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冬の葬礼

光凍る冬至過ぎ

逝った猫に捧げる言葉を探していた
「ありがとう」「ごめんね」
ありあわせの棺
赤い造花
小さなぬいぐるみ

骨になったら拾うつもりの浅い墓

後ろ髪引かれて  埋めたくない硬いその体に毛布をかける

静寂に呆ける人間

猫よ

人はおまえを愛したつもりでも
謝らなくてはならないのだ

気分次第で可愛がり、時に邪険にしたりした
私はおまえの純粋な愛情を妬んでいた

自分からいつしか失われてしまった愛にくるまれた、その命を気がつくと叱っていた

それでも懐いてくる無垢な魂に本当に悔しささえ覚えたのだ

猫よ
おまえに遥か及ばない我のこの狭い心を抱いて
天に登って行ってくれ

おまえに救われた多くの時を抱いて
光とともに


#猫     #現代詩     2019.2.11
#宮崎日日新聞掲載

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