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神戸からのデジタルヘルスレポート #33 (Be My Eyes/TapGenes/CuePath/Stepscan/Luna Lights)

『神戸からのデジタルヘルスレポート』は、神戸拠点のプロジェクト支援企業・Cobe Associeが提供する、海外のデジタルヘルススタートアップを紹介するマガジンシリーズです。

今回は第33回です!
元気にデジタルヘルススタートアップを紹介していきます:-)

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1. Be My Eyes:視覚障がい者コミュニケーション支援アプリ

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企業名:Be My Eyes
URL:https://www.bemyeyes.com/
設立年・所在地:2012年・アメリカ
直近ラウンド:Grant/Seed(2019年1月)
調達金額:$2.5m(EASME、Singularity University、Velux Foundationなど)

Be My Eyesは、視覚障がい者とその支援者をつなぐビデオ通話のアプリ。食品の賞味期限を知りたい、身だしなみの確認がしたい、そんなときに支援者とビデオ通話をつなげることでぱっと確認ができちゃいます。

アプリ利用者がリクエストボタンを押すと事前に登録されたボランティアの電話に通知が飛びます。ボランティア側でそのリクエストを承認すると2者の間でビデオ通話が接続され、 もしそのボランティアがそのリクエスト応えることができない時は自動で次のボランティアをアプリ側が探し出す、村内シンプルな構造。ほとんどのケースでは60秒以内に応答があるようで、すぐに答えが知りたい!という場面でも十分な対応速度なのでは、と感じます。

現在、150以上の国/180以上の言語に対応しており、17万人近くの視覚障がい者、300万人以上のボランティアが登録されています。300万人!

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もちろん日本でも利用可能。アプリストアでは「目の見えない人の目になろう」のコピーとともに、ボランティアを募っています。英語だと"See the world together"。英語版も素敵だ。私もさっそく登録してみました。

とても素敵なWebの使い方だなと思いました。AIだなんだとありますが、このシンプルな助け合いの形に、Webサービスの源流を見た気がします。

2. TapGenes:家系図×健康リスク予測

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企業名:TapGenes
URL:http://tapgenes.com/
設立年・所在地:2013年・シカゴ
直近ラウンド:Seed(2015年2月)
調達金額:$20k(Blueprint Health)

TapGenesは、家族の過去の病気や健康状態、生活習慣などの情報を家系図形式でまとめめかつ分析することで、遺伝的な要因も検討しつつ自分や家族の健康リスクを予測してくれるサービス。

疾患によって大きな影響を及ぼす家族の既往歴。病院で「ご家族の方に~のような病気を持った方はいますか/いましたか?」のような問診を受けたことがある方も多いはず。TapGensを通じて親や祖父母など親類の病歴を登録することで、自身や子供の健康リスクを事前に明示、予測してくれます。

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自分の祖父母は4人全員なくなっているのですが、その死因がなんだったか知らないな、と今回気付かされました。循環器疾患だったのか、がんだったのか、それとも他のなにかだったのか。それを知っておくだけでも、日常生活の注意点が浮き彫りになりそう。

3. CuePath:家族・介助者による服薬リモート管理

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企業名:CuePath Innovation
URL:http://cuepath.io/
設立年・所在地:2015年・カナダ/バンクーバー
直近ラウンド:Seed(2017年11月)
調達金額:$1.9m(Canada Innovation Acceleration Investment、E-Fund、Techstarsなど)

ヘルスケア系のアイディアソン・ハッカソンをやると必ずと行っていいほど出てくる服薬管理サービス。今回は有名アクセラレーターTechstars出身で、同領域で戦うCuePathをご紹介します。同社は特に老人ホームでの服薬忘れという課題と戦っています。(とある調査では23%の利用者に服薬忘れなどの問題があるとのこと)

このサービスのコンセプトはシンプルで、家族や介護者が患者の服薬をリモートで追跡、管理できるサービス。服薬の時間になると患者側のアラームが鳴り薬を飲む時間になったことを伝え、服薬を忘れていた場合、今度は家族・介護者にお知らせを出します。患者向けだけではなく、そのステークホルダーにまでアプローチしていくのはいいですね。

↓の画像がCuePathの実際のプロダクト画像なんですが、曜日×時間帯で分けられたお薬キットと一緒なんですね。進化したPillPack感ある。

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ただアプリで通知を出すだけだと、正直すぐに惰性になってしまって、通知を出しても反応しない・飲み忘れが増える、ということになってしまいそう。老人ホームという環境にフォーカスし、家族・介護者を巻き込み、かつ実際の薬のパッケージングにまで踏み込む。ここまでやって、やっと行動変容に繋がるんだなと。いいサービス。

4. Stepscan:歩行分析プラットフォーム

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企業名:Stepscan
URL:https://stepscan.com/
設立年・所在地:2011年・カナダ/シャーロットタウン
直近ラウンド:N/A
調達金額:N/A

歩き方、人の癖が出ますよね。stepscanはそんな歩き方の特徴を電子フロア(ヨガマットのような...)と動画、解析ソフトウェアを組み合わせて、組み合わさった歩行分析用のプラットフォーム。整形外科領域での研究やリハビリ、スポーツパフォーマンス向上や軍事訓練(!)で活用することを想定しているとのこと。

Webサイトはいかにも医療者の人が頑張って色々書きました!っていう文字細かめUIなんですが、プロダクトの良さをさっとまとめると、
 - 前例のないレベルの正確で信頼性の高いデータが取得可能
 - 最大400平方フィートの測定範囲
 - シンプルで測定に影響を与えない控えめなデザイン
 - 複数の評価・計測項目を単一のデバイスで可能
 - 松葉杖などの歩行補助具があっても正確に測定可能
とのこと。

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臨床視点では、パーキンソン病、脳性麻痺、関節炎など、歩行や運動に影響を与える疾患の評価と診断に役立つとのこと。軍事訓練・シミュレーションに関するプロダクトがリリースされたのは2019年の5月で、脚・歩行の切り口でどんどん新境地を切り開いていきそうなスタートアップ。

5. Luna Lights:高齢者の夜間安全性を高める自動照明システム

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企業名:Luna Lights
URL:https://lunalights.org/
設立年・所在地:2014年・シカゴ
直近ラウンド:Seed(2017年2月)
調達金額:$657k(The We Company、Jumpstart Foundryなど)

高齢者の夜間行動(トイレに行くなど)は、視覚的な情報が少なさから転倒の危険性がかなり上昇します。米国では転倒により年間220万件の救急搬送につながっており、外傷や骨折、介護度の上昇などにつながっています。

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Luna Lightsは、そんな高齢者の夜間行動の安全性を高める自動照明システム。高齢者がベッドから出た瞬間に床にある超薄型圧力センサーが動きを感知、自動的に照明をオンにしてくれます。また、ベッドに戻ると、センサーが自動的にライトをオフにします。自動感がいい。

このサービスは対象者の夜間行動を自動的に記録し、介護者にテキスト通知を送信すると同時に夜間行動の傾向を分析、転倒の危険性が最も高い対象者を選別することが出来ます。さらには夜間行動の多寡によって、きちんと睡眠がとれているかなど健康状態の把握にも役に立ちます。

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日本でも高齢者の転倒は大きな問題になっており、平成28年のデータでは80代前半の転倒・転落による救急搬送は10万人あたり約3千人、うち中等症以上の比率も4割強です。ご本人ももちろんですが、ご家族や介助者、医療施設の方々もお困りのテーマのはず。転倒予防、取り組んでいるプレイヤーは多いですが、どこが伸びていくんでしょうかね。。

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こんな感じで、第33回でした。
noteマガジンにもしてみたので、もしよかったらフォローしてください:-)

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