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野やぎのエッセイ

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エッセイ・創作エッセイをまとめました。
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#家族の物語

母がちょっとボケてきたらしい話。

母がちょっとボケてきた、らしい。 らしい、というのも一緒に住んでいないから、直接のところはわからないのである。 でも、兄姉から聞いたところによると、ちょっとボケてきたらしい。そういう症状があると、いう話らしい。 らしいらしいは、不安を呼ぶ。 よく親が仕事を引退したら、一気にボケたとか進行した話があるけど、いざ自分にふりかかると、なんだろう。 まったく、現実感がない。遠い。 母はもともとおっちょこちょいな感じあるし、心配性+忘れっぽいのダブルコンボ搭載型だから、遠方

傘みたいな母に傘を贈った話。

母に傘を贈った。 小学校の先生の母は、今年で先生を終える。 小さな島で先生をしていた母とは忘れられないエピソードがいっぱいある。そして、小さい頃の思い出は母を傷つけた後悔が多い。 中でも一番は、何かの折に口にした一言のこと。 「生みの親はお母さんで、育ての親はばあちゃん。」 これは刺さった。深々と、ブッスリ。 わたしが小さい頃、母は仕事が忙しくて、父方のばあちゃんが主に面倒を見てくれた。 ぼくとしては母親が二人いてラッキーくらいの気持ちだったけれど、言われた方はめ