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神戸からのデジタルヘルスレポート #40 (Neurotrack/Embark Veterinary/Fairygodboss/Zum/Confident Cannabis)

『神戸からのデジタルヘルスレポート』は、神戸拠点のプロジェクト支援企業・Cobe Associeが提供する、海外のデジタルヘルススタートアップを紹介するマガジンシリーズです。

ついに第40回!長い道をきた!
今回も元気にデジタルヘルススタートアップを紹介していきます:-)

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1. Neurotrack:認知機能の低下予防アプリ

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企業名:NeuroTrack Technologies Inc.
URL:https://www.neurotrack.com/jp/
設立年・所在地:2012年・サンフランシスコ
直近ラウンド:Series C(2019年6月)
調達金額:$50.4M(Sompo Holdings, Khosla Ventures, Dai-ichi Lifeなど)

SOMPOや第一生命など日本関連の企業から出資を受けるデジタルスタートアップがこちら。Websiteも日本語版を用意しています。

Neurotrackは、将来的な認知機能低下のリスク軽減を目指し、脳の健康を管理するプログラムを組み込んだアプリケーションです。認知症に対する介入研究「FINGER study」をもとに、SOMPOひまわり生命と共同開発しています。簡単なテストで認知機能を測定し、エビデンスに基づいた生活習慣改善プログラムをニーズに合わせて提案してくれるというもの。テストは定期的に実施されるため、認知機能の経時変化も知ることができます。

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介入プログラムは、「食生活、運動、睡眠、ストレス、脳トレ、人とのかかわり」の6領域から構成されます。この介入プログラムは臨床研究で効果検証されており、認知症リスクが高い高齢者において、認知機能・うつ病・不安のレベルが統計的に有意な改善を認めたとのこと。その結果は学術論文として公開されています。

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認知症に対する世界の流れは治療よりも予防にシフトしており、その流れは日本でも踏襲されています。2018 年にNeurotrackと業務提携した第一生命は、認知症保険の付帯サービスとして「目の動きだけで認知機能の状態を把握する」アプリをリリースしています。Neurotrackの直近の資金調達にもSOMPOや第一生命が投資家として参加、加入者に対する普及促進もしていきそうですね。今後日本で認知症予防アプリがどう普及していくのか、要チェック。

2. Embark Veterinary:犬のDNA診断サービス

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企業名:Embark Veterinary
URL:https://embarkvet.com/
設立年・所在地:2015年・ボストン
直近ラウンド:Series A(2019年4月)
調達金額:$16.3M(Third Kind Venture Capital, Freestyle Capitalなど)

Embark Veterinaryは、飼い犬のDNA診断を行ってくれるサービスを提供しています。

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犬のDNA鑑定なんて調べてどうするんだろう?と最初思ってしまったんですが、調べてみると興味深さが止まらない。。DNA鑑定によって以下の情報を知ることができます。

・飼い犬に含まれる犬種の種類とその割合
・飼い犬の家系図
・遺伝子情報が近い親戚の同定(実際の住んでいる場所までわかる)
・遺伝的健康情報
・容姿から推察される遺伝的な情報

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簡潔に言うと「ペットをより深く理解するためのツール」としての位置づけで、さらに将来かかるリスクが高い病気を知ることもできるため予防的意味合いも。人間がDNA診断を行うのと同じような理由ですね。

検査の流れは簡単。検査キットを取り寄せて飼い犬の口の中を綿棒でこすり、それを郵送するだけで完了です。お値段は品種識別キットが129ドル、品種識別と遺伝的健康検査キットが199ドルとなっています。

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DNA鑑定によって遺伝性質が近い親戚が判明するとともに、このサービスはその犬がどこに住んでいるかも教えてくれます。犬が親戚という理由での飼い主同士の交流も結構あるそう。動物に対するサービスを人のコミュニティ形成までつなげているのはすごいですね。いろんな動物にも応用できそう。

3. Fairygodboss:女性のキャリアコミュニティサイト

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企業名:Fairygodboss Inc.
URL:https://fairygodboss.com/
設立年・所在地:2015年・ニューヨーク
直近ラウンド:Series A(2019年4月)
調達金額:$14M(Signal Peak Ventures, GSV Ventureなど)

広い意味でのフェムテック企業のご紹介。

女性にとって勤務先を見つける際に注目するポイントは、男性とは異なります。仕事内容や給与に加え、会社での女性の立ち位置・女性の割合・出産や子育てに対するフォローなど女性特有の着眼点があります。

Fairygodbossは女性専用のキャリアコミュニティサイトで、働く女性にキャリアコネクション、求人情報、企業情報が女性目線で投稿されています。サイトはFacebookライクで、各ユーザーが投稿する企業情報を閲覧できます。

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サイトには本当にその会社が働きやすい環境なのか、当事者から生の声が投稿されています。ユーザーは会社に対する評価をつけることができ、その評価をもとにした企業の総合スコアが算出されます。5位までだと以下の画像のような感じ。

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このサイトは優秀な女性を採用する場、企業イメージを向上させる場として企業にとっても有益なサービス。現在130を超える米国の主要企業がこのサイトと提携しており、Johnson&JohnsonやFacebookなどの有名企業もランキングに名を連ねています。利用している女性の求職者は700万人超で連携している企業も増え続けている模様。今後の発展も楽しみ。

4. Zum:登下校における子供の送り迎えサービス

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企業名:Zum Services Inc.
URL:https://www.ridezum.com/
設立年・所在地:2015年・カルフォルニア
直近ラウンド:Series C(2019年2月)
調達金額:$71M(BMW i Ventures, Volvo Cars Tech Fundなど)

Zumは、子供の送り迎えを行うサービスを提供しています。

現時点で500万回以上の送り迎えを実施しており、サービスを利用している学校は1万校以上・平均評価は4.9と抜群の実績です。その人気の理由は、安全性の高さと低コストにあります。

まずは、安全性。すべてのドライバーに、指紋採取・バックグラウンド調査・車両認証などの厳格なドライバー審査を実施しています。送迎中は車がどこを走っているのか、だれが運転しているのかを親がリアルタイムで閲覧できます。確かに親にとって便利なうえに安心です。

また、送り迎えにかかる料金は使用した分だけと低コストです。使用する車は登録したドライバーの自家用車なので、ドライバーの給料や自動車保険などのコストは一切かかりません。

さらにいいなと思ったのが、住んでいる場所が近い利用者同士で相乗りができること。友達と車で学校まで行けるなんて最高にいいですね。

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本サービスは、サンフランシスコ湾岸地域・ロサンゼルスなどの子供や学校の多い住宅地でよく利用されているようです。共働きで忙しく、子供の送迎にまでリソースを割けない親向けのサービスとして利用されているようですね。

また、2019年2月のSeries Cでは、BMWも投資家として参加。モビリティど真ん中へ。今後サービスを展開も楽しみ。

5. Confident Cannabis:大麻製品のオンラインストア

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企業名:CC Software LLC
URL:https://confidentcannabis.com/
設立年・所在地:2015年・サンフランシスコ
直近ラウンド:Series A(2019年1月)
調達金額:$15M(Poseidon Asset Management, FJ Labsなど)

いまっぽさ全開のスタートアップを。Confident Cannabisは大麻製品とラボテスト用のソフトウェア・実験器具を取引するBtoB向けサービスです。

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製品を出品する生産者は、製品の安全性をテストした実験結果などの情報をサイトに登録します。掲載する商品はガイドラインを準拠するものでなければ掲載することはできません。小売業者は、掲載されている情報を見て、商品を安心して購入することができます。

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また、大規模な市場データをもとに、価格の見積もり・製品の販売などを一括で行うことができるソフトウェアも販売しています。こういった支援が製品の安全性を向上につながっているのかなと思います。

企業名にある「Confident」は、大麻のネガティブなイメージなど関係なく、本サイトの製品は違法性のない合法的なものだと自信をもっているという意味が込められているそうです。まさに市場の立ち上げ期。フェアネスこそ至上。

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こんな感じで、第40回でした。
noteマガジンにもしてみたので、もしよかったらフォローしてください:-)

応援ありがとうございます!