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お金を無駄にしない!「はじめてのコンサル発注」で失敗しないために

本記事サマリ:
コンサルに相談するかと思ったら私まで連絡してください。私の所で解決するかどうかは別にして誰に相談(あるいは依頼)すべきか、ある程度の確度で明確になるはずです。お気軽にDM/メールを。

"誠実教 言いたいことは先に言え宗 ポジショントークは事前に宣言すべき派"

こんにちは。Cobe Associeの田中と言います。
新規事業・スタートアップ関連のリサーチや事業推進支援をしています。

普段からいろんな大企業事業部さんやスタートアップさんとお付き合いがあるんですが、「それはコンサルファーム(含 シンクタンク、各種事業支援フリーランス)に無駄に金使ってますね/使おうとしてますね」事案を見かけることが増えました。使おうとしてますね事案では、必死の形相でやめましょう!と伝えています。

そういう方々はみなさん、深いお悩みをお持ちです。課題は大きいけど、社内メンバーは忙しいし、能力のミスマッチもあるし、何をすべきかもよくわからないし、、、、
そんなときに、問題・課題をそのままにせず、コンサルに依頼してでもよっしゃ前進させるで!と考えるビジネスパーソンの方々、好きです。

コンサルに依頼すると、3ヶ月で数百万くらいは簡単に吹っ飛びます。マッキンゼーだBCGだに依頼すると、3ヶ月で数千万後半〜1億超もざらっす。
成果が出ればいいんですよ。成果が出ればいいんですが、そんだけのお金を使っているのに成果が出なかったら、やってらんないですよね。

今回は、なんでそんなことになっちゃうのか、そうならないために”依頼者”として何が出来るか、について思うことを乱文で書いていこうと思います。乱文です。(大事なことなので2回書きました)

注記】自身のバイアス/信念について

 私は2012年に新卒でボストン・コンサルティング・グループという比較的まともなコンサルファームに入社しました。フロントに立つコンサルタントはもちろん、秘書さんやナレッジチーム、チームサポートメンバー含めてみなさんスーパー賢くて(かつほとんどの人は優しくて)、自分が事業会社に移ったら依頼が出来るといいなぁと思える人・チームがたくさんいました。たぶん今までもたくさんいます。

 なので、「コンサルティングファーム/コンサルタントは適切に付き合えば良い成果に繋がる+その適切な使い方は存在する」という前提(ある種の信仰)があります。その前提があるから、いまもこういう仕事をしています。

 異なる前提を持つ人がたくさんいることは理解しています。「所詮コンサル、特に知識もないのに高い金をもらってさ」「高級文房具以上でも以下でもない」「性格的にもいやなやつばっかり」みたいな(私も部分的に同意できるところがたくさんあります)。そういう方々は、『ここに書いてあることを実践しても所詮成果は出ないよ』というでしょう。そうかもしれません。

 それでも、↑のような前提/信念を持つ私なので、とりあえず書くことにします。読んでくださる方にはぜひ、この前提を踏まえてご理解賜れますと。

"誠実教 言いたいことは先に言え宗 ポジショントークは事前に宣言すべき派"

そこでコンサル遣うんかい。無駄遣い(未遂)事案

言えること言えないはあるんですが、書ける事案を書ける範囲で記載すると

  • 某スタートアップ(シリーズB後くらい)、COOが突然「向こう3年間の事業戦略を考えるためにBCGとATKに問い合わせてみた。2ヶ月後からプロジェクト動かす予定」と言い出す。予算は~2千万。絶対に相手にされないし相手にされてもまともなコンサルタントはアサインされないのでやめてくれと必死に伝えて無事に鎮火。

  • 某スタートアップ、市場調査+顧客課題明確化のために元大手ファーム出身者が代表を務めるブティックファームに数千万出してプロジェクトスタート。いろいろ依頼して、いろいろ紙が出てきたものの、その示唆が何かに反映されることはなく、PJT締めから半年後くらいに社内メンバーが同じような課題・イシューへの対応を考えるPJTを開始。なんだったんだ。

  • 某歯科医院、毎月1回面談して「スタッフをもっと元気づけましょう!」「朝礼でこんなテーマを扱うべき!」みたいな助言をしてくるコンサルタントに月額100万円を支出。ちなみに同歯科医院のパートスタッフ時給は800円/時。

みたいな感じです。書いてて悲しくなりました。

なぜそんなことに:能力不足and/orミスマッチ

成果が出ないときの原因は大きく2つで、

  • コンサルタント自体の能力がない→能力不足
    (イメージ:包丁自体がそもそも切れない)

  • コンサルタント自体の能力はあるがすれ違っている→ミスマッチ
    (イメージ:刺身包丁でパンを切っている、切る以外の用途で包丁をつこてる、等)

があります。私の周りにいる企業さんを見ていると、前者3割vs後者7割くらいの感触(前者3割はミスマッチも必ず引き起こす)です。いずれの場合でも、払っているお金に対して見合う成果を得ることはないでしょう。

前者の問題を引き起こすコンサルタントは業界から駆逐されて欲しい(できれば自らの手で駆逐したい)と思っているのですが、後者はそういう問題ではなく、プロジェクト開始前の摺り合わせ不足、或いはプロジェクト期間中のこじれ・ジレンマによって生まれます。みんな不幸です。松屋にはいって「注文を取りに来る店員がいない!」と怒るおじいちゃんがいたり、カウンターのみの寿司やでカッパ巻き頼んで「原価XX円のものをこんな値段で出すなんて」と嘆く人と同じ。単なるミスマッチなのです。

それでもコンサルタント全般を嫌いにならないで欲しい

お金に対して見合わないコンサルプロジェクトを経験した人は、8割くらいコンサル嫌いになります。(残り2割は過去に成功体験があるか"過大寛大"な人かのいずれか)そらそうです、お金も時間も溶けちゃったんだから。

それでも、一介のコンサルタントとして、嫌いを一般化しないでほしいと願っています。↑でも書いたとおり、素敵なコンサルタント/チームをたくさん見てきた私からすると、一部のダメ事例を般化しないで欲しい、あなたに合うコンサルタント/チームは必ずいるよ!と。
(自分が好きな食材を苦手だという友人に、「あそこのやつを食べてみて!美味しいから!」と伝えたくなるように)


なので前置きが長くなりましたが、コンサル的な人に発注をするときに、こうやってやると①能力不足を雇っちゃう②ミスマッチ起こしちゃうが防げるよ!を思いつくままに書いていこうと思います。乱文です(3回目)

思いついたら追記していきます。Build in Public精神で、記事もそうやって作ります。

Step1. コンサル発注せなあかんかを明らかにする

100点の状態を考える

「困っている→外部に発注!」をする人、外部に発注すると困らなくなると思いがちです。残念ながら多くの場合、外部発注をしたとて、元々の困りごとが別の困りごとに移行するだけです。

「コンサルチームとのプロジェクト最終日に『100点満点のプロジェクトでしたね!』と言えるだろうか」の問いをまず考えるべきです。できるだけ具体的な言葉を使って、詳細に、この問いに対する答えを書き出しましょう。(話すではなく書く)

そして書き出した文章について、

  • 本当にそれで100点か?(50点でも70点でも120点でもなく)

  • プロジェクト前提(予算・期間・その他リソースなど)を踏まえて”求めすぎ”ではないか?

  • 100点を取るために"自分たち"は何をするか?

を更に問いかけます。ここまで書き出すと、社員採用だったりツール活用だったり、コンサルタントを使わなくても90点取れるやんけ、それでいいやん、となったりします。

して欲しい/して欲しくない/してくれなくても良いを言語化する

プロジェクト運営全般について大切にされるものの一つが”スコープ”です。「お願いしたと思っていたのにやってくれていない」
「必要のない成果物ばかりがコンサルから出てくる」
あるあるの課題なんですが、このあたりは企業さんとコンサルチームのスコープ認識ズレによって起こされることがほとんどです。

(しっかりしたコンサルタントはスコープを明確にしようとしますが、いまいちなコンサルタントはスコープをぼやぼやっと、かつ小さくしようとします)

スコープ自体は摺り合わせで決めていくのがおすすめですが、コンサルチームに
・して欲しいこと(目標・目的/達成して欲しいこと)
・して欲しくないこと(制約・リソース/守って欲しいこと)
・してくれなくても良いこと
の3つを書き出してみましょう。その後各項目を眺めてみて、「これってコンサルチームにお願いすることなんだっけ?」「お願いするとしたらどんな人なんだっけ?」を想像してみると、意外とチームで出来るやんけ!だったり、これは人に頼んでも解決しないよね…が見えたりします。

コンサル発注経験者3名とお茶に行く

 百聞は一見にしかず、ですが、一見できないならば聞くことにも意味があります。自分と似たような背景からコンサルタント活用をしたことのある人を見つけて、結果どうだった?を聞いてみましょう。

 ここ数年、コンサル業界はずっと活況でした。なので、皆さんの知り合い、あるいは知り合いの知り合いまで拡げれば、必ず一人はコンサル発注経験がある方がいるはず。

 数百万円の支出をする前に、数千円〜数万円でコンサル依頼の是非を検証しておきましょう。

Step2. 筋の良いチーム・人を発見する

人で指名する(ファーム・企業名で指名しない)

「〇〇のようなテーマをやりたいんだけどどのファームが良い?」と相談されることがあります。一昔前までなら、コストカットならA、BDDならBみたいなファーム単位での特性もあったかと思いますが、人の流動性も大きくなった現在では、人やチーム単位で指名すべきだと考えています。

  • 営業に来たパートナー・MDがいい感じだったから発注したものの、実際にプロジェクトを動かすマネージャーやスタッフがいまいちで良いプロジェクトにならない

  • 営業に来たチームとプロジェクトを担当するチームが別で、文脈欠落が頻発する

ファーム単位で依頼・発注するとこんなことも起きます。

依頼先探しは人の単位で行いましょう。ファームに依頼するにしても、パートナーとマネージャーは指名し、彼らの関与を約束してもらうのがおすすめです。トップファームに依頼したはいいものの、送り込まれてきたのが転職直後のマネージャーと新卒スタッフだけでした、みたいなことにならないように。

Day.0から最終ゴール仮説を議論する

いざコンサルタントと面接し発注を検討するとき、何を相手に問いかければよいのでしょうか。『いたいコンサル すごいコンサル 究極の参謀を見抜く「10の質問」』では、↓の質問に対して明確かつ納得感のある回答ができることが良いコンサルタントの特徴だといいます。
(この質問全てを事前に考え抜けているか、私自身、反省するばかりです)

  1. わが社の属する業界の歴史と構造変化をどう見ていますか?

  2. 今回お願いするプロフェクトの最終提言の仮説は何ですか?

  3. わが社の中期経営計画の鍵となる施策とその利益効果の根拠は何ですか?

  4. わが社が競合に勝つために取るべき最も重要なアクションは何ですか?

  5. わが社の周辺事業への展開についてどうお考えですか?」

  6. 現在のわが社の戦略で誤っている点、見逃している点は何ですか?

  7. わが社の『意思決定プロセスの特徴』をどう見ていますか?

  8. 今回のプロジェクトは成功報酬でお支払いしてもよろしいでしょうか?

  9. 過去のプロジェクトで最長のもの、最大の効果を出したものは何ですか?

  10. 今回のプロジェクトにあなた(パートナー)自身は、どれだけの時間を使ってもらえますか?

正直、これらすべてを新規営業段階から考え抜けているパートナー/コンサルタントは相当少ないのではと思ってしまいます。が、少なくとも質問2は答えられるコンサルタントであってほしいなとはともいます。

やってみないとわからないのカードを切る前に、仮説を持って議論に前のめりになれる個人にプロジェクト依頼をすべきです。↑の質問、どんどんぶつけていきましょう。

知識量で判別しない→人柄含めた全体性で判断する

CDIの創業パートナーの石井さんは、コンサルティングワークとは対話である、といいます。対話の中でクライアントが良い意思決定、行動ができるように支援していくのです。

めちゃいい本なのでおすすめです。

良い対話ができる相手と考えると、業界・市場の知識や賢さだけではなく、人柄や言葉の使い方みたいなものも含めて相性を確認したいですよね。それ、大事です。

ほっとくと類似プロジェクト経験やファーム・チームの実績なんかで選びがちですが、大切なのは対話の相性です。会議室の中だけではなく、帰りのエレベーターでの見送りの瞬間などのほうが相性確認には良かったりするんです。いろんな時間の使い方をしましょう。

Step3. 良い提案を効率的にもらうためにガイドする

(ここまで書いてきて、なんというか、この記事・テーマに対する熱量が落ち着いてしまいました。熱量が高まったらもう一度書くことにして、いったん↓はさらっとな感じでリリースします。)

コンサルタント候補にホワイトボードを書いてもらう

↑の「最終ゴール仮説を議論する」で述べた質問を投げかけるのと同様に、そのコンサルタントがどんな思考回路で物事を考え、語り、整理するのかを観察することも提案前にしておけると良いです。ただRFPを投げつけるだけで良い提案が来ることは稀です。(コンサルタント側がめっちゃ儲かる案件出ない限り)

相手の人に積極的にホワイトボードを使って纏めてもらったり、あるいはプロジェクター/画面に映した状態で議事録を取ってもらったりすると、その人の姿が見えてきます。

RFPを動的に変更する

RFP=Request For Proposalで、提案依頼書です。与件や目的、制約なんかを書いて、PDFなどでぺこーっと送られてくるんですが、正直紙の情報だけでよい提案を書くのはほぼ不可能でして。

良い提案が欲しければ、RFPはあくまで叩き台の状態で共有して、提案者側と一緒に磨きつつ精緻化していけると、結果としてプロジェクトの品質も上がるはずです。

最適化したいものと制約・非制約条件をセットで伝える

本来RFPに含まれている筈なんですが、ただやりたいことだけがばーっと書いてあるか、守って欲しい条件だけが書かれているか、片手落ちの情報伝達が多い印象です。

  • 何が達成したい最重要要素・目的なのか

  • 達成したい要素の間での優先順位や依存関係について明確になっているものはあるか

  • ”できれば”追求したい要素、目的として何があるのか

  • どんな条件を守って欲しいのか(=どういう制約条件下で問題を解いて欲しいのか)

    • 必ずやって欲しいこと

    • できればやって欲しいこと

    • できればやって欲しくないこと

    • 絶対にやって欲しくないこと

全部セットで、↑で書いたとおり提案者と一緒に、プロジェクトの関数を描いていけるといいですね。

終わりに:コンサルタントとは何をする人なのか

大事なことは全部この「会社という迷宮――経営者の眠れぬ夜のために」に書いてありました。

コンサルタントとは何者か、いったい何をする人なのかというのは、大抵の場合、やっている当人さえよくわかっていない。当然、それを使う側も、よくわからずに使っている。「会社」に対してなんらかのサービスをして、決して安くはない対価を受け取っている、という以上の明瞭な定義が、共通認識として共有されているとはとても思えない。

石井 光太郎. 会社という迷宮 経営者の眠れぬ夜のために (Japanese Edition) (p.188). Kindle 版.

 こうして「コンサル好き」なのか「コンサル漬け」なのか定かでない会社が増える一方で、まったく同じ理由から「コンサル嫌い」の会社も多数生まれる。コンサルタントが結果に責任を取るといっても、当事者でない以上おのずから限界があるのはどこまで行っても明らかである。所詮は言うだけ言って責任を取らない評論家のような無責任な連中、ということになる。

 結局のところ、本来期待すべくもないことを期待して使っていれば、そういうことになるのである。本筋とは異なることで満足感を得るか、あるいは失望して嫌悪するか、のいずれかになるのは致し方ない。「専門家」とラベル付けされた、ある意味でコモディティ化すらした商品(サービス)を、便利に購入するかのように、コンサルを使い回しているのである。

石井 光太郎. 会社という迷宮 経営者の眠れぬ夜のために (Japanese Edition) (p.188). Kindle 版.

 逆に言えば、もしコンサルタントに当事者としての経験や働きを求めるなら、そもそもそれはコンサルタントに依頼するのではなく、経験者を連れてきて雇ったほうがよっぽどよいのである。コンサルタントに手助けを求めるとすれば、それは当事者としての経験だけでは計り知れないことに関してでなければならない。それは、徹頭徹尾、第三者であり続けることによって初めて到達することができる視点と着想に他ならない。

 そのような視点や着想が必要になるのは、一つひとつの「会社」が直面する未知の課題は、常にその「会社」固有の課題であるからである。固有の、というのは、他に例のない唯一無二の、という意味である。その固有の課題の解決に挑む「会社」の手助けに必要なのは、ある特定の経験の援用ではなくて、そもそもどのような経験やら知識やら思考やらが有用なのかということを、広い視野で先入観なく俯瞰する自由で冷徹な目でなければならない。それはコンサルタントにとっても、まだ答えを持たない未踏の問題の解決策を、クライアントとともに探り当てる作業なのである。

石井 光太郎. 会社という迷宮 経営者の眠れぬ夜のために (Japanese Edition) (p.188). Kindle 版.

私自身、専門家面するでもなく、ただの高速作業者になるでもなく、渡世民の系譜に連なる自由で縦横無尽な在り方で、顧客に自己発見の驚きをもたらすことを大切にしたいと思っています。

世界から協力関係の悲劇がなくなる日を願って。
気合いが乗ったら、また書き足したり修正したりします。

応援ありがとうございます!