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短編小説「12人の女たち」第一章

「12人の女たち」 第一章 「睡眠薬と彼女が買ってくれたカーサ・スベルカソー(シャルドネ)」 みひろからは大体いきなり連絡がくる。その頃僕は中島らも著の古本を目当てにあづさ書店へいこうとしていたのだけれど、寒さに億劫で腰が重かった。 彼女はエステだかマッサージだかの美容関係の仕事をしていて、ぼくの住むマンションから程近い店舗へ出張でくることがよくあるのだ。だからその日も日が暮れてカラスも晩飯の時くらいに唐突に連絡を寄越してきた。 「チーズケーキいる?」 みひろの第一声

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    • 短編小説「12人の女たち」第二章

      第二章 「睡眠薬とジャック・ダニエル」  僕はこの章を書くときには、彼女の味わった記憶を辿るために、あるいは背けたい現実をぼやけさせるためにウイスキーを呷っている。ポケットサイズを一気に流し込んで深く息を吸って全身に迸るアルコールが喉を通り胃に落ちてゆく感覚をじんわり確かめながらゆっくり大きく息をすこし長めに吐きだす。鼻腔にツンときたら反射で口内が唾液で溢れる。すかさずチョコレートを放り込んだら、噛み砕き終わる前にハイライトに火を灯して追憶をはじめる。  これまで何度も

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      • 天才じゃない画家のライフハック

        イメージがいきなりポンと出てくることは珍しい。 "ポン"ならわかるが"ポンポン"でてくる人は何かしらの代償を支払っているか天才かのどちらかだ。 そして、少なくとも私は天才ではなかった。 とはいえ、凡人が凡庸に生きていてもつまらないので、僕がその発想の起源についての研学をしてゆく中でいくつかの発見をかんたんにまとめてみた。 それはまるで畑のようだった。 以下は"発想を育てる畑の耕し方"の覚え書きである。 ①質の良い土壌(心身が適当な状態) Health is bet

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