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アンジュルム の『ミラー・ミラー』のギミックを考えてみた

アンジュルムの新曲『ミラー・ミラー』をレビュー! MVで異才を放っているメンバーとは? ラストフレーズはなぜ上國料萌衣がいいのか? 考察しました

ハロー!プロジェクトに在籍するアンジュルムが、28枚目の新曲『限りあるMoment/ミラー・ミラー』を8月26日にリリース。

竹内朱莉がリーダーに就任してから初となるシングル『私を創るのは私/全然起き上がれないSUNDAY』が、グループ史上初のオリコンウィークーリー1位を獲得し、アンジュルム第2章を華々しく飾りました。
その後、メンバーの卒業ラッシュが続き、コロナウイルスの関係で新体制でのパフォーマンスも満足にできないままリリースした本作は、そんな苦難も強く乗り越えたいという気持ちが伝わってきます!

メッセージ性の強い『限りあるMoment』に続いて
アンジュルムの"ダンスが強み"という部分が出ている『ミラー・ミラー』をレビュー!
楽曲に込められた表裏のギミックを考察しながら紹介します!!


アンジュルム / ミラー・ミラー

作詞: 児玉雨子
作曲: Shusui / Anders Dannvik / Kalle Persson
編曲: 平田祥一郎
MV Director:今村 繁
歌割:竹内朱莉・川村文乃・上國料萌衣・笠原桃奈
ポジション:固定センターなし
振付師:YOSHIKO

アンジュルムってダンスが強みのグループだよなって思う

私には表の自分と裏の自分がいる。白雪姫に出てくる女王のように答えを鏡に問いただしてみるけど、物語のように明確な答えはでない。でも本当は自分がよくわかっている。他人に見せる表向きな自分、他人に見せない裏の自分も。鏡を見る度に見えてくる色々な自分。本当の自分はどれなのか? 誰かに見抜いて欲しい。本当はあなたに見抜いて欲しい。それが私だから。

という感じで、「真実を映し出す」・「表裏一体」といった鏡(ミラー)のイメージを利用して、主人公の「本当の私はどれなの?」という心の叫びを表現している楽曲だと筆者は解釈しました。

振付は、ハロプロで多くの振付を担当しているYOSHIKO先生で、彼女のブログによると、そのまま「ミラー=鏡」「シンメトリー」な振付けにしたようです。(ミラーボールを意識した振付も作ったようですがカットされた模様)
シンメトリーの振付といえば、アンジュルムの『Uraha=Lover』を思い出しますが、『ミラー・ミラー』はサウンドがよりダンスミュージックに近いので、振付も音楽に合わせてよりシンメトリーと鏡を意識した構成になっています。

歌詞にも「ダンス」が出てくるので、楽曲と振付ともにダンスをフィーチャーした楽曲ですね。

この楽曲は「裏と表がある自分」「本当の自分」「誰かに見抜いてほしい」という葛藤が描かれています。そこにダンスを入れることで、より葛藤の中でグルグル頭を悩ませている描写を作りたかったのではないかと考えました。

ダンスは自分の感情を伝える表現方法ですし、踊り狂うという言葉があるように、わちゃわちゃしている心の中を激しく踊ることで、主人公の葛藤を表現したかったのかもしれません。

間奏明けの落ちサビ部分では、音程を変えることで、頭の中がグルグルしすぎておかしくなりそうだという感じも出ているので、歌詞・歌い方・ダンスを使って楽曲の世界観を鮮明に描いていると思いました。

そして、一番注目したいのはMVです!
実はMVで使用されているダンスシーン(主にソロで踊ってるカットシーン)はすべてフリーダンスになっています!
このフリーダンスのカットをスタイリッシュかつファッショナブルに編集することで、ダンスビデオといっても過言ではない映像作品に仕上がっています。

少し話がそれますが、筆者はダンスライターとして活動をしていて、ダンスイベントを取材したり、ダンサーにインタビューなどもしていました。そんな自分が今の現役ハロプロメンバーで一番ダンスがすごいと思うのは佐々木莉佳子です。
なぜ、そう思うのかはここでは割愛しますが、『ミラー・ミラー』のMVのフリーダンスは、佐々木莉佳子の存在感が群を抜いています。

この楽曲では、歌割りはあまりないのですが、フリーダンスの存在感のせいで(おかげ)、『ミラー・ミラー』が佐々木莉佳子の楽曲になってしまっている。そのくらい一人勝ちしています。

アンジュルムには、竹内朱莉・船木結・川村文乃といったダンスがうまかったり、ダンス映えするメンバーが多くいるのですが、肩を並べさせないくらいダンスオーラで圧倒しているのが、もう逸材すぎると改めて思いましたね。
アイドルじゃなくてダンサーになってたとしても売れっ子になってたと思います。

『ミラー・ミラー』は、竹内朱莉・川村文乃のリーダー&サブリーダーが多くの歌割りを担当。そこに上國料萌衣と笠原桃奈が追随する形になっていて、『限りあるMoment』とは違う布陣で歌唱チームが作られています。
両A面シングルである利点を活かして、楽曲ごとにフィーチャーするメンバーを変える。逸材が集まっているアンジュルムならではのパート割りですね。特にサブリーダーの川村文乃が多くの歌割りで目立つようになったのは、新しい一面ではないでしょうか?

笠原桃奈の歌声もポイントです。彼女特有の力強くてエモさを感じやすい歌声で、今までの楽曲でも目立つソロパートをもらうことが多かったですが、『ミラー・ミラー』でも「マスカラ落ちてる」というパートを他パートと違う歌い方で歌唱しています。
落ちサビ部分の重要なパートなので、彼女の力強い歌唱が、楽曲のラストスパートに火を付ける着火剤になっていますね。

そして、現アンジュルムの歌姫である上國料萌衣。『限りあるMoment』でもメインパートを担当していることから、彼女がアンジュルムの歌のベースを作っているといっていいでしょう。


上國料萌衣が最後のソロパートになった理由を考える

前項の部分で上國料萌衣のお話をサラッと終わらせましたが、実は続きがあります(笑)

『ミラー・ミラー』の印象的なソロパートはいくつかありますが、筆者は最後の「君が見抜いて」のパートに注目しました。
落ちサビからラスサビに向けてのラストスパートでBPMが上がっていき、楽曲が終わったと思った直後に、サウンドのブレイクという視線が全集中する場面を受けて「君が見抜いて」と楽曲を締めくくる、かなりおいしいパートですね。

そこを歌っているのが上國料萌衣なのです。

さすがカミコ(上國料萌衣の愛称)!
よっ! アンジュルムの歌姫!
クリスタルボイスいいね〜!

で済ませてもいいのですが、もうちょっと意味があるのではないかと思ったので、考えました。

この楽曲は、人間の裏と表がテーマになっていて、歌詞やサウンドを聞く限りダンスがフィーチャーされています。
楽曲の世界観に歌とダンスのパフォーマンスを当てはめると、ダンスは表向きの姿になりますよね。「ダンスダンスダンス」って歌ってますし、シンメトリーのダンスも印象的ですしね。
そうなると、歌は裏の部分に当てはめることになります。楽曲では「裏の姿も私だからそれを見抜いて」と伝えていますから、この裏の部分を歌い手がリスナーに届けないといけません。
それが最後の「君が見抜いて」というフレーズになるのですが、誰が適任なのか??
それは、アンジュルムの歌唱面を任されている上國料萌衣しかいないでしょう。

自他ともに歌が好きでこだわりを持っていると評判の上國料萌衣ですから、アンジュルムの歌の象徴である彼女が、歌詞の裏の部分代表になって「君が見抜いて」と歌うことに意味と説得力が生まれるのではないかと思いました。

ハロプロは、各々のメンバーにあった意味のあるソロパートを割り振ることが特徴の一つなのですが、そのイズムが今回の上國料萌衣の「君が見抜いて」で垣間見ることができます。
これぞハロプロの楽曲だよなぁと感じられる作品になっていますね。


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