席と咳
いつもの様に駅前のドトールで勉強をしていると、大学生と思われる女子3人組が、空席を探して右往左往としていた。
僕は視界の隅で辺りを見渡したが、3人が同席できるテーブルはどこも埋まっていた。
しかし、どうやら僕が隣のテーブルにズレてやると、その子達が座れるスペースが出来ることが分かった。
僕は席をズレるべきか迷った。
その子達は若い異性だったから、下心だと思われるのが癪だったし、万が一セクハラだなんて思われたら、このドトールにも来づらくなってしまう。
何かのキッカケで彼女達が席にありつける事を期待していたが、しばらく経っても彼女達は右往左往としていたので、僕は勇気を振り絞って席をズレることにした。
ズレた後で、彼女たちに身振り手振りでどうぞと、席を譲った。
僕は幾分良い気持ちになるのが分かった。
彼女達は律儀に一人一人お礼の言葉を述べてくれたし、目を合わして話すと綺麗な子も混ざっていた事も分かった。
しかし、その後になって後悔が首をもたげだした。
まず、その女の子達は、セックスと生理、インポテンツの話を大声でドトール中に響くように話し出した。
僕はまがいなりにも勉強をしていた訳だから、集中が出来なくなってしまった。(ソニーの高品質ノイズキャンセルイヤホンですら、その声を打ち消す事はできなかった)
また僕の隣の席の女の子が、とにかく咳をしていた。見るからに体調が悪そうで、医者でなくても抗生物質を処方したくなるほどだった。
それから数日たった今日。
僕は咳をしている。絶対にアイツの風邪が感染したに違いない。
この話に教訓はない。けれど書かずにはいられなかった。
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