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#16 はじめてのICU

術後は容体の急変に備えたり、様子を見る看護師の出入りも多く大部屋だとストレスもたまるし(多分お互いに)、そのままICUへ入った。

24時間体制の空間は高い天井に電気や色々なボタンやらが煌々としており煩い。
急患の出入り口が近いのかサイレンがひっきりなしに聞こえる。
私もこうやって、入院している患者にサイレンの音で落ち着かなくさせていたのかもしれない。
運よく窓際の部屋になり空が見えたのは救いだった。なり続けるナースコール。

ベテランらしい看護師が「ICUっていうのはこういうところだから。眠れないと思うよ。」と告げられる。

却ってありのままのことを言ってもらえたのは良かった。実際に全く眠れなかった。


持ち込めたものは、マスクとティッシュと歯磨きセット、眼鏡だけ。

身体も起こせないし、何かを食べることもない。

寝っぱなしだから、わざわざ眼鏡をかけることもない。強度の近視なので、時計は真っ白にしか見えない。

寝る前に歯磨きをさせてくれた。時間の区切りを唯一感じた瞬間だった。


「お水飲みますか」

なぜか考えにも及んでいなかったが、言われてみれば喉がカラカラだ。「お願いします」と看護師に応える。
ストローのついた蓋つきカップに氷水を入れて渡してくれた。今まで口にした何よりも美味しかった。


水って、こんなに美味しいんだ。ただそれだけのことに感動した。

#入院記録 #髄膜種   #2021髄膜種入院記録 #ICU

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