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選挙はわたしを変えるきっかけになる ~NYNJ代表理事選挙を通じて思ったこと~

2024年2月、NYNJの中で代表理事を選ぶための選挙を行いました。

このnoteでは、NYNJメンバーの一人であり、選挙に投票者として参加した私、かえが選挙を通じて自分の中に起こった変化をレポートします。

選挙は代表を選ぶだけではなく、自分が所属するコミュニティについて知ったり、自分が何故そのコミュニティに参加するのかを考えるきっかけになるという、選挙の新たな可能性を知りました。

何の目的の選挙か?

今回のNO YOUTH NO JAPAN(以下、NYNJ)で行った選挙は、代表理事を決める選挙です。

今年で5周年を迎えるNYNJ。
組織の立ち上げに関わったメンバーの多くが卒業したり社会人になったり、メンバーの入れ替えが起こっている中で、長期的に運営できる組織をつくっていくフェーズにあります。

組織づくりの最初のステップとして、まずは今後10年のNYNJのありかたを見据え、長期的な視点で組織の経営・活動方針を持って運営できるよう、活動方針の策定や組織づくりに責任をもつ人(2名の代表理事)を選ぶことにしました。それが今回行った選挙です。

選ばれた2名の理事はNYNJの共同代表となり、各チームのリーダーとともに、今後長期目標や持続的な組織の運営体制を考える仕事を担っていきます。

選挙の流れとルールは以下の通りです。今回は、代表理事2名に対し、立候補者が2名だったため、信任投票になりました。それぞれの代表演説に基づき、NYNJメンバーが投票をし、立候補者2名が信任されました。

【選挙の流れ】
1.選挙の方針・やり方を説明
2.立候補の受付
3.立候補者の代表演説
4.代表理事の投票

【選挙ルール】
・選出する代表理事は2人。
・条件は2年を通して、団体に注力できる人
・自薦のみ受け付け
・投票はフォームで行い、選挙管理委員会以外に対しては匿名で、投票先・投票の有無は非公開
・留学、休会などの理由でミーティング未参加者含め、立候補者以外の全員(選挙管理委員会含む)に投票権がある。
・立候補者が定数だった場合、信任投票は有効票の2/3以上を信任とする。

私にとってNYNJの「選挙」とは

立候補者のことを知るきっかけをくれた「選挙」

代表理事選挙では、投票の前に立候補者それぞれによる15分間の代表演説を行いました。この代表演説を通じて、私は代表候補のメンバーのバックグラウンドや、この先のNYNJとして目指したいものを知ることができました。

今まで、活動や雑談の中で「こんな社会をつくりたい」「こんな社会で生きたい」とお互いに軽く話すことはありました。でも、メンバーのバックグラウンドを深掘りして話す機会はあまりありませんでした。

そんな中で、今回の「選挙」は、代表候補となるメンバーが「どうしてNYNJで活動しようと思ったのか?」「今後NYNJをどうしていきたいのか?」という、活動のモチベーションや活動にかける想いを知る機会を提供してくれました。

例えば、候補者のひとりが話していたNYNJに参加する原体験は「耳が聞こえにくい家族を見て社会の一員として生活していくことのハードルがどれだけ高いのかを感じ、誰もが公平に生きられるような、自分の生きたい社会を作りたいと思ったこと」。

私はこの原体験にとても共感しました。それは私自身、これまで生きてきた中で、出席の回数が進級に深く影響する学校の仕組みに疑問を持ってきたからです。

私自身は障がいや重い病気があるわけではありません。でも体調を崩すことが多く、特にコロナ禍では他の人に罹患をさせてしまうのではないかという怖さもあり、何度か体調不良で授業を欠席してしまったことがありました。
そのとき、私が出席のかわりとなる自宅学習の課題に真面目に取り組んでいても、自宅学習は成績をつけるうえで考慮されず、単位が足りなくなり、卒業できなくなりそうになった経験をしたことがあります。

この時は、私はしっかりと単位を取得し、無事に卒業することができました。しかし、真面目に勉強に取り組んでいても、対面での授業参加が必要とされる学校の制度に対し、色々な事情で学校に来られない生徒の学びが公式に認められていないと感じました。
そして、自分以外にもきっと様々な状況下の生徒がいる中で、誰がどんな状況にあっても公平に教育が受けられるよう、多様な学び方をサポートしてくれる社会の仕組みがあってほしいと思うようになりました。

社会についてこれまで私が思っていたそのような疑問は、あまり周囲の人とは共有することができなかったものでした。でも、今回の選挙の代表演説で、自分と同じような部分に引っかかりを感じ、それを変えていきたいと思う人がいるのだということを知り、とてもエンパワーされる気持ちになりました。同じ想いを持つメンバーがいると思うと、NYNJの活動自体にももっとコミットしていきたいと活動のモチベーションもあがりました。

また、これまで私は自分の経験を人に話してこなかったけれど、今では私も「自分のバックグラウンドを否定されるかも…」と不安にならずに、積極的に「自分がどんな経験をしてきたからNYNJにいるのか?」を周りのメンバーと共有してみたいと思っています。

わたしの生きたい場所や社会を考えた「選挙」

私は今まで選挙は大事だと思っていたし投票にも行っていたけれど、「選挙」は自分の意見を代表してくれる、自分の生活を託す誰かを探す機会だとばかり思っていました。

なので、実際の選挙に投票する時は投票マッチングを使ったり、掲げている政策を細かくチェックして、自分が賛同できる政策を公約に掲げている人を探していました。

でも今回のNYNJ選挙を通じて気づいたのは、「選挙」は自分の意見を代表してくれる誰かを選ぶだけではなくて、投票者である自分自身について、そして投票する自分自身が身をおく場所のありかたについて、考えるきっかけをくれるということです。

代表理事に立候補した2人の話を聞いて、私は「自分はどうしてNYNJに入ろうと思ったんだっけ?」「私はNYNJでの活動を通してどうしたいんだろう?」と自分の想いを振り返るようになりました。

ここで少しだけ私がNYNJに入ったきっかけをお話したいと思います。
私はNYNJに2022年6月に入会しました。

2020年の冬からコロナが流行りはじめ、緊急事態宣言や不要不急の外出自粛という言葉飛び交う中で、「不要不急とは何か?」「コロナの流行を抑えながらも、みんなの生活を維持するためにはどうすればいいのか?」を考える必要に迫られました。

私自身、大学に入学するとほとんどの授業がオンラインで、家族以外の人とほとんど触れ合えず、将来の不安が重なり、メンタル不調になりました。
私は当時、「自分の心の不調を回復させるための外出が、不要不急の外出にあたるのか?」、「1人1人不要不急が違う中でどのように折り合いをつけるべきか?」とひとりでモヤモヤとした想いを抱えていたけれど、一方で政治の場にそのようなモヤモヤを届ける場所がなかったし、実際に十分に届いているようには見えませんでした。

一人一人が違った状況にいるからこそ、コロナへの対応について様々な不安があるにもかかわらず、それらが全く政治に届いていない気がして、これで大丈夫なのかと不安に感じました。特に、自分の世代の若者の投票率が低く、若者の声が政治の現場に届いていないという感覚が大きかった。だから、今より若者投票率が上がって、若者が政治参加できる社会作りに貢献するために「何かしなければ!」と思ってNYNJに入りました。

そしてNYNJ以外にも選挙ボランティアなど、自分が投票率の向上に貢献できると思える活動に積極的に関わりました。そうして活動を続ける中で見えてきたのは、様々な属性の人が政治の場に意見を届けたいと想い活動していること、そしてそのような活動が、私が想像しているよりもずっと多くの人によって行われていたということです。

多くの人たちのの努力を見て「様々な立場や状況にあるみんなの状況や意見を反映できるような政治や社会であってほしい」し、「そんな社会を実現するためにNYNJの活動を頑張りたい」と強く思うようになりました。

今回のNYNJ代表理事選挙を機に、改めて「今自分がどのような社会に生きたいか?」を振り返ってみたとき、NYNJに入会したときに持っていた、今より若者の投票率が上がって、より多くの若者の声が政治に社会に届いてほしいという気持ちは変わっていませんでした。

でも、NYNJの活動をはじめ、さまざまな人との出会いを通じて、私の考えが、若者だけでなく、今政治にあまり関われていない全ての人たちが平等に関与して意見が反映されるようになってほしいと広がっていることにも気が付きました。

だからこそ、私は平等な社会を一緒につくっていける仲間が集う場所としてNYNJがあってほしいと思ったし、それを実現してくれると思う立候補者に投票をしました。

私が今回、「NYNJの選挙を通じて自分がなぜNYNJで活動するのか?」「NYNJがどういう場所であってほしいのか?」と考えたように、「選挙」は、忙しい毎日の中で、社会の側から、定期的にわたしたちが生きたい社会を考え向き合う機会でもあるのだと思います。

実際の選挙について

身近な人が選挙に出れること、いろんな人が選挙に出れることの大切さ

私が、NYNJでの選挙を通して立候補者側の想いを聞いて自分の気持ちについて振り返ることができたのは、身近な人が選挙に立候補していたからです。

これまでの選挙は、投票こそしていましたが、「自分の権利を使えるチャンスなんだから、ちゃんと行こう」という意識や義務感が先行して、投票の根幹にある私の生きたい社会を考える機会には捉えられていませんでした。

でも、NYNJ選挙は身近な人が立候補しているからこそ、「自分はこのコミュニティや組織をどうしたいのか?」「何でNYNJで活動するのか?」を自分ごととして考えて、自分があってほしいNYNJをベースに投票することができました。

家族や友人など立候補する人が身近に居て、彼らのバックグラウンドや目指すものに触れることによって、政治が誰かによって動かされているのではなく、自分ごととして捉えることができます。そして、自分自身を振り返りそのコミュニティの理想や将来を自分ごととして考えるきっかけに繋がります。

実際の政治であっても、自分と社会的立場や境遇が似ている人が政治に参画するのを見て、自分の生きたい社会をより考えやすくなるのではないでしょうか。そのためにも、社会を変えたいと思う身近な人が立候補しやすくなるような制度作りも重要だと思います。

例えば、被選挙権の引き下げを通じて若者の声を代表する人が立候補できるようになること。
国籍やお金の問題など、さまざまな法律的なハードルがあって立候補できない人たちが立候補できる環境を整えること。

これらは、議会に多様なの人の意見を届けるという意味だけでなく、誰もがわたしたちが生きたい社会を考えてみるきっかけのためにも、やはり大切なことなのだと再認識しました。

「選挙」は自分を変えるきっかけでもある

私は、NYNJ内での代表理事選挙をきっかけに、NYNJにより親しみをもてるようになったし、自分がNYNJを通じて何をしたいのかを考えることができました。

「選挙」は社会を変える手段だけれど、自分がコミュニティについて考える機会を与えてくれる、自分を変えるきっかけでもあるのかもしれません。

そして私が投票を通じ、自分ごととして自分が生きたい社会がコミュニティについて考えることができた理由は、身近な人が立候補した選挙で投票するという経験にあると思います。

「わたしはどんな社会に生きたいのか?」
それを考えるきっかけを自分ごと化できるように、身近な人が立候補できる社会になってほしいと強く思います。

(文=かえ)


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