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神戸からのデジタルヘルスレポート #37 (Neteera/Kokoon/Mahmee/Matternet)

『神戸からのデジタルヘルスレポート』は、神戸拠点のプロジェクト支援企業・Cobe Associeが提供する、海外のデジタルヘルススタートアップを紹介するマガジンシリーズです。

今回は第37回です!年度末めっちゃ忙しいです!(ありがたいことや)
元気にデジタルヘルススタートアップを紹介していきます:-)

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1. Neteera:バイタルサインをリモートで監視できるチップ

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企業名:Neteera
URL:https://www.neteera.com/
設立年・所在地:2014年・イスラエル
直近ラウンド:Seed(2017年8月)
調達金額:$8.5M(Plug and Play, Q Venture Partners)

Techの聖地、イスラエルから。Neteeraが開発するNeteera Chipは、接触せずにバイタルサインを監視してくれるチップです。140GHzの高周波をチップから生み出しその反射波を感知することで、対象者の各種バイタルサイン(脈拍数、呼吸数、その変動と間隔)を測定します。

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驚くべきはその大きさ。↓の動画にもあるように指先くらいの大きさです。この大きさなら、普段過ごすことの多いソファーやそのクッション、ベッドに埋め込むことができます。日常の中で違和感なく高齢者や赤ちゃんのバイタル管理、遠隔医療にも利用できるとのことで、toBでチップをおろしていくモデルです。

適用範囲は健康管理のではなく、運転や各種IoTにも展開されています。自動車のユースケースでは、シートにこのチップを埋め込むことによって乗員のバイタルサインの測定も行うことができます。バスやタクシーがわかりやすいですが、運転手のバイタルに異常があるときに休憩や自動運転への切り替えを促したりすることで事前に事故を防ぎ、家族車でも子供置き去りを事前に防いだり事故・ヒヤリハットが起きやすい場所を把握したり。

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バイタルサインを検知するデバイスは医療用に偏ることが多いですが、産業方面まで応用されているのは素晴らしいですね。同社の営業・マーケティング担当のJason Rudd氏は、2018年Intelに1.7兆円で買収されたMobileyeでOEM・SalesのSenior Directorとして11年間勤務するなど、合計20年以上産業・自動車業界のハイテク分野に携わってきたとのこと。単なる技術スタートアップではなく、事業者向けにごりごり営業で戦っていくスタートアップや。。

2. Kokoon:世界初の睡眠補助ヘッドフォン

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企業名:Kokoon
URL:https://kokoon.io/
設立年・所在地:2013年・ロンドン
直近ラウンド:Venture Round(2019年9月)
調達金額:$7.5M(Blackfinch Ventures, HAXなど)

Kokoonは、世界初の音声によって、睡眠を補助するヘッドフォンです。頭につけて休み始めると、状態を自動で認識して流す音や音量を調整していってくれると。なにこれめっちゃほしいやん。

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使い方は、通常のヘッドフォンと同じように耳に装着するだけ。オーディオを選択して休憩に入ったり横になったりすると、音声が自動で調整され快適な眠りに導いてくれるとのこと。実際にKokoonを使用した人の感想を↓の動画で見てみましょう。

このヘッドフォンが、快適な睡眠に導いてくれる理由は、外部の音を遮断する機能にあります。いびきがうるさくても、騒々しい隣人がいても、ヘッドフォンとアプリが連携し、外部の音を遮断してくれます。さらに、ヘッドフォンについているセンサーが睡眠の質を計測し、機械学習を利用して、流しているオーディオの効果性を分析し、フィードバックしてくれます。つまり、使用すれば使用するほどデータが蓄積され、より快適な睡眠を追求していくことができます。

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つけ心地も良いようで、Kokoon自体を軽くかつ柔らかく仕上げ、かつ頭の形に合わせた通気性のあるイヤーカップもついているため、装着による不快感を最小限まで小さくしています。カバーは取り外し可能で洗濯もできる。よい。

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睡眠をサポートしてくれるだけでなく、自分の睡眠に最適なオーディオ、最適な寝方を一緒に見つけていってくれます。素敵ですね。。

30日の返品保証付きで、USから2~4日以内に発送。価格は$314.99。なかなかするけど、これで睡眠が一気に改善されるなら全然安い投資かなと思います。

3. Mahmee:妊娠から出産後までの親子の健康を管理するサービス

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企業名:Mahmee
URL:https://www.mahmee.com/
設立年・所在地:2014年・カルフォルニア
直近ラウンド:Seed(2019年9月)
調達金額:$3M(Muse Capital, Serena Venturesなど)

Mahmeeは、母親が医療者と連携しながら、妊娠から出産後までの健康管理を行っていけるサービス。母親自身の健康管理はもちろん、出産計画の管理から出産後の赤ちゃんの健康記録や治療プランなどなど、すべて一括のプラットフォームとして集約していきます。対象期間は妊娠してから赤ちゃんが1歳になるまで。出産のみ!育児のみ!とならず、不安が高まる期間を包括的にカバレッジするのがよいですね。

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このサービスには以下のメリットが。
・母親と赤ちゃんの健康管理に関する情報が一度に見られる
・赤ちゃんの記録を経時的に追跡し、それを医療者/親が閲覧できる
・母親が医療者と連携して育児計画を立てていくことができる
・オンラインで授乳コンサルタントや栄養士等の専門家に質問できる

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Mahmeeの導入・利用を通じて、NICUの再入院を60%削減、従来の医療システムより母乳育児率を200%向上させたと報告されています。利用価格は通常プランで$75/月、ハイリスク児であれば$200/月となります。医師や専門家から包括的なサービスを受けれることを考えると高すぎるというわけではなさそう。

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妊娠女性・産後女性には、医師や専門家、家族の協力が不可欠です。こういったサービスに夫や祖父母など母以外の家族連携も組み込まれるともっといいサービスになるのかなぁと想像したり。

4. Matternet:医療用資材のドローン配達サービス

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企業名:Matternet
URL:http://mttr.net/
設立年・所在地:2011年・カルフォルニア
直近ラウンド:Series B(2020年1月)
調達金額:$25.5M(McKesson Ventures, Sony Innovation Fundなど)

Matternetが構築しているOn-demand delivery platformは、ドローンを利用した物流サービスで、医療用資材を必要なところまで配達してくれます。
このplatformの構成要素は
・"Matternet M2 Drone":ドローン
・"Matternet Station":ドローンの離着陸する場所("駅")
・"Matternet Cloud Platform":ドローンの動きを制御する管制塔
によって成り立っており、Matternetはそれらをワンストップで提供。サービスのイメージは以下の動画でどうぞ!

医療用資材の物流サービスを展開していますが、そのほかにも様々な組織と連携しています。いくつかその取り組みを紹介します。

① ユニセフとマラウイ政府と提携し、ドローンを用いたHIVの幼児診断テストを実施(2016年):マラウイという国では、毎年約1万人ものこどもがHIVでなくなっており、マラウイの発展を妨げる要因となっています。ドローンを利用して、診断サンプルの輸送時間を短縮し、治療を必要とする子供に早期から開始できるようにしようという取り組みです。

② United Parcel Service, Inc,と連携して、血液サンプルの輸送を実施(2019年):ノースカロライナ州での病院間での血液サンプルの輸送を行っています。このサービスはFAA(連邦運輸局)に認可されており、車での輸送に比べて大幅に輸送時間を短縮することができ、緊急性の高い輸送にも対応することができます。

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ここ数年、IPSやAmazonを含めた大手Tech企業がドローンを用いた配送にどんどん進出しています。医療分野でも伸びていきそう。きれいな街並みだなぁ(しみじみ)。

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こんな感じで、第37回でした。
noteマガジンにもしてみたので、もしよかったらフォローしてください:-)

応援ありがとうございます!