「お笑い危機感」

今の自分、芸歴13年目を迎えての己の「お笑い」について考えてみようと思いました。

「お笑い」への姿勢というか、元々どうしたくて「お笑い」芸人になったのか、そしてこれからどうしたくて「お笑い」を続けていくのかという自問自答です。しばしお付き合いください。

振り返ってみると、僕がお笑い芸人に憧れたのは、小学生くらいだったのかなと思います。小学4年のときにクラスのお楽しみ会で、「ダウンタウンのごっつええ感じ」の『MR.BATER(ミスター・ベーター)』というコントのマネをして披露していたのを覚えています。バラエティー番組が好きで「ウッチャンナンチャンのウリナリ‼︎」や「めちゃイケ」などほとんど毎日ゴールデン帯のお笑いバラエティーを観ていました。

そして中学生の頃から「M-1グランプリ」が始まり、それを観て、学校の休み時間や放課後とかに同級生と漫才をするようになりました。関西の中学生ならまだしも栃木の中学生で漫才をやっていたのは僕らの学校だけなんじゃないかと思っています。

高校に入ってからは、栃木県で一番の進学校で男子校だったので、クラスでお笑いをやる感じでもなくなってしまいました。友達もいなかったので、すぐ学校から帰って、ダウンタウンの松本さんやビートたけしさん、爆笑問題の太田さんの本ばかり読んでいました。その頃、僕はその人達のように、お笑い界で、自分の山の頂上に立ちたいと思うようになっていました。そしてその山は他の誰よりも高い山であるべきと完全に影響を受けて感じていました。クラスメートも家族も誰一人笑わせたことがない高校生活だったのに。カリスマ達のせいです。

その後、東京の大学に入学し、高校時代の反動からどうしてもお笑い好きの友達が欲しくて、お笑いサークルに入りました。そこで中学生ぶりにまた人前で漫才をするようになりました。それでウケたりしたことにより、やっぱりどこかで、漠然と憧れでいたけれど、自分の気持ちに蓋をしていた、お笑い芸人になりたいという夢が抑えきれなくなってしまいました。

お笑いサークルの先輩や同期でも大学在学中にプロの芸人になった方々も何人かいました。失礼な話ですが、身近でその人達を見ていて、俺のほうが面白いけどなあ、だったら俺がお笑い芸人になったほうが絶対いいなと思っていました。大学2年生の頃にお笑い事務所の方にスカウトされたり、大学3年生のときに初めて出たM-1グランプリで、アマチュアでその日唯一の1回戦突破したりして、より調子に乗っていってました。

そんな自信満々な形で大学4年の頃に、吉本興業の養成所NSCに、お笑いサークルでコンビを組んでいた方と入りました。NSCの頃の話は、この前書いたのでよかったらご覧下さい。

普通はそんな自信過剰のやつは、結果が出ないと早いうちに心が折れそうですが、10年間1回もテレビに出ないでも、どんなに舞台で滑ろうが、自分が面白いと思ったままお笑い芸人を続けていました。恐ろしいです。僕みたいな奴が辞めていったのを何百人と見届けながら。

それから人生初テレビ出演の「ヒルナンデス」でネタをし、その1年後にテレビ出演2回目だった「おもしろ荘」で優勝してから、バイトを辞めることができました。芸人だけの収入で食べていけるまでに11年掛かりました。今バイトをせずに1年半くらい経つのですが、それでも、もちろんギリギリの収入なので、いつまたバイト生活に戻るのか分かりません。そんな恐怖に怯えています。

なんでこんなことを長々と書いてきたかと言うと、ここなんです。もうバイトをする生活に戻りたくないとか考えている自分が嫌なんです。そんなレベルで考えていたら、バイトをしないことは可能かもしれないが、それ以上でも以下でもないからなんです。

完全に自分に言い聞かせるように書いています。天下を取る気持ちでいないと意味ないじゃないですか。あの頃の思い描いてた山の頂上に立つんじゃないのか?誰かと同じ山を適当に登ってるんじゃないのか?自分だけのでかい山にしないと!お笑いだけで食えてるから満足か?そりゃ10年しんどい思いしてきてるからめちゃくちゃ嬉しいけど、こんなとこゴールでもなんでもない、ただのスタート地点にやっと立てただけなんだ!目を覚ませ馬鹿野郎!全部ひっくり返して、全員ぶっ潰してやるよこの野郎!

今回の手記は、「幽☆遊☆白書」で浦飯幽助に戸愚呂弟が言った『いまのおまえに足りないものがある 危機感だ』の気持ちで書きました。そして「HUNTER×HUNTER」のネテロ会長の『そんなんじゃねェだろ!俺が求めた武の極みは』という自分なりの答えです。なんのこっちゃですか。

めちゃくちゃ恥ずかしいですが、すぐ怠けてしまう人間なんで、戒めでした。制約と誓約です。製薬でもあります。ありがとういい薬です。

ということで、みなさんは、何年後かにまた見たことない笑いの世界が見れる幸せを味わってください!よかったですね!感謝感謝!

それでは一旦やめさせてもらいます。もうええやん。

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