特にきっかけがなくても人は変われるのか？

もうすぐ31歳になる。30代に入って、自分以外の人もできるだけ幸せになってもらいたいと思うようになってきた。

別に20代以下の時代に、それほど人の不幸を願っていたわけではないのだけど、自分さえ良ければ、という思いのほうが強かった。

なぜそういう気持ちになってきたのか、特にきっかけは思い当たらない。単純に年齢を重ね、仕事にも慣れて、人を慮る余裕が出てきたのかもしれない。ずっと貧乏で、明日の食うものにも困って、常に寝不足で、周りに嫌な人間ばかりだったら、そういう気持ちにはなれなかっただろう。

あとは、人に頼ることに抵抗感が少なくなってきた。自分一人の力の限界を覚え始めたというか、単純に人間一人の力って大したものじゃないと思うようになった。ある程度は自分で何とかしようと今でも思っているのだけど、この「ある程度」の範囲がけっこうゆるゆるになってきている。今まで一生懸命、火打石で火をおこそうとしていたのが、「ライターでよくね？」と気軽に思えるようになってきた感じだ。

人との会話も楽しめるようになってきた。飲み会は基本嫌いなのだが、気の合う人なら行ってもいいかという気分になりやすくなった。いまは新型コロナウィルスの影響でそんな機会もないが、今後行けるようになったら気軽に応じると思う。

逆に嫌なことは断れるようになってきた。それこそ大人数の飲み会は行かない。お酒が得意じゃないこともあって、親しい人から誘われても、気分がのらなければ嘘をついてでも断る。これは立場が多少なりとも上になってきたからできることかもしれない。

全体的に、もしかして僕は、大人になったのかもしれない。

人におごれるくらいのお金を持つことができている。仕事で質問する側ではなく、聞かれる側に立つことが増えている。たまに自分で料理を作って、職場に弁当を持って食べている。一人で海外旅行に行って帰って来れる。体を動かそうとストレッチすると、よく肩や胸を筋違いする（これは違う？）

ずっと自分はまだまだだと思っている。同世代どころか年下を見ても、自分より大人な人はたくさんいる。だけど、自分一人だけの基準で測ると、昨日、さらにその昨日、さらにそのまた昨日……と比べると、成長しているんじゃないだろうか。

今更ながら、そんなことに気が付いた。つまり、大人って、気が付かないうちになっているものなのかもしれない。あ、俺って大人だったんだ。

大人だから、いろいろ考えないとな。

なんだか、次のステップを踏まなきゃいけない気がしてきた。