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なぜ私たちはわかりあえないのか?羊のハルちゃんが教えてくれたこと

毎週書いているこのエディターズレター。これまで同じ人の話は書いてきませんでしたが、もう一度書きたいのが福嶋誠さんのこと。

群馬県・北軽井沢で、予約の取れないキャンプ場をはじめ、焚き火ができる研修施設なども手掛ける「きたもっく」の創業者で現役社長です。

30年前、荒野にたった一人で木を植え始めた福嶋さんは、どういういきさつか忘れてしまいましたが羊を飼うことになったとか。しかしその羊「ハルちゃん」は全然懐かず、ハルちゃんに向き合いながらも手を焼く日々……。

ある日、思い立ってハルちゃんと「向き合う」のではなく「同じものを見る」ようにしてみたそうです。ハルちゃんが首を伸ばして浅間山を見たら浅間山の方を向き、近くの草花を見たら福嶋さんもそっちを見つめる。続けるうち、ハルちゃんに変化が表れ、関係が変わっていったと言います。

そこから、人と人も対面ではなく、同じもの——この場合は焚き火の炎——を一緒に見ることで、より良い関係を築くことができるのではないか、と同社の焚き火事業(とでも言うのか)につながっていきます。

この2〜3年、『「わかりあえない」を超える』『わかりあえなさをつなぐために』など「分かりあえなさ」をテーマにした本が続けて出版され、無意識に読んでいました。

内容はここに書き切れませんが、あえて絞るなら「分かりあえないことを理解する」から始めること。ハルちゃんの話を聞いた後は、より深く心に入ってきそうです。

(2023.10.26)

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