ヘッドウォータースってどんな会社だろう。

株式会社ヘッドウォータース(以下ヘッドウォータース社)が2020年8月に上場している。この会社はロボットのアプリ開発、ビックデータを使ったマーケティング支援、Alexaスキル開発など、ハードウェアにソフトウェアを載せるアプリの開発や収集したデータを活用するサービスを展開しているようである。

AIやプロダクトにソフトウェアを載せるような事業を調べていたことから事業の理解を深めるために調べてみた。

調べたいこと

・事業展開の仕方
・売上・利益の構成や獲得方法
・今後の成長可能性とその要因


会社紹介

以下は会社紹介動画である。


事業内容

ヘッドウォータース社はAIソリューション事業の単一セグメントで事業展開しているが、事業のサービスラインは4つある。

・AIインテグレーションサービス

業務効率化のためのAI導入とその効果を最大化させる事を目的とした 業務可視化及び最適化設計・導入推進サービス
https://www.headwaters.co.jp/service/ais.html
・AIと現場のシステムを結びつけるためのシステム開発
・コグニティブサービス、機械学習(マシンラーニング)、深層学習(ディープラーニング)、強化学習のAIを活用
・よくある機能はMulti AI Platformでコンポーネント化
・プロトタイプを高速で開発できるよう仕様
●例:顔認証決済プラットフォーム開発
・エッジAIカメラによる3D顔認証を活用
・インターネットを経由せずローカルで処理を行う
・セキュリティ対策と高速レスポンスに有利
・2019年-2025年までにCAGRは20%増が予測される

・DX(デジタルトランスフォーメーション)サービス

顧客企業のIT化を支援し、企業のデジタル化推進サービス
https://www.headwaters.co.jp/service/dxs.html
・ロボティクス
PepperやSotaなどのコミュニケーションロボットを使った業務活用
・スマートスピーカー
Amazon Echo、Google Home、LINE Clovaなどのスマートスピーカーの業務活用
・IoTWebカメラやIoTデバイスから取得するデータをAIで解析を行い、企業のアナログ業務のデジタル化を支援

・プロダクトサービス

自社が有するAIプロダクト「SyncLect」や「Pocket Work Mate」等を顧客に提供し、もしくはカスタマイズすることによって顧客の経営課題を解決するサービス
https://www.headwaters.co.jp/service/product.html
・「SyncLect」や「Pocket Work Mate」等を顧客に提供し、カスタマイズすることにより顧客の経営課題を解決するサービスを推進
●例:JIMAKU Mate
・動画字幕作成と翻訳をクラウドと機械学習で自動化&効率化
・文字起こしの対象ファイルを読み込み自動キャプションを施す
・コストパフォーマンスを実現、労働力の一部を担う

・OPSサービス

インテグレーションサービス(AIインテグレーションサービス、DX(デジタルトランスフォーメーション)サービス、プロダクトサービス)で開発したシステムの改善、保守サービス
・インテグレーションサービスで開発したシステムをより有効的に活用
・↑そのために継続的な機械学習、不具合が発生しないよう保守を行うサービスです
・AIを組み込み、不具合の検知などをAIで自動的に対応する仕組み
https://www.headwaters.co.jp/service/opss.html
●例:SyncLect Detection
・ディープラーニングによる当社独自の学習モデルを使った画像解析
・Darknet、M2det、v-capsnet、U-Net、CRAFTなどを用いて映像物体認識、情景物体認識、画像判定、物体動作判定、姿勢検知などカメラ情報から認識
・監視カメラ型だけでなく、スマートグラス型カメラやドローンカメラなども利用、 現場作業の多い業務のデジタル推進

・研究開発内容

・ビジネスチャットの機械学習
・業務や蓄積したデータに合わせた機械学習モデルの開発によるビックデータの活用
・コミュニケーションロボットやスマートスピーカーによる音声認識

売上の推移は以下のとおりである。なお。サービスラインがわかる2018年、2019年についてはサービスライン別に売上を区分している。

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取引先については売上割合が10%を超えてくる企業が毎年数社。一定の企業から継続・大型で受注を獲得するようなモデルで展開しているようだ。

HW_取引先別

直近の売上割合が大きい企業の事業内容は以下である。

株式会社インフキュリオンデジタル:金融決済サービス?
プロパティエージェント株式会社:認証IDプラットフォームサービス「FreeiD」への開発協力
株式会社JALインフォテック:PalletControlの開発?
株式会社ニチリウ永瀬:物流ネットワークの何かを開発?

直近の他社へのサービス提供の内容は以下のとおり。

●2021年

・サッポロホールディングス株式会社:同社で展開する「うちレピ」へ マルチAIプラットフォーム「SyncLect」を導入(2021/1/28)

●2020年

・株式会社I-ne:同社で提供する備品管理クラウドサービス「Circurental(サーキュレンタル)」を導入(2020/12/02)
・DXYZ(ディクシーズ)株式会社:同社で提供する顔認証IDプラットフォームサービス「FreeiD」への開発協力を行う(2020/11/24)
・株式会社コルレオーネ・インベストメント・ジャパン:同社がプロデュースする新たな体験型店舗「AZLM connected store(エイゼットエルエム・コネクテッドストアー)」、にストアDXにおけるテクノロジーを提供(2020/11/16)
・ブランディングテクノロジー株式会社:業務提携し、AIで経営課題を解決しDX推進をサポート(2020/11/13)
・株式会社サイバーセキュリティクラウド:DX・AI領域における サイバーセキュリティ強化に向けて連携し、マルチAIプラットフォーム「SyncLect」と「攻撃遮断くん」を活用したDXサービスを展開(2020/11/02)
・桜十字グループ:リハビリ計画を提案するAI とADL改善・QOL向上支援システムの開発に着手(2020/10/28)
・株式会社力の源ホールディングス:Microsoft 365/Power Platformを活用したMicrosoft Teams、Officeアプリ、ローコードアプリベースのモダンワークプレイス環境を構築(2020/10/21)
・株式会社Macbee Planet:自社と業務提携し、 パーソナルレコメンド機能を搭載したAIプロダクトの開発に着手(2020/10/14)
・東京海上日動リスクコンサルティング株式会社:株式会社チェンジと連携し、デジタルトランスメーションのプラットフォームを開発・提供(2020/10/06)

●2019年

・株式会社セキュア:同社と連携し視覚的にわかる空席&混雑状況見える化ソリューション「comieru Live」の実証実験を実施(2019/12/11)
・資生堂美容室株式会社:デジタルヘアカウンセリングツールの共同開発を行う(2019/07/25)

各社の課題解決のために、自社サービスの導入、AIツール導入、共同開発といったところか。内容見るに結構中に入って一緒にやっている感じがしている。かなり労働集約的なのだろうか。


以下はここに至るまでの沿革のサマリである。

沿革

事業展開

・AIやDXなど時世に乗っている事業。
・企画段階からコンサルに入り一気通貫モデルで付加価値の創出を高め、高い収益性を高めている
・システムを開発した後も継続して関与し、規模・状況に応じたサービス提供を行うことで既存企業から長期的に収益を獲得できている。一定の取引先の売上割合が大きいのも当該事由によるものと思われる。
・ソフトウェアはないのは基本受託で取引先納品だからと思われる。
・課金モデルも納品後に支払が発生するモデル。前受金が少ない。
・建物は内装とか。

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売上・利益について

・受注して納品するという形のサービスで労働集約的ではある一方で収益率が相当高いサービス提供となっていると思われる。
・平均年間給与は4,328千円、常勤監査役は1,950千円、社外役員も4人で6,900千円と結構低い金額水準か。販管費に対して人件費が50%をゆうに超えている。地代家賃も少し低い印象。
・前事業年度にも非監査業務が発生している。体制整備等コンサル業務についても請求しているのか。今後はこのような形で監査法人も拡大していくのかと思った。
・研究開発費は明細に乗るほどの金額ではなさそう。2019年12月期は9,118千円、2020年6月までの時点で4,647千円。少数精鋭で磨いている感じか。
・期内で受注・納品を回している。毎期受注がどれだけ取れているかが重要か。グットパッチのように推移とか出てると今後の進捗とか予測できるようになるかも。

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販管費明細

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監査法人

hw_受注残高

今後の成長可能性について

・短期的には既存事業の拡大とクラウドサービスなど継続提供の売上増加(AIの普及とストック売上の拡大)
・中期的にはパートナーと組むことで効率的な市場シェアの拡大を図り収益源の多様化(他業種など範囲の拡大)
・長期的にはライセンス化、IoTデバイスに取り組みさらなる収益源の獲得を視野にいれる(さらなる収益源の創造と提供)。プライシングとかは今後の課題だろう。
・AI人材育成の体制も整えているところか教育事業とかも手掛けそう。


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