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【instagram】7月投稿 編集部に聞く「身近な買い物を見直そう」から、見つけて欲しい「きっかけ」

投稿で伝えきれなかったメンバーの想いや、作成の裏話をお届けする、インスタグラムレポート。7月のテーマは環境問題でした。

毎年のように起こる異常気象。ポスト投稿の7月は近年毎年のように台風や猛暑に苦しめられる月であり、今年も西日本を中心に豪雨に襲われたことは記憶に新しいです。

一方、「砂漠化」「海洋汚染」のようにスケールが大きすぎて鮮明に想像できず、何をしたら良いか分からないのも環境問題。

instagram編集部の高槻祐圭さん、中島千晴さんに行ったインタビューでは、この壮大な問題をどうやって一人一人の問題に結びつけるかについて、丁寧に検討を重ねた様子を聴くことができました。

(画像提供:オカタオカさん)

環境問題の入口としての「買い物」

「身近な買い物を見直そう」この切り口から環境問題のポストを制作した理由を、中島さんはこう説明してくれました。

環境問題は、放っておくと現状のまま、ではなくどんどん悪くなっていくもの。それでいて絶対に皆が気付かなきゃいけないから、何が出来るんだろう、何をしなきゃいけないんだろうと考えたとき、わたしたちの身近な買い物には、食べ物からエネルギーまでその一つひとつがどこかで環境と関わってくるからこそ、そこを見直すことからじゃないかなと思いました。

この7月からレジ袋有料化が始まり、近頃は街中でマイバッグを見かける事も増えたように思います。しかし以前のイベントレポートでもお伝えした通り、レジ袋有料化はあくまで環境問題について考える入口に過ぎません。

「何を買うか」という消費の選択は、どこか遠い出来事にさえ思える『環境問題』の中でも大きな影響力を与えている。だからこそ、このポストを身近な買い物が環境に掛ける負荷を考えるきっかけにして欲しいのです。

「無意識」「便利」を見直すこと。

買い物をする時、何を重視するか、意識するかは人によって違うと思います。その中で、「環境に優しいかどうか」を、わたしたちはどれだけ意識しているでしょうか。
7月投稿の検討資料の中には、「無意識」「便利さ」というキーワードが何度も出てきました。

特にこだわりのない買い物が、実は知らない間に大きな悪影響を与えていることって結構あると思います。なのでその無意識な部分を、もう少し意識的に選ぶよう変えていこうということや、便利さや手軽さは良いことと思いがちだけど、それを立ち止まって『便利さって本当に良いのか?』を考え直そう、ということもメッセージの中に込めてました。(高槻さん)
畜産やパーム油の問題のように、環境にはまだまだその悪影響が知られていない問題がたくさんある。環境に気を付ける以前の問題として、何も知らないから普通に買っているという無意識もあるのかなと思います。(中島さん)

「世界全体で何億トン」か、「毎週クレカ1枚分」か。

NO YOUTH NO JAPAN(以下NYNJ)のポストに関わるメンバーも、ほとんどが「投稿を作りながら学んでいく」立場。調べていくうちに知った知識やデータは、積極的に投稿に盛り込みたいものです。

特に環境問題はもともと多くのメンバーが強い問題意識を共有していた分、できるだけ詳しく伝えたい、課題を共有したいという思いが一層強くありました。NYNJとしてどこまで表現するか、全部のポストを通してどう伝えるかは念入りに検討されています。

高槻さんの口ぶりからは、全体の構成に手応えを感じた様子が伺えました。

最終的には「個人の身近な買い物を見直そう」というメッセージに結びつけるけど、環境問題はそれだけじゃない。その意味で、まず最初に「2050年、このままだとこんなことが起きちゃうらしい」と悪い予測を取り上げてから、個別のトピックとアクションの提示をする流れがうまくいったな、と思ってます。フォロワーさんからの「そんな未来にしないためには具体的にどうすれば良いんでしょうか?」というコメントを見た時は、良い流れで注目を集められたと実感しました。

一方、中島さんが触れたのはデータの使い方。『必ずしもデータを使うことが伝わる方法じゃない』ということを念頭に、データをどう見せるかかなり悩んだそうです。

「世界で数億トンのプラスチックがゴミに出されている」という規模の話をされても遠い話に感じて、「そんなに大量ならどうしようもない」と思ってしまう。でも「毎週クレジットカード1枚分のプラスチックを食べている」って言われたら、見直そうと思うんじゃないか。そんなジブンゴトにできるようなデータを選びました。

思い入れは「調べて行くうちに」生まれた

一つひとつ、丁寧なチェックのもと送り出されているポスト。二人のお気に入りのポストは何ですか?という質問には、選んだ1枚にとても思い入れがあると分かる笑顔で答えてくれました。

中島さんが「やって良かったな」と思ったのは、パーム油の問題を扱ったポスト。「植物性油脂」などと表現されるパーム油は、問題以前にその名前を知らない人も多く、中島さん自身調べているうちに気付いたことがポスト構成のヒントになりました。

パーム油の問題を調べて行くうちに、データよりも私が知って驚いた事実を軸に伝えたい、という思いからこの構成になりました。「環境への悪影響』と「ただやめれば良いわけではない」というパーム油が持っている2つの側面を伝えられたことが良かった。コメント欄にも「知らなかった」「今度からよく見てみます」など温かい言葉が並んでとても嬉しかったです。

高槻さんが選んだのは、「猛暑はもはや異常じゃないのポスト。高槻さんもまた調べていく中で、わたしたちがまだ生まれていない40年前の最高気温や、クーラーの普及率の今との違いにとても驚いたそうです。

「暑くなっている」という実感はあっても、それを数値として改めて見ると「こんなに変わってるんだな」と気付くし、その気温を数字ではなく絵にして表現したことが上手くいったと思います。

加えて、二人の印象に残っていたのは「2050年からの手紙」。

毎月この位置のポストは苦労して作るなかで、今月は「パッと閃いた」(中島さん)。問題意識を持ってもらう方法として、環境問題にはタイムリミットがあることを未来から切実に訴えかけ、30年後の夏を想像してもらうというアイデアに溢れた一枚は、知り合いからもとても好評だったそうです。

二人がInstagramから作りたい「きっかけ」

インタビューの最後に、二人が編集部での活動を通して実現したいことを尋ねてみました。

私は、それぞれのテーマを通じて普段の生活と政治との繋がりを意識するきっかけにしたいと思っています。様々な社会問題の、全てのトピックに興味を持つのは難しくても、「このトピックは問題だと思うな」と思える何か一つを見つけてほしいなとすごく思っています。だからこそインスタグラムで色々なトピックを扱うことには意味があるし、そのトピックの初心者にとっても分かりやすい投稿を作っていきたいと思ってます。(高槻さん)
私は「皆で一緒に考えるきっかけ」を作っていきたくて、見てくれる人と同じ目線でいられるからこそ出来ることがあるんじゃないか、という視点を大切にしていきたいと思っています。だから「教えてあげる」じゃなくて「一緒に知っていく」ことはインスタですごく大切にしてます。これからもそれを大切にしつつ、興味を持って「じゃあこうしよう」というスタンスを持てるように頑張りたいです。(中島さん)

(編集後記)
高槻さん・中島さんのいるInstagram編集部では、毎月何度も検討会を繰り返しながらポストのブラッシュアップを行っています。NYNJでは今年に入ってから月ごとに様々なテーマを扱っていますが、改めて一から見直してみると、ポストの内容は投稿を重ねるごとに充実しているように感じます。
私たちの一番の強み、と言っても過言でもないInstagramは、編集部の『きっかけを作りたい』という想いを原動力に、常に良くなり続けている。今回の取材で改めてそのことをしみじみ感じると共に、編集部メンバーの努力と素敵な人柄が一人でも多くの人に伝われば良いなと思いながら編集していました。

スケールの大きさに対して、わたしたちができることが見えにくい、一人ひとりのやっていることに意味があるのか分かりにくいという意味で、環境問題は政治そのものに似ているとも言えます。それは裏を返せば、環境問題でわたしたちができることのヒントは、政治の中に見出せるということ。票を集める政治家が当選するように、消費者が選ぶ商品がロングセラーになるのです。
であるならば、投票に行くことが一番身近な政治活動であるように、買い物を見直すことが、環境問題に対してわたしたちができる、一番身近なことなのかもしれません。

(文=野口 俊亮,記録=吉井 紗香)




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