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神戸からのデジタルヘルスレポート #47 (循環器領域)

『神戸からのデジタルヘルスレポート』は、神戸拠点のプロジェクト支援企業・Cobe Associeが提供する、海外のデジタルヘルススタートアップを紹介するマガジンシリーズです。

今回は第47回、心臓や脳、血管などを扱う循環器領域です:-)

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1. Coala:心音・心電図リモートモニタリング

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企業名:Coala Life AB
URL:https://www.coalalife.com/jp/
設立年・所在地:2014年・ストックホルム/スウェーデン
直近ラウンド:Venture Round(2019年4月)
調達金額:$20m(Larry Leksell, Anders Nyrén など)

Coalaは、心音と電気信号から心臓の健康状態をリアルタイムでモニタリングする機器。ユーザーが自分の胸に測定機器を60秒間押し当てるだけで測定完了、測定されたデータはBluetooth経由で専用のアプリケーションに送信されます。

FDA承認済み、CEマークも取得していて、利用には医師からの指示が必要です。2020年4月には、COVID-19の診断のために肺音を検知できる機能も追加され、FDA緊急使用許可(EUA)を取得しています。

遠隔でもCOVID-19の診断や、罹患者の病状追跡を行うことができるようにと。これぞデジタルヘルス、変化への柔軟性とスピード感を感じました。

2. Eko:AIデジタル聴診器

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企業名:Eko Devices, Inc.
URL:https://www.ekohealth.com/
設立年・所在地:2013年・バークレー/カリフォルニア
直近ラウンド:Series B(2019年9月)
調達金額:$27.8m(Seraph Group, NTT Venture Capital など)

次にご紹介するのも遠隔医療を実現するプロダクト。Eko Devices, Inc.は、Ekoブランドで複数のAIデジタル聴診器を提供しています。単に心音と肺音を取得するだけではなく、当該データをAIで解析・分析します。収集されたデータはワイヤレスで接続されている専用プラットフォームに蓄積され、リアルタイムで心音図や波形が表示・共有されます。

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AI精度に関する研究をもりもりしています。心房細動や心雑音の検知について、Ekoを併用することで見逃し減るよー!という結果も。

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聴診器の形態も様々。医療的な側面での効果・正確性はもちろん、プロダクトのスタイリッシュさも追求している、いいスタートアップですね。

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3. PIVO:痛みの伴わない採血機器

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企業名:Velano Vascular, Inc.
URL:https://velanovascular.com/
設立年・所在地:2012年・サンフランシスコ
直近ラウンド:Venture Round(2019年12月)
調達金額:$61.2m(Intermountain Healthcare, Robert Parkinson など)

循環器に限りませんが、採血に関するプロダクトを取り上げます。採血は痛み、感染リスク、患者の満足度の低下、穿刺によるストレスやトラウマなどを通じて、患者の負担を高めています。私も苦手です、採血...

Velano Vascular, Inc.は入院患者さんの採血にまつわる問題を解決するために、PIVOという静脈カテーテルを利用した使い捨ての無針式採血機器を開発しました。カテーテルの内部にチューブを挿入することで採血が可能なため、患者さん本人はもちろん医療者の負担軽減にもつながっています。

PIVOは2015年にFDA認証を取得、その翌年にFrost&Sullivan 2016 New Product Innovation Awardを受賞、2019年にはFast Companyが選ぶ"The World's Most Innovative Companies"のBioTech部門でTop10に選定されています。こういったテクノロジーが、日本においても広まってほしいな。。

4. HERO:アジア発・心臓発作の検知機器

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企業名:MobioSense Inc.
URL:http://www.mobiosense.co/
設立年・所在地:2017年・台北
直近ラウンド:Grant(2017年11月)
調達金額:N/A(MassChallenge)

医師は心臓発作を心電図と血液マーカーによる検査で診断を行います。しかし、その検査は
・時間がかかりすぎる
・精度が低い
という欠点から、過剰な医療費や入院期間の延長という問題を発生させています。

そんな問題を解決するのが、MobioSense Inc.が開発したHEROという機器です。

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バイオチップに指先の血を一滴落とすことで、3つの心臓発作に関連するマーカー結果を10分で提供します。感度は現在のテストよりも100倍感度が高く、価格も70%安価。また、試薬や冷蔵などの行程も必要としません。心臓発作検知のためのオールインワンソリューションです。この機器を救急車で使用することで、検査時間を10分に短縮し、全体の入院期間も13時間以上短縮、費用も3分の1未満に削減できます。

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高感度で早急な検査のおかげで、確定診断までの時間が短縮され治療をすぐに開始することができます。毎年900万人もの人が胸痛で救急を利用するそうなので、この機器によって救える人が大幅に増えるのではないでしょうか。まさに、HEROですね。名前も素敵。

5. VasoGnosis:脳血管疾患の手術計画立案支援

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企業名:VasoGnosis Inc.
URL:http://vasognosis.com/
設立年・所在地:2019年・ミルウォーキー
直近ラウンド:N/A
調達金額:N/A

VasoGnosis Inc.は、脳動脈瘤などの脳血管疾患のためのAIを用いた診断支援プラットフォームを提供しています。紹介動画をどうぞ!

このプラットフォームには、2つ主な機能があります。

1つ目は、脳血管画像からAIを用いて脳血管疾患の発見や診断を支援すること。MRI・レントゲンなどの脳画像から脳内の異常や病変を自動で検出します。さらに、脳血管の拡張度を測定・分析し、血管の破裂リスクを算出してくれます。

そしてもう一つが、AIによる手術計画立案の支援です。

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治療の具体的なイメージを、「what-if」というシナリオシミュレーションとして医師に提供してくれます。医師はVRでシュミレーションを見て、手術計画の立案や修正を行います。本当にこの治療法でよいのかどうか、シミュレーションを通じて確認できると。

同社は、2020年4月にLife Science Intelligence, Inc.が選出する「Emerging MedTech Startups」に選出されました。まだ開発段階のプラットフォームではありますが、これからに期待!

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こんな感じで、第47回でした。
過去分もたっぷり厚くなってきました。マガジンのほうもぜひ見てみてください:-)


応援ありがとうございます!