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2024年2月・Nintendo Switch後継機に関する新聞記事についての雑感

 2024年2月26日。日経新聞が、Nintendo Switch後継機の発売時期に関する記事を出しました。それは2025年春になりそうだ、という記事でした。

 どうせ飛ばし記事だろ!

 と切り捨てる声がネットには溢れておりまして、日本のゲームファンが新聞のゲーム情報に対して厳しい目を向けていることが感じられる昨今なわけですが、そうやってシンプルに切り捨てるのは、ちょっともったいないとも感じております。そこで今回は、この記事について、思うところを書いておきましょう。

 そもそも、ゲーム機の発売に関する最速情報が、なぜ、いつも経済紙(や経済誌)から出てくるのか? そんな疑問について、なんとなく理解していただけたら、と思っております。




 新しいゲーム機の発売時期は、外部からは絶対にわからないものです。それは超ウルトラ級のトップシークレット。知っている人がいたとしても、ガチガチの守秘義務に縛られていて、よほどのことがなければ外に漏れることはありません。

 でも、トップシークレットだからこそ、経済紙(や経済誌)は、おおよその発売時期を予測することが可能になるんです。

 一例をあげましょう。

 世界中には、たくさんの半導体工場があります。

 それぞれの工場の生産能力を足していけば、地球上で年間に供給される半導体の総数は、判明します。

 次に、年間に作られる膨大な半導体を買い取る先を調べます。スマホメーカーA社が●●万個購入して、PC関連メーカーのB社が●●万個購入して……と調査していくと、これから作られる半導体の売却先がわかります。

 通常ならば、生産される(予定の)半導体の数と、買い取られる(予定の)半導体の数は同じになります。当たり前ですね。

 ところが、ときおり、ここにズレが生じることがあるのです。「あれ? この工場で数百万個の半導体が作られるはずなのに、それを買い取る先が、よくわからんぞ」という事実が見えてくるんですね。




 ここで、経済紙・経済誌の記者たちは動きます。

 こんなもん、まだ発表されていない、なんらかの新製品に使われるに決まってます。

 そして、いまの時代、数百万個もの半導体が要求される製品で、かつトップシークレットで動いている製品となれば、新しいゲーム機くらいしかありません。

 だとすると、ゲーム機発売初日には最低でも●●●万台を用意する必要があるだろうし、それだけの数の半導体が揃うのはこの時期になりそうだし……と計算して、おおよその発売時期が推測できるようになるのです。

 かつて、某ゲーム機に関して、発売時期や、発売初日に用意できる台数を、この手法でほぼ的中させた凄腕の記者がいたりしました。当てられた側は、ただ舌を巻くしかなかったとか。大昔の話ですが。

 いまなお、そういった凄腕の記者がいるかどうかはわかりません。昔よりもメーカー側の情報セキュリティは固くなり、漏れる情報が少なくなっているでしょうから、かつてのやり方では正しい情報をキャッチできなくなっている、という側面もあるでしょうし。

 とはいえ、日本のみならず、全世界で、新ゲーム機の発売時期に関する推測記事を真っ先に出してくるのが経済紙・経済誌になりがちなのは、ゲーム機に使われる「部品」を生産する工場の稼働状況をもとに、ゲーム機の発売時期を推測していくというアプローチをとるからなんですよ。これが、じつは一番早くゲーム機の発売時期を推測できる手法なんです。

 今回の場合は、液晶を製造する工場の動向もチェックしているかと思います。このくらいのサイズの液晶の製造が大量に発注された、みたいな情報をキャッチしたのかもしれませんね。

(以上、きわめてざっくりとした説明でした。実際には「そんなシンプルな話じゃねーよ」とツッコミが入る文章ではありますが、大目に見てください。あくまでも、ざっくりとした説明、ですので)




 という前提を知っていただいた上で、その推測記事が当たるかどうか? を問われたら、わたしには「当たるわけないですよ~」と返答します。

 だって、そんなもん、販売する側の匙加減ひとつだもん。

 すでに「このあたりに発売しよう」というスケジュールは内部的に固まっているかもしれませんが、それが報道通りかどうかはわかりませんし、そのスケジュールも、まだ後ろにズレるかもしれないし、あるいは前倒しになるかもしれません。すべては未定です。

 だから結果として、報じられていた時期とはまったく違うタイミングでゲーム機が発売されることになる可能性、めちゃくちゃ高いです。

 でも、だからといって

 ほら。やっぱり飛ばし記事だったな。

 と報道記事を切り捨てちゃうのは、もったいないと思うのですよ。こうして経済紙・経済誌などが新ゲーム機に関して報じ始めたら、「工場が稼働しつつある(あるいは、稼働する準備に入った)ことが、そろそろ専門メディアには見えるようになってきたんだな」と、そんなことを思っておくのがゲームファンとしての嗜み、なんじゃないかなぁと。



 その一方、こういった報道の中で、ゲーム機の中身に関する部分の記事は、まるっと無視してしまってOKです。

 どのようなゲーム機になるのか? といった細部に関しては、絶対に事前には漏れません。こちらは超ウルトラ・スーパー・スペシャル級のトップシークレットです。

 どのくらいトップシークレットかというと、おそらく、いま新ゲーム機の開発に名乗りをあげて、実際に新ゲーム機用のソフト開発に着手している各メーカーですら、新ゲーム機の本当の姿を知らなかったりすると思いますよ。

 これまでにも、実際にゲーム機が発売されてから、「こんな機能を持ってたのかよ!」「知らされてねーよ」と他メーカーの開発者がビックリした――なんて話があるほどですからね。ゲーム機は、実際に発売されるまで、いろいろな機能が隠されているんです。

 なので、記者がめちゃくちゃ頑張って、どうにかソフト開発メーカーの人から極秘情報を入手して、その情報を元に「こんなゲーム機になるようだ」と推測した記事を書いても、絶対に当たらないんです。だって情報源の人ですら、本当の機能のすべては知らないんですから。

 なので、いま時点で、どんなゲーム機になるのかを予測しているような記事があったら

 飛ばし記事かよ!

 と思っちゃってもいいです。新ゲーム機の詳細な中身に関しては、任天堂が公式に発表するまでは、誰にもわからんですよ。

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