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神戸からのデジタルヘルスレポート #56 (職場・従業員)

『神戸からのデジタルヘルスレポート』は、神戸拠点のプロジェクト支援企業・Cobe Associeが提供する、海外のデジタルヘルススタートアップを紹介するマガジンシリーズです。

今回は第56回、職場や従業員をテーマにしています!
元気にデジタルヘルススタートアップを紹介していきます:-)

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1. Shift POSTS:薬剤師のシフト配置支援

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企業名:FourQ Technologies Inc.
URL:https://shiftposts.com/
設立年・所在地:2019年・トロント/カナダ
直近ラウンド:N/A
調達金額:N/A

Shift POSTSは、薬局における薬剤師のシフト配置を支援するサービス。フリーランスの薬剤師をプール化し薬局とのマッチングを支援することで、薬局が日々苦心する薬剤師確保やシフト配置の問題を解決してくれます。紹介動画をまずどうぞ。

利用の流れはシンプル。薬局はシフトを入力しそのシフトにフィットする薬剤師の候補をサービス側が提案、薬剤師個人にオファーを送り受諾されればそれでDone。めっちゃ簡単やん。

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さらに、薬剤師への支払いもこのプラットフォームで行うことができます。誰を雇ったのか、誰にいくら払ったのかが明確になるため、シフト管理だけでなく薬局の経営に対する支援にもなりそうです。

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薬剤師のプロフィールには薬局側からの評価が付きます。その他にも住所や資格、言語など複数条件はありますが、最終的には評価の高さが決定的な要素になりそう。相互に気持ちよく働くための仕掛けが諸々と。
利用はシフト5つ分管理可能なスタンダードプランで$175/月。これで管理者の時間が月々10時間でも削減できればペイできちゃいますね。良さそう。

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2. Kenzen:産業労働者の熱中症防止ソリューション

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企業名:Kenzen, Inc.
URL:https://www.kenzen.com/
設立年・所在地:2014年・サンフランシスコ/アメリカ
直近ラウンド:Convertible Note(2018年3月)
調達金額:$8.1m(Gaingels, Sofia Fundなど)

(最初に...)英語で言うところのIndustrial workersの方を対象にしたサービスなんですが、これを素直に訳すと産業労働者で、ちょっと日本語として馴染みがないなぁと感じています。真っ直ぐにいうとフィールドワーカーや肉体労働者的なことなんですが、なんというかこの言葉を使うことに違和感というか心理的摩擦があり、どうしようかなーと思ったんですが、産業労働者にいったん統一しています。ご理解のほど!

Kenzenは、産業労働者やスポーツ選手が熱中症にならないように生理学データをモニタリングするデバイス及びプラットフォームです。データを収集するパッチは、心臓の近くと上腕の2か所に装着可能です。

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モニタリングできるのは心拍数、体温、発汗量、活動量。これらのデータからリアルタイムでリスクを評価します。収集されたデータはアプリ上で確認でき、Web上のダッシュボード上では職場の管理者が従業員全員のデータを見ることもできます。よって、現場の管理者が作業場から離れていても従業員の体調を常にモニタリングすることができます。

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肉体を酷使する仕事をしている労働者にとって、何か体に異変が起こる前に防ぐことが必要です。このプラットフォームがあれば、常にモニタリングを行いリスクを最小限に抑えることができるはず。いいサービス、必要なサービスや。

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3. InnerSpace:会社内の物体移動管理IoTプラットフォーム

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企業名:InnerSpace Technologies Inc.
URL:https://innerspace.io/
設立年・所在地:2014年・トロント/カナダ
直近ラウンド:Seed(2019年3月)
調達金額:$3.8m(BDC Capital Women in Technology Fund, Zach Coelius など)

InnerSpaceは、各種の物理センサーを用いてオフィス内の人や物の動きを監視するIoTプラットフォームです。

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まずは、紹介動画をどうぞ!移動に合わせてSlack通知が来たり、会議室の予約状況などを可視化したり、空調や清掃状況を可視化したり...未来感ある。

InnerSpaceは、屋内の人や物の動きや位置を監視しているため、建物内で何が起きているかすべて把握しています。例えば、

・どこの会議室、スペースが空いているか
・訪問者が何人いるか
・カフェテリアに何人いるか
・どこのスペースがすでに掃除されているか

などです。状態の1/0も、各状態の定量的状態も把握しています。その情報を、メールやチャットで個別共有することで行動を促す。さらに、内部空間を感知してナビゲーションマップを自動生成し、訪問者を目的の位置に誘導するためのナビゲーション機能などもあります。やはり未来...

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例えば職場内での動きが少ない人に回遊を促したり、座りっぱなしの人にスタンディングデスクを促したり、会話が少ない人に発話を促したり、職場内での心身の健康を守るのに役立ちそう。

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これらのテクノロジーは、大きなオフィスを持つ大企業に特に有用で、GoogleのSidewalk LabsやAirBnB、IBMなどの企業で導入されているようです。同社は、将来的にこの技術をスタジアムや空港などで活用できるようにしていくそうです。今後の動向に注目です!

4. Fuel50:従業員のキャリア管理プラットフォーム

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企業名:Career Engagement Group Ltd
URL:https://www.fuel50.com/
設立年・所在地:2013年・ラグナニゲル/アメリカ
直近ラウンド:Series B(2019年8月)
調達金額:$20.6m(PeakSpan Capital など)

Fuel50は、人工知能を用いて従業員のキャリアの管理や再配置を支援するプラットフォームです。このプロダクトを通じて従業員一人一人に対して最大限の能力を発揮できる環境を提供し、従業員のエンゲージメントや生産性を向上させることを目指しています。ちょっと古い動画ですがイメージを掴むには↓がよさそう。

Fuel50の一番の特徴は、従業員ごとにスキルと才能をランク付けし従業員の特徴を視覚化してくれることです。そのため、プロジェクトチームの構築や従業員の再配置を的確に行うことができます。的確な人材の配置は企業利益だけでなく、従業員の自身の育成やキャリアアップにもつながるはず。

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このプラットフォームを使用した企業には、仕事へのモチベーションやエンゲージメントの上昇、退職率の低下など大きなインパクトがもたらされているようです。実際に、Fuel50を導入しているすべての企業で、3〜30%のエンゲージメントの上昇が認められているとのこと。なかなかのインパクトや。

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現在、個人の価値観の変化や組織と個人の関係性の変化によって、働くうえでエンゲージメントは欠かせない価値観となっています。職場の健康を考える上で、エンゲージメントは大事な要素。こういうプロダクト、好きです。

5. Mable:支援を求める人と支援したい人をつなげるマッチングプラットフォーム

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企業名:Mable Technology Pty Ltd
URL:https://mable.com.au/
設立年・所在地:2014年・シドニー/オーストラリア
直近ラウンド:Series C(2019年5月)
調達金額:A$20.3m(Ellerston Capital, Ellerston Capital など)

デジタルヘルスど真ん中ではないんですが、介護領域も見据えて、助け合いのプラットフォームをご紹介します。

Mableは、支援を求める人と近所にすむ支援者をつなげるマッチングプラットフォームです。支援を求める人が支援してくれる人を探すだけでなく、支援したい人が支援を求める人を探すこともできる双方向型、まさにプラットフォームサービスとなっています。

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使い方は、自分が求めているサポートや仕事に合致するものを選び投稿者と連絡をとります。価格・時間・場所について話し合い、お互いの条件が合致すれば契約成立となります。

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しっかりしてるなと思ったのが支援者の登録過程。支援者として登録するためには、厳格な審査プロセスをクリアする必要があります。加えて、オーストラリアでアルバイトをする際に必要な「Australian Business Number」という事業者登録の取得が必須となっています。登録するには公的な証明が必要ということですね。

また、そういった審査プロセスに加えて、仕事内容や投稿者のプロフィールは詳細に公開されているため利用者も安心して支援を頼むことができます。

さらなる特徴としては、価格が低く設定されているところ。同様のサービスを比較すると、労働者への報酬を多く、手数料を低く設定されています。そのため、利用者はより長時間のサポートを受けることが可能になります。

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困っている高齢者や障がい者のケアを行うサービスはたくさんありますが、このプラットフォームはコミュニティとのつながりによって支援するというところに重きを置いています。「困っている人をコミュニティで支える」これが本来あるべきケアの姿かなと感じました。

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こんな感じで、第56回でした。
過去分もたっぷり厚くなってきました。マガジンのほうもぜひ見てみてください:-)

応援ありがとうございます!