複雑な争点も U30 目線でわかりやすく!ここでやらなきゃ!横浜市長選挙2021
2021年9月現在、NO YOUTH NO JAPAN(以下、NYNJ)のInstagramフォロワーは約6.6万人。そのうちフォロワー数トップの市区町村をご存知でしょうか。
実は、答えは都内ではなく、横浜市。4000人近い方にフォローいただいています。
こんなに注目してくれている横浜市の皆さんに、私たちの発信をもっと届けたい。
そんな想いから始まった、横浜市長選のVOTE FOR PROJECT。
2021年8月22日に投開票が行われた横浜市長選挙に向け、横浜のU30世代に向けた情報発信を行いました。
政治経験豊富な候補が揃う、混戦に
横浜市長選の大きな特徴は、候補者の多さと、争点の複雑さでした。
選挙戦には、告示日前からさまざまな政治経験をもつ候補者が出馬を表明。一般的に、地方自治体では現職の候補者が有利と言われる中、市長選に出馬した候補者の顔ぶれからは、異例の再選挙(得票率が25%を超えた当選者がいなかった場合に行われる2回目の投票)が予想されているほどでした。
告示日には現職を含む8名が立候補。この数は、横浜市長選で過去最多の候補者数であり、この時点ですでに、誰に投票するかを決めることが難しくなっていました。
加えて、最大の争点となっていたIR誘致に対する各候補者の主張の違いが複雑で分かりにくいことも、投票に行くことを尻込みする原因になってしまうのではと考えました。
そこで、NYNJの強み「選挙についてわかりやすく発信する」ことを活かし、少しでも多くの横浜市民のU30に選挙に関心をもってもらうために、「横浜市長選2021 プロジェクト」が立ち上がりました。
目指したのは「わかりやすい選挙の発信」ではなく「U30目線の深堀り情報」
プロジェクトで行ったのは、主に①Instagramのストーリー機能を使った情報発信、②選挙ドットコムにて掲載される記事での発信です。
すでに横浜市長選挙に関してInstagramで情報発信を行っている地元の若者グループ「VOTE FOR YOKOHAMA(ボート・フォー・ヨコハマ)」の発信を、NYNJのメディアプラットフォーム(主にInstagramのストーリーと記事)を通じて応援する形をとりました。
①争点や候補者をイラストで解説したストーリー
ストーリーチームでは、「VOTE FOR YOKOHAMAの団体紹介」や「争点解説」「候補者紹介」などのストーリーを作成しました。
今回のストーリーを作成する上で一番に必要だと思ったことは、まずは「横浜市長選挙がある」ということをフォロワーさんに知ってもらうことでした。その上で、「選挙に行かなきゃ」と思ってもらうためには、この選挙がどうして大切なのかを知ってもらうことが大切だと考え、IRなどの主要争点を基本的なメリット・デメリットから押さえられる争点解説をつくりました。候補者のプロフィールや主張している政策も知って投票先を選んで欲しいと思い、イラストを用いた候補者紹介も作成しました。
「何がU30にとって興味のあるテーマなのか」「どうやったらこのテーマをよりわかりやすく伝えられるのか」みんなで試行錯誤しながらつくりあげていきました。
まとめ方の工夫などに反省点もあったので、今後の選挙プロジェクトに生かしていけたらと思っています。それでも、フォロワーさんからは「こういうストーリーを発信してもらえてありがたい」との声もいただけたので、嬉しかったです。( ストーリー全体統括・足立あゆみ)
②アンケートを実施してU30が気になる争点を深堀した分析記事/有志で投票啓発を行う団体VOTE FOR YOKOHAMAの紹介記事
加えて、2本の記事を執筆し、選挙ドットコムに掲載していただきました。1本目は、U30が気になる争点を深堀りした分析記事、2本目が、横浜市長選挙の若者の投票率向上を目指して主にInstagramでの発信を中心に活動する団体「VOTE FOR YOKOHAMA」の紹介記事です。
【U30が気になる争点を深堀り!】
この記事では、NYNJのInstagramで横浜市に住民票のあるU30に向けて気になる争点のアンケートを行い、その結果をもとに横浜市政の現状を、他の自治体と比較したりしながら解説。IRなどの争点に主要メディアの報道が集中する中、実際若い世代の注目はどこに向いているのかという点を大切にし、投票先を決めきれないU30世代の参考にしてもらうだけでなく、より上の世代にも若い世代の動向を知って欲しいとの思いで書いていきました。
もう一つ、この記事で伝えたかったことは、「IR、賛成・反対、その先は?」ということです。アンケートの結果、NYNJのフォロワーであるU30にとってもIR誘致の是非は主要な争点であることがわかりました。しかし、選挙の結果としてIR誘致が進められても、中止になったとしても、「そのあとその場所がどうなるか」、ということに特に若い世代は関心が高いのではないか、と考えました。そこで、候補者がIR誘致に「賛成/反対」したのち、そのビジョンに何を描いているのかという点を深堀りしました。
【横浜市長選挙で若者の投票参加を促したい!VOTE FOR YOKOHAMAインタビュー!】
2本目のこちらの記事では、先にご紹介した地元のグループ「VOTE FOR YOKOHAMA」のInstagramでの取り組みを紹介。同世代の若い人たちが選挙に向けて行っている取り組みを知ることで、選挙そのものに興味をもってもらうとともに、自分にできることとして投票に行くという選択肢を意識してもらえたらという思いで進めていきました。
インタビューに応じてくださったVOTE FOR YOKOHAMAの大石さんのお話からは、若い世代の投票率が低いことに対する問題意識や、それを改善していくために必要な情報発信におけるコミュニケーションの工夫、横浜市に対する思いが伝わってきます。
大手メディアでは取り上げられにくい、若い世代目線の内容・構成で記事を書けたことは、今後のVOTE FOR PROJECTの取り組みにも活かしていけると感じています。
地元の若者の取り組みをNYNJが応援!VOTE FOR PROJECTでもっと地方選挙は盛り上げられる
8月22日、ついに迎えた投票日。結果、野党統一候補の山中竹春氏が初当選し、投票率も49.05%と前回(2017年)より11.84ポイント上がるなど、改めて注目の高さが伺えました。しかし、全体とすれば半分以上の人はまだ投票には行っていない状態で、まだまだ満足できる数字ではありません。
今回の全体リーダーを担った矢部美咲に、プロジェクトを振り返ってもらいました。
プロジェクト全体のスケジュール管理や外部団体との連携が大変でしたが、その分、自分の身の回りの人からも「選挙行ってきたよ!」などの様々な反響があったことはとても嬉しかったです。
今後に生かせることとして、各選挙ごとの争点を把握して発信することは大切だと感じました。今回の横浜市長選挙では、IRという主要争点に注目が行きがちでしたが、選挙によっては明確な争点が定まっておらず、投票先選びに悩むこともあるかと思います。今回のような選挙プロジェクトを通して「今何が起きているのか」という点を共有できるようになればよいと感じました。
(プロジェクトリーダー・矢部美咲)
「投票率を上げる」。これがいかに大変かということに、地方選挙のたびに突きつけられます。投票に行くか行かないかは個人の自由で、誰かが強制することはできません。それでも「投票に行く」ことが政治参加の手段の一つであるとともに、「生きたい社会をつくる」ための気軽な第一歩として、どれくらい意味のあることなのかをコツコツ発信し続けていくことで、「生きたい社会をつくる」ことができるはず。
今回のプロジェクトは、“VOTE FOR YOKOHAMA” というすでに地元で活動する同世代をNYNJが 「応援する」という、新たなVOTE FOR PROJECTの形へのチャレンジにもなりました(※)。今後の地方選挙プロジェクトの新しい形作りに貢献できたのではないかと感じています。
(※)VOTE FOR SUGINAMIでは、地元団体さん発案で協働の形でのプロジェクト実施を行いましたが、これまでのVOTE FOR PROJECTでは、基本的にNYNJ内でリーダーを立て、プロジェクトを推進していく形をとっていました。今回のVOTE FOR YOKOHAMAは、そのどちらの形式でもなく、VOTE FOR YOKOHAMAさんの活動を記事やInstagramで応援するとともに、NYNJ自身も独自にストーリーや記事発信を行い、ともに横浜市長選挙を盛り上げていくという形式をとりました。
身近な地方選挙から、少しずつ生きたい社会を選んでいく。
NO YOUTH NO JAPANは、これからも知恵を絞りながらアクションを起こしていきます。同時に、ともにアクションを起こしてくれる団体さんと、様々な形で協力しながら、地方選挙に挑んでいければと思っています。
(文=宮坂奈津)