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「そうか、そうか。」という感じで、いる。
夫はいつも平常運転である。
仕事の状況によっては快速だったり、特急だったりするのだと思うが、
基本的に急いでても急いでなくても、見え方としては平常運転である。
なので安心感がある。
いつも「そうか、そうか。」という感じの間合いを保っている。
私はよく身の丈に合わない挑戦をしたりする。
そしてすっ転んでは、落ち込んだりしている。
ジタバタしてたり、混乱してたり、右往左往してたりする。
涙が止まらない日もあれば、イライラしている日もある。
夫は、そんなときも「そうか、そうか。」という感じでいる。
平常運転である。
私のバロメーターの振れ幅は、すごい勢いで揺れていても、夫は平常運転なので、私は元の位置に戻っていく。
落ち込んでいたかと思うと、元気になったりもする。
どんどん自分の好きなものを見つけて、好きなことを言い始めたりする。
突拍子もなく、
「フランスのボルドーに行きたいんだよね。」
と言ってみたりする。
「それは、いいね。」と楽しそうに聞いている。
そして、フランスにある建築の話をする。夫は建築が好きで、建築の仕事をしている。
なんというか、そこには、表層のモノが介在していなくていい。
互いの好きなものが"フランス"という共通項を通して、重なっていて、広がっている。
夫は建築が好きなだけでいい。私からしたら、知らない建築の世界を知ることができるという期待が広がり、価値になる。
夫からすると、私が好きなものを好きなだけで、良さそうな様子である。
一見するとわかりやすい表層に向かおうとするよりも、私自身が好きなものを好きだと言えば言うほど、良さそうなのである。
そんな夫を見ていると、自分は自分のままでいいんだなと思えるようになる。
夫は、どんなときも「そうか、そうか。」という感じでいる。
何が起きても変わらないのだが、私が元気だと「元気そうだな。」という顔をして、私の様子を捉えている。
私は自分の欲しいものを人に気軽に言えない。
夫には唯一、自分の頭の中を出してみることができる。
欲しいものとは、物理的なものというよりは、在り方だったりもする。
こんなことがしたい。なぜならこう思うから。
こんなものがほしい。なぜならこう思うから。
こんな風になりたい。なぜならこう思うから。
自分の欲しいものを自分の思うままに出している。
それを聞いて、いくら無茶なことであっても、
「そうか、そうか。」と聞いている。
叶うといいね、という様子で聞いている。
そしてそこに夫と重なりのあることであれば、どうやったら叶えられるかを一緒に考えてくれる。
いつも「そうか、そうか。」でいてくれるのは、安心感がある。
私がうまくいっても、いかなくても、こうして生きていられるのは、「そうか、そうか。」と受け止めてくれる存在があるからなのだなと、感じている。
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