても、収集日にはゴミ袋がいっぱいになります。

以前、オーストラリアに住む日本人の方にインタビューしたとき、「4人家族で、1週間に出る可燃ゴミは両手のひら分だけ」と聞きました。エコ先進国だからできるのであって、日本では難しいのだろうな……。

昨年徳島県・上勝町へ旅をして、それは思い込みだと知ることになりました。
ゼロ・ウェイストアクションホテルを掲げる「HOTEL WHY」に泊まり、併設された上勝町のゴミステーションについて説明を聞いたときのことです。

ゴミは45分類され、かつ瓶や新聞紙、乾電池などそれぞれのゴミのカゴには「プラス◯◯円」「マイナス◯◯円」とついています。そのゴミを処理することで自治体にお金が入ってくるのか(プラス)、出ていくのか(マイナス)、数字はその額を示しているとのこと。

説明を聞いているときにも、ゴミを持ち込む住人の姿がちらほら。このゴミステーション、匂いがしません。生ゴミは各家庭で堆肥化し、それ以外のゴミも洗って「持ち込む」から。

そう、上勝町にはゴミ収集車がいないのです。全てのゴミは住民が各自ステーションに持ち込む。それも細かく分けて。なぜこれができているのか? すっかり取材モードになって聞きました。

「もともとはゴミを野焼きしていたのですが、ダイオキシン問題で禁止になった。ゴミを処分するのに大きな焼却炉が必要だったのですが、自治体で持つにはお金がなく、残された道は市町村合併。町が消えるか、それともゴミを分別して減らすか、の2択だったんです」

明快な答え。その言葉には照れながらも誇らしさがにじみ出ていました。
各家庭には、洗濯物を干すものとは別に、プラごみを干す専用のピンチハンガーが常備されているそうです。

(2023.9.14)

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