片道2時間半
2週間に1回、三鷹にある心療内科に通っている。
体調を崩した当初はその心療内科が最寄りの病院であったのだけれど、本格的に体調を崩してからは自由が丘の実家に戻ったから、片道2時間半くらいかけて通っている。
自由が丘の自宅から三鷹は電車で1時間半程度で到着する。しかし僕は三鷹駅を使用したくない。というのも、三鷹駅には休職中の会社のオフィスがあって、そこで働く人とバッタリ出くわすのが怖いからだ。
だから僕は、井の頭公園駅で降りて、三鷹駅まで歩く事にしている。すると片道2時間半かかってしまう訳だ。
心療内科を自由が丘の病院に変えれば良いと貴方は思うかもしれない。しかし僕は三鷹の心療内科の先生を割りかし気に入っているし、新しい先生に貴方は精神疾患者です。と言われるのがとてつもなく怖い。
三鷹の先生から言われている分には、もしかしたら精神疾患とは違うかもなぁ という楽観的な観測も可能だが、2人の専門医に診断されてしまうと、なんとも惨めな気持ちになってしまうであろう。僕はそれを恐れている。
僕は三鷹に行くと、元住んでいたマンションに行くことにしている。
マンションを眺めていると、涙と嘔吐感が立ち込めてくる。僕が失ってしまったものを、一つ一つ実感する。
その精神的な自傷行為に快感を覚えてしまう。
自分はちゃんと傷ついているのだと、世間に証明出来た気分になる。
不幸なヒロイン症候群。
僕はこの文章を三鷹からの帰路に書いている。
首が痛い。肩が痛い。まぶたが重い。
何かが終わった後に、痛みに気がつく様に、僕らの身体は設計されている。