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3/31 常夏の浜

今日は朝ではなく夕方に書いている。
朝から陽が出て長い時間照らされた後のアスファルトからジリジリと熱気が返ってくる。こんな季節がずっと続けばいいのにというくらいちょうどいい熱気を感じながら由比ヶ浜海岸まで歩いている途中では、ウェットスーツを来たサーファーが自転車で海岸へと向かっていた。海まで行こうと決めたのに、向い風で海を直視すると砂が顔面に直撃するので10分もそこにいられなかった。こんなに暑いのにパーカーを着ていて、しかも裏起毛だから汗を無限に吸い込んでいく。こんなに汗をかいたのは久しぶりだ。早く家に帰ってシャワーを浴びたいと思い始めたらもう夏だと思う。夏は好きだが汗はかきたくない。けれども海を見ているとやっぱりここは夏の汗が似合う海岸だなと嫌でも感じて、ああ本当に日本に帰ってきたんだなという実感がやっと湧いてきた。仮暮らしのような日々がいつまで続くのかはわからないけれど、私はまた海と山に囲まれた場所で、そこそこいいなと思う暮らしを続けている。帰り路に寄った八百屋には甘夏が売られていて、それをソーダにしたら美味しいのではないかと思い買った。皮まで洗って切った甘夏を甜菜糖に付けてシロップにしたものを、ソーダ水で割って飲む。なつの味を自分で作れたらきっと嬉しい。また瓶を買った。生きているとどうしたって空き瓶が必要になってくる。空き瓶を揃え続けているうちに、やっと生活をしているような感覚が手に入るのだろう。甘夏がどんな味だったかも覚えていないけれど、きっと大丈夫。自分の手で何かを作り続けている間は、きっと大丈夫だと少しだけ言い聞かせる。困ったら甘夏に助けてもらおう。高知県から来た甘夏はきっと少しだけ苦い。夏が来る。

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