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神戸からのデジタルヘルスレポート #32 (PainQx/Go2Practice/Thrivors/Triton/ThriveSteams)

『神戸からのデジタルヘルスレポート』は、神戸拠点のプロジェクト支援企業・Cobe Associeが提供する、海外のデジタルヘルススタートアップを紹介するマガジンシリーズです。

今回は第32回です!
元気にデジタルヘルススタートアップを紹介していきます:-)

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1. PainQx:脳3D表現を通じた痛みの客観評価プラットフォーム

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企業名:PainQx
URL:https://www.painqx.com/
設立年・所在地:2015年・ニューヨーク
直近ラウンド:Non-equity Assistance(2018年8月)
調達金額:$1.6m(NYU Innovation Venture Fund、New York Angelsなど)

PainQx Platformは、人間の痛みを客観的に計測することを目指しています。対象者の脳内神経活動をセンシング・評価し、独自のアルゴリズムを用いてデータ処理することで客観的な痛みをスケーリングします。

他人の痛みを正確に理解することは、どんなプロフェッショナルでも容易ではありません。(肉体的痛みも、精神的痛みも)
現状は↓のようなフェイススケールが医療現場でも利用されています。

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脳の研究が進むにつれて、痛みに反応する脳内領域が徐々に解明されつつあります。PainQx Platformは痛みに関与している領域の電気信号を1センチメートル未満の解像度で探知し脳の3D表現を作成、患者が感じている痛みを客観的に視覚化してくれます。

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上記の図の、上3つの画像は、脳の外科的手術前に、患者がNRSという痛みのスケールで4/10と訴えた時の脳の画像です。また、下の3つの画像は、脳の外科的手術後に、患者がNRSという痛みのスケールで0/10と訴えた時の脳の画像です。患者の主観的な痛みの訴えと画像によって視覚化された痛みが相関していることが分かります。

痛みを客観的に判断できることは、痛みを正確に伝えることが出来ない患者などには特に有用ですね。主観的なスケールも併用してより患者さんの感覚・痛みに寄り添うことができるようになると、一層よいケアにつながるのではという気がします。

2. Go2Practice:フィットネス横断検索・予約

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企業名:Go2Practice
URL:https://www.go2practice.com/
設立年・所在地:2017年・ニューヨーク
直近ラウンド:Seed(2019年4月)
調達金額:$350k~(Launchpad Digital Health)

「Go2Practice」は、米国内のすべてのフィットネス施設を横断検索できるフィットネス検索エンジンです。すべて、、本当か、、、、

利用方法はシンプルに、どんなエクササイズをしたいのか・場所はどこかなどの情報で絞り込み検索をして、Web上で予約して、ジムにチェックインすると。オンライン上で予約して後は行くだけ、というのはいいですね。

New Yorkで検索したときのUIがこんな感じ。大学キャンパスのジムからクロスフィットまで幅広くフィットします。地図上にプロットされるの地味に良いですね。

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出張中とか運動不足になりがちなのでよいかも。

3. THRIVORS: がん患者向け運動・栄養管理プログラム

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企業名:Thrivors
URL:https://www.thrivors.com/
設立年・所在地:2015年・ミネソタ/セントポール
直近ラウンド:Seed(2018年5月)
調達金額:$325k(Launchpad Digital Health、Angel Capital Associationなど)

"The Cancer Care Companion"を標榜するThrivorsは、がん患者に運動や栄養管理などのプログラムを提供し、在宅での安定的治療を支援するサービス。がん治療を行う方は、日常生活においてケアすべき様々な要素があります。治療による副作用、浮腫、うつ、倦怠感、服薬管理など、その問題は多岐にわたります。Thrivorsはどのようにそれらをサポートしているのでしょうか?

機能としては
・ 痛みやその日の体の状態、および自覚症状に基づいたリアルタイムの運動プログラム提供
・ケアチームに共有するレポート提供
・栄養指導
・がん治療/生活関連のナレッジ提供
のようなものが含まれています。

このサービスは治療の中心となる患者本人だけでなく、家族のサポートにもつながります。いいですね。ただ治すだけではなく、そこにある生活を大切にする。素晴らしいプロダクトだと感じました。

4. Triton:手術中の失血をリアルタイム監視+AI解析

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企業名:Gauss Surgical
URL:http://www.gausssurgical.com/
設立年・所在地:2011年・ロスアルト
直近ラウンド:Series C(2018年10月)
調達金額:$51.5m(Softbank Ventures Asia、Mount Sinai Health Systemなど)

さて、話題のSoftbank投資先銘柄です。

Gauss Surgicalが提供するTritonは、手術中の失血をリアルタイム監視します。。外科手術中の失血をリアルタイムでモニターするTriton ORと分娩後失血をモニターするTriton QBLの2種類を提供中。前者は専用のカメラで手術用スポンジと吸引によって収集された失血を撮影し、視覚的推定による計算で失血量を計算。後者も同じように使用するタオルなどを登録した上で湿気雨量を推定して提示します。

これを導入したMount Sinai Hospital(ここに入るのかすごい...)では、手遅れとなる輸血介入が34%減少、輸血関連の不要なコストを2千万ドル削減。すごい成果や。

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正確な失血料の把握を通じた輸血の効率化・正確化。患者本人も病院もみんな幸せになるいい製品やなぁ。

5. ThriveSteams:スマホを用いたうつ病発症予測

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企業名:ThriveSteams
URL:https://thrivestreams.com/
設立年・所在地:2012年・ニューヨーク
直近ラウンド:Seed(2016年5月)
調達金額:$20k(Blueprint Health)

ThriveStreamsは、リアルタイムデータを使用して、患者がうつ病の危険度が高まるタイミングを予測してくれるサービスです。もともとは目標達成アプリとして展開されていたようですが、2016年にピボットし現在はメンタルヘルスイシューを扱っています。

対象者がスマホにアプリをいれると、患者行動をフォローしながら定期的に質問を問いかけます。その内容を解析し、家族や医療者に状況レポートを上げていきます。それを通じて

- 重症化・入院を事前に防止
- 入院が決まった際にも予測・想定シナリオを可視化
-医療者視点で、高リスク患者を特定しリソース配分を最適化

患者の主観だけでなく、スマートフォンデータからも予測を行うというのがこのプラットフォームの特徴だと思います。質問に対する回答などの主観的データも掛け合わせて、より正確なメンタルヘルス状態を把握・予測に貢献しようとするのがThriveStreamsです。

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こんな感じで、第32回でした。
noteマガジンにもしてみたので、もしよかったらフォローしてください:-)

応援ありがとうございます!