故郷の星に帰りたかった話

自分は間違って地球に生まれてしまった宇宙人で、宇宙のどこかに故郷の星があるかのように感じ、無性にそこへ帰りたい気持ちになることがありました。

待って待ってちょっとブラウザバック待って。
スピる話じゃないから。ちょっと聞いてって。
いやね、スピの観点から解釈しようと思えばいくらでもできるんだろうけどね、そういう話をしたいんじゃないのです。

わたしは子どもの頃から、自分はどこか周りの子たちと違うという気がしていました。
みんなにとって難しいことが簡単にできるかと思えば、その一方でみんなが苦もなくやっていることが自分にはどうしてもできない。
みんなより動作が遅い一方で、笑い話の笑いどころがいち早くわかって一人で先に笑いだしたりと、周りとテンポが合わない。
みんなにとってはなんともないようなことが、自分にはいちいちひどくつらく、そのたびに発作のように泣いてしまう。

まるで、みんなが余裕で立っているプールで、わたしだけ足がつかずにぴょんぴょんジャンプし続けているような感じです。わたしの人生。

自分でも変だなあと思っていたくらいなので、当然周りはもっとわたしのことを変なやつだと思うわけです。
いじめを受けることも少なくありませんでした。
大体どこへ行ってもちょっと浮きます。常に3ミリくらい浮いてる。やめろドラえもんをdisるな。

そんな日々の中で抱き続けている感覚の比喩表現が冒頭の一文なわけです。
まあ端的に言うとASD特有のコミュ障やら能力の凹凸やら感覚過敏やらによって二次的に生じた人間関係でのつまづきですね。いや本当に端的に言ったな。

そんなエセ宇宙人のわたしは、社会人になっても職場での立ち回りが下手で、大変つらい立場に立たされた時期がありました。それにより重度の故郷の星シックに陥ってしまい、そのつらい思いを歌詞にしたため楽曲を作り上げました。それが自作曲「宇宙の話をしようよ」です。

架空の故郷の星に思いを馳せることでつらい現実を生き抜こうとするこの曲は、当時の自分自身に向けた精一杯の応援歌でした。完成した曲を来る日も来る日も何度も何度も自分で聴いては、涙を流す日々を過ごしました。

当時はまだASDの診断を受けていなかったため、この世界で感じる寄る辺ない感覚を「正体不明の故郷の星シック」としか解析できませんでした。それこそスピ方面の何かなのかとも思いました。
そして、自分と同じような思いを抱いている人はいないだろうか、自分が「宇宙の話をしようよ」を作ったのと同じように自作の楽曲で仲間に呼びかけている人はいないだろうかと思い、そういった楽曲を強く求めました。
ツイッターで #星に帰りたいボカロ曲 というハッシュタグを作り、ボカロリスナーの方々からそういった雰囲気のボカロ曲を教えていただいたりもしましたし、自分でも「VOCALOID宇宙派」などのタグを巡って探していました。
そんな中で出会った曲が、兎胎虚無子さんの「星にかえりたい」だったのです。

まずタイトルに驚き、そして歌詞や曲の世界に深く共感を覚えました。仲間を見つけたかもしれないと感じました。
それから何度も何度も「星にかえりたい」を聴きました。今でも何度も何度も聴いています。わたしにとって本当に大切な曲のひとつです。

長くなったので一旦ここで区切ります。
この記事の続きはわたしの最新曲「地球生まれの宇宙人」の解説という形で近日中に書くつもりです。
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。

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