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野やぎのエッセイ

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エッセイ・創作エッセイをまとめました。
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#創作大賞2023

スーパーのトマトぜんぶ買ってケチャップつくる。

息子、トマトが好きじゃない。 もともと味が濃かったり、刺激が強いもの(炭酸とか)が苦手。トマトもすっぱいのが好きじゃないそうだ。こういう子はけっこういるらしい。あとは、なんとなく。 この、子どもの「なんとなく」って乗り越えるのすごくむずかしくて、大変。 まあ無理に食べなくてもいいよ嫌いになっちゃうし気が向いたらね!の方針なのたけど……。 でもなぁ〜〜〜!トマト、万能バイプレイヤーなんだよなぁ、、、。 ついつい茶色一色、緑とツートンになりがちな食卓にトマトがあるとぱぁっと

やさしい背景でいたい。

レジに並んでいると、泣き声が聞こえてきた。 抱っこひもの中ではすやすや寝息がしている。 あれは、もう少し大きい子かな? 「……んぉおかぁぁぁあさーん……!!」 世の中で何が起きようが、生活は図太く続いていく。毎日は重なっていき、月曜日はジャンプが出るし、お腹は空くし、子どもは元気に泣く。 いろんな事情があるから、子連れで買い物にもくる。うちもそうだ。大変な世の中がある一方、毎日のたくましい生活だってしっかりとある。 順番になり、妻がレジに進むとき、 「地獄の底みたいな

初めてLGBTを見たとき、ポケモンのことだと思った。

「女みてぇな声しやがって!!」 誰かのこころが踏みにじられて、止まってしまった瞬間を、その時初めて見た。 耳元で叫ばれた言葉の威力を、ぼくは今もわかっていない。 + というより、たぶん、ぼくは気づいていない。 これは怒られるかもしれないけれど、と書くと語尾語頭ぜんぶに保険掛けたくなるので一度しか書かないけれど、 (これは怒られるかもしれないけれど)初めてLGBTの文字をみたとき、ぼくはポケモンの新作だと思った。 さっとウェブニュースの見出しだけみて、おおー!新作