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PILCON×NO YOUTH NO JAPAN・政治をヒントに!「性教育の課題」を知ろう


「性教育」にどんなイメージをもっているでしょうか?
「保健体育でちょっとだけ勉強した」「なんか恥ずかしかった」「今覚えてることはほとんどない」

あまり印象がない人も多いかもしれません。
でも、実は「性教育」って政治とも深く関連してるトピックなんです。
そんな「性教育」をテーマにしたイベントを行いました。

8月8日(土)にNPO法人ピルコン(PILCON)さんと行った『政治をヒントに!〜性教育の課題を知ろう〜』の目的は、「性教育」の課題を、政治という視点から切り取り、普段あまり耳にすることのない政治と性教育の繋がりについて知ること。そして、わたしたち一人ひとりにできることは何かを一緒に考えることでした。

きっかけは、私たちが受けてきた「性教育」へのギモン

このイベントは、NPO法人ピルコンとNO YOUTH NO JAPAN(以下、NYNJ)のコラボ企画として開催しました。ピルコンは、中高生向け・保護者向けに性に関する講演やワークショップを行うことで、正しい性の知識と判断力を育む支援、また政策提言も行っている団体です。

今回のピルコンとのコラボイベントのきっかけになったのは、少し時期を遡って、6月に行った「性暴力」がテーマのイベントでした。(イベントのレポートはこちら!)

「性的同意が取られていない全ての性的言動は『性暴力』だ」

6月のイベントでコラボしたHuman Rights Nowによるレクチャーで学んだ言葉です。
この言葉を踏まえてグループトークを行ったとき、参加者の皆さんから「性暴力を行わない、受けないために性的同意を学びたい。でもそれには、日本の性教育は不十分なのではないか」という声が多く上がりました。
これをきっかけに、NYNJ内でも「確かに、私たちの受けた性教育って何か足りないのでは」「きっと同じ想いのフォロワーさんも多いはず!」と話がどんどん盛り上がり、、ついに性教育をテーマにしたイベントの開催が決まりました!

そして、NYNJのインスタグラムをフォローしているU30世代と、政治という視点から性教育について知り、一人ひとり何ができるかを考えたいという想いで、PILCON代表理事の染矢明日香さんをゲストにお呼びし、イベントを開催することになりました。

イベントのタイムスケジュールの紹介

アイスブレイク:性教育で学べなくて困ったことはありますか?
レクチャー(NYNJ):「若者の性の困りごと」
レクチャー(染矢さん):「日本の性教育が遅れている要因」「性教育の遅れの解決、改善方法」
質疑応答(染矢さん)

当日はなんと、これまでNYNJの開催したイベントの中で最も多い53人もの方にご参加いただきました。
冒頭の「性教育で学べなくて困ったことはありますか?」という質問には、参加者のみなさんに匿名で自由に回答いただききました。
30分のレクチャーの後、たっぷり30分質疑応答の時間をとり、参加者の皆さんからの様々な質問に染矢さんにその場で答えていただきました。
オンライン開催にも関わらず、多くの参加者のみなさんからたくさんの意見や質問が寄せられ、インタラクティブな時間となりました。

「性教育を学ぶ」のではなく「政治の視点から性教育を知る」

今回のイベントのテーマは「性教育を学ぶ」ことではなく「政治の視点から性教育を知り、わたしたち一人ひとりに何ができるかを一緒に考える」ことでした。

一見変わったこのテーマに決まったのは、「性教育の専門家ではないNYNJだからこそできる、性教育をテーマにしたイベントってなんだろう」という問いがきっかけです。
その答えが、「性教育に疑問を抱いているU30世代の問題意識を政治とつなげる」こと。

性教育が後退するきっかけとなった出来事には、政治が関わっています。

実は、「性教育ブーム」が起こったと言われている1970~1990年代には、小学校段階から保健体育で「性」や「生命の誕生」について扱われるようになり、学校では性教育の研究授業も盛んに行われていました。

しかし、2000年代から性教育実践に対し、「過激な性教育だ」「寝た子を起こすべきではない」と都議会や国会で批判され、いわゆる「性教育バッシング」が起こり、日本の性教育は後退し始めました。その「性教育バッシング」と政治が、切っても切り離せない関係にあるのです。

政治をヒントに!性教育の課題を知ろう! (2)

政治をヒントに!性教育の課題を知ろう! (1)

性教育の内容は、学校だけで決められているのではなく、政治の影響や学習指導要領の「はどめ規定」が大きく影響しています。

このことから、そもそも教育という大きなものの一部である「性教育」を変えるには、政治や学習指導要領といった大きなものとも向き合わなければならないことが分かります。

しかし、「問題が大きすぎてわたしたちにできることは無いのではないか」とネガティブな気持ちでイベントを終わらず、わたしたち一人ひとりが取れるアクションについても考えたい。そこで、これまで行われてきた性教育の改善策や、性教育を学ぶときにおすすめの動画「AMAZE」や、現在ピルコンが行っている署名活動を紹介しました。

チャットやMentimeterを用いて安全で活発なQ&Aに

活発で心理的安全の保てるQ&Aの時間を作るための工夫も凝らしました。

参加予約フォームで事前に質問を募集し、その中で多くいただいた質問を取り上げたり、匿名で質問を共有できるツール「Mentimeter」を使ったりしました。

人と話をすることに抵抗感がある人も多い今回のテーマ。匿名でコメントできるツールを用いて心理的安全を確保したことで、「センシティブな内容でも気軽に意見が言えた」「参加のハードルが下がり双方向のやりとりになってよかった」というお声もいただけました。

政治をヒントに!性教育の課題を知ろう!

また、Mentimeterを使った質疑応答では、「国際スタンダードでは5歳から性教育を行うと聞いて驚きました、どのようなことを教えるのですか?」「性教育について学べるオススメの本を教えてください」「Instagramで性の話題をシェアしたいけれど、周りの目が気になりシェアしづらいです。どうしたらいいでしょうか?」などの質問に対し、染矢さんが様々な書籍やサイトの名前の紹介を交えて回答。それに合わせて、NYNJメンバーがその場で書籍やサイトのURLを調べ、Zoomのチャット欄で共有しました。
「イベント内で紹介された情報は流れてしまうことが多いが、チャットで共有してもらえて助かった」という感想もいただき、参加者の皆さんの今後のアクションにつなげられたのではと感じています。

イベント全体を通して、Mentimeterやチャット欄で参加者の皆さんから活発に意見をいただけたおかげで、少し話しずらいトピックである「性教育」をテーマにしたイベントでも質問しやすい雰囲気となりました。


多くのU30世代から関心を集める、ジェンダーやセクシュアリティというトピック。NYNJでは今後もこのようなテーマを扱うイベントを開催したいと考えています。今回のイベントで見えた改善点を参考にしながら、今後もInstagramのポストのテーマと掛け合わせたイベントを開催する予定です。


(文=吉岡星)


NO YOUTH NO JAPANのInstagramの投稿を続けるためのデザイナーさんへの依頼料と活動の運営経費にさせていただきます!