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人材紹介マーケティング大全【16,000文字】

デジタルマーケティングの会社を運営するナウビレッジ株式会社の今村です。
自身が人材紹介業の経営を8年、その後マーケティング会社を2年半経営し、自社・他社共に様々な人材紹介会社の支援をしていく中で、気付いた人材紹介業におけるマーケティングセオリーを書き留めました。

読んで欲しい方

・今後人材紹介業を行うにあたり、どの領域に取り組もうか検討中の方
・現在人材紹介業を行っており、成長に伴い、他領域への展開を検討中の方


人材紹介業のセグメンテーション

人材紹介業は対象者別に下記7層に分別されます。
7層は大きな分類でいうと、就業経験があり自身が従事すべき職種を理解している[経験者]、就業経験が無いもしくは短い[未経験者]の2つに大別されます。

まずは [経験者] は下記です。

職種:「営業職で転職を考えている」「マーケターで転職を考えている」「ITエンジニアで転職を考えている」といった職種を軸に転職活動を行う方。

医療・保育:介護士・保育士といった医療/保育分野にて資格を有しており、転職活動を行う方。
※お医者様・看護師の方は独占された市場と判断し、割愛。

士業:弁護士・会計士・経理といった法務・会計分野での専門資格・経験を有して弁護士法人・税理士法人・一般企業への転職活動を行う方。

接客・販売:ホテルスタッフ、アパレル、雑貨ブランドなど宿泊施設・ショップなどへの転職活動を行う方。

特定職能:ドライバー・施工管理といった専門性を有しており、同職種で好条件・働きがいのある職場への転職活動を行う方。

それに対して[未経験者]は下記です。

新卒:16~24歳で高卒・専門大・大学・大学院卒で就業経験がなく4月一斉入社を目指している方。

第二新卒:18~29歳で、学校卒業後にフリーター・既卒として活動している方や、3年未満の短期離職をした方。
※ちなみに本記事の著者:今村も卒業後、就職した会社を9ヶ月で辞めてしまい、約2年間フリーターでした。

[経験者]と[未経験者]のちがい - 経験者

各セグメントの詳細説明を行う前に、大前提としての[経験者] [未経験者] それぞれの訴求の違いを説明します。

結論から申し上げますと、

[経験者]は求人。
[未経験者]はアドバイス。

です。
[経験者]は社会人経験があり、自身の職種を変えることはなく、どの求人が自分に向いているか判断できます。職種決定にユレがないため、自ずと彼らに対してのマーケティング手法は下記となります。

スカウト

リクルート様・マイナビ様・ビズリーチ様がご提供するスカウトサービスです。
効果としては一番効きます。自社でサイト構築や、広告配信、SNS運用などを実施するためにまずここからトライしてください。
初期費用なども人材紹介の1件当たり売上高と比較すると微小であり、成果報酬も一定のため経営的にも安定します。
また求人データベースを提供する会社も存在するため、求人で困ることも少ないです。
基本的には各スカウトサイトへの新規登録者が転職ニーズが高いため、定期ログインし、50~100名/1回の一斉送信で対応できる文章を作成しましょう。

「この年齢の、この職歴の方は、こういう課題を持っているため、この求人のこの部分を訴求しよう」
という構成で作成します。
何千文字という深い文章と書くというよりは、端的に、「個人営業の経験を活かして、より長期的で、金額の大きい、法人営業にステップアップしませんか?」という枕詞と、求人の魅力を箇条書きで記載していきます。

優良求人代理出稿

各セグメントで知名度の高い求人を活用した集客手法となります。
例えば下記です。

営業⇒楽天様・ソニー様・キーエンス様
マーケティング⇒電通様・博報堂様
ITエンジニア⇒Microsoft様・オラクル様
弁護士⇒アンダーソン・毛利・友常法律事務所様、西村あさひ法律事務所様
会計士⇒アーンスト&ヤング様、KPMG様
ホテルスタッフ⇒ペニンシュラ東京様、東京ベイ東急ホテル様、ザ・リッツカールトン東京様
アパレル⇒マックスマーラ様、バレンシアガ様

知名度の高い企業様の人事部の方にご依頼し、求人説明会を実施する。
また包括契約を締結し、求人サイトに人材紹介会社が広告予算を負担し、RPOモデルで代理出稿し、転職希望者を広く集める手法です。

求人サイト構築および広告配信(≠LP)

自社で集客を行う際は求人サイトが必須となります。
転職希望者は「自分が興味がありそうな求人を集中的に、多数取り扱っているんだ。自分に合った求人が見つかりそう」という期待を抱き、登録をおこないます。
リクルート様やマイナビ様がこの領域で圧倒している理由は、その圧倒的求人量および広告宣伝量になります。

逆にいうと、単発LP(ランディングページの略)で集客が厳しいです。
「非公開求人を持っています」「スカウトが届きます」「年収800万以上の求人限定」といった奇を狙った集客は成果が出ません。(厳密には量が出ません)

SEO/SNS

求人サイトに求人を掲載後に、リソースがあればSEO対策の実施をお勧めします。
後述する[未経験者] 層と比較すると、SEOの費用対効果が出づらい面はあります。
その上で、上記三つのスカウト・優良求人代理出稿・求人サイトの実施が完了したら、認知(Web上ではセッション)を高めていく施策を打たざるを得ないため、SEO・SNSに着手します。

SEOでは最終的に、[○○ おすすめ エージェント]というキーワードで上位表示させる、もしくはその記事に最終的に辿り着いてもらうことをゴールとしましょう。

[○○ おすすめ エージェント] の記事へ送客するための狙うべきキーワードとしては下記が挙げられます。

[○○ やめたい]
[○○ ランキング]
[○○ 年収]

SNSでは文章では表現できない内容を投稿しましょう。
SEO(事実) ⇔ SNS (非言語)
と解釈する事をお勧めします。

例えば下記の引用のように、ゲストに登壇頂き、最新事情や入社されている方のリアルな声などはSNSや動画で、ユーザーが期待している内容となります。

重ねて説明しますが、集客受け皿としての求人サイトがあった上でのSEO / SNSです。受け皿なしに認知拡大を進めるのは非効率であるとご理解ください。

筆者が良く頂く質問と回答

Q:20代後半~30代前半で3~5年程度社会人経験がある方を集客したいです。
A:厳しいです。ご存じの通り、転職市場は3つの人気者がいらっしゃいます。

1位⇒20代後半~30代前半の若くて、一定の社会人経験があり、年収がさほど高くない会社が一番重宝する人材。

2位⇒35歳以上の専門性をもつプロフェッショナル人材。会計・法務・開発・デザイン・営業・マーケティング・人脈・上場経験などのスキル・経験を保有しており、常に必要とされる人材。

3位⇒新卒。同時期一斉入社の仕組みのため、事業計画を立てやすく、組織に毎春新しい風を吹かせてくれるフレッシュ人材。

ご質問は上記1位の方についてとなりまして、厳しいです。
リクルート様・マイナビ様・JAC様など総合エージェントが獲得している人材でして、立上げフェーズで効率的に集客するのは諦めましょう。

[経験者]と[未経験者]のちがい - 未経験者

[未経験者] 向けのマーケティング基本セオリーは下記です。

1位:アフィリエイト広告
2位:リスティング広告
3位:Meta / Tiktok広告
4位:SEO/SNS/YouTube

まず未経験者(新卒 & 第二新卒)は求人訴求がききません。
それは本人が社会人経験がないため、どの求人が自分に向いているか分からないからです。
それでは一つずつ解説します。

アフィリエイト広告

「就活 おすすめ」「第二新卒 転職 おすすめ」などで検索すると多くのランキングサイトが表示されます。また「○○(エージェント名) 口コミ」などの検索結果もアフィリエイトサイトです。
未経験者層の多くの方が、上記検索を行う背景からもアフィリエイトは主力の集客チャネルとなっています。
また後述するリスティング広告やMetaと異なり、集客数が安定する(悪い意味では下げたい時に下げにくい)背景もあり、まず抑えるべきチャネルです。

リスティング広告

Google・Yahoo・Microsoft/Bingの検索結果に表示させる広告です。
「新卒 就職」「第二新卒 転職」と検索する方に向けて表示するため、転職意欲は他のチャネルより高いです。転職意欲が高いという事は、すなわち、面談率(サービスへの申込後にキャリアアドバイザーと面談する歩留り)が高いことを意味します。
チャネルの成果はマーケティングサイドでいうと、この面談数と面談単価で評価すべきです。(≠登録数や登録単価ではない)
リスティング広告は登録単価は高くついても、面談単価でみると優れた結果が出やすいです。
また経営視点で俯瞰すると、「①CSコスト」と「②決定原価」の視点でも、リスティング広告は優位になるケースが多いです。

①CSコスト⇒登録者へメール/電話/SMS/LINEを活用し、面談まで設置するカスタマーサポートの人件費

②決定原価⇒候補者1名の決定に際して最終的にかかった1名当たり広告費

①CSコストについては、IndeedやTikTok広告といった登録数は取れるが、面談率が20%と低くなるチャネルは隠れた費用として間接コストが発生しており軽視できません。

②決定原価については、アフィリエイトや送客サービスと比較すると、同時登録が少ないため競合性が低くなり、結果的にキャリアアドバイザーの成果を図る[面談決定率] という指標で他チャネルを上回ります。

Meta / TikTok広告

静止画(バナー)やショート動画を用いて、Instagram・TikTokに広告配信を行う手法です。未経験者層への静止画(バナー)は、「お悩み訴求」が効果がでます。(≠求人訴求)
ショート動画は、「悩んでいたんだけど、相談したら上手くいったよ★!」というアップテンポな動画が効果が出ます。

またMeta / TikTok広告配信時の注意点として、受け皿のLPは、長いLP(アドアフィ用LPと呼ばれています)が効果が出ます。
アフィリエイト広告やリスティング広告と異なり、「ながら視聴」のユーザーのため、LPでナーチャリングする必要があります。
「先輩や友人とのLINEとのやり取りのスクショ」⇒「お勧めエージェントはこちら」⇒「教育コンテンツもあるよ!」の流れで設計し、配信します。

SEO / SNS / YouTube

集客資産としてはSEO・SNS・YouTubeの構築が求められます。
しかしながらSEOは新卒・第二新卒領域は既に成熟しており、新規参入で主要キーワードを獲得する事は困難です。
SNSではInstagramよりも拡散性の高いTwitterをお勧めします。
対象ユーザーのTwitter利用時間が豊富なため、認知効果が高いです。
YouTubeでは上記の [経験者向け] 訴求と同様に、ゲスト登壇や面接対策など、SEOでは表現できない内容を配信しましょう。
SEOは事実が求められるため、履歴書の書き方・選考辞退のマナー・業界情報の推移などをユーザーが求めています。

[経験者:職種系]のマーケティング

経験者(いわゆる中途)の職種系でマーケティングを実施する際は、まずは職種で分ける必要があります。営業職・マーケター・ITエンジニアといった形です。
集客する際は、さらにその職種の中で条件をセグメントします。
今回、訴求の例として著者が企画した訴求軸を記載します。

営業職の訴求例

①IT企業特化の転職エージェント「ITセールス.jp」
Sierを中心としてIT企業の営業職は年収が高く、今後も需要が伸び続けます。
自ずとフィーも高くなるため、切り口として良いと判断します。

②年収500万以上の転職エージェント「若手500.jp」
20代後半への訴求となります。500万以上という訴求は主に年収が350~450で5~10年勤務していた方が対象となります。年俸をシンプルメッセージとして訴求します。

③BtoB特化の転職エージェント「B2Bセールス.jp」
1番と類似の訴求となりますが、ToCの営業職より、ToBの営業職の方が年収が高くなります。キャリアアップを望むToC営業経験者を集客するための訴求となります。

マーケティング職の訴求例

①自社マーケティング特化の転職エージェント「自社マーケ.jp」
代理店やコンサルティング会社でマーケティング経験を積んだ方が対象となります。
代理店は他社の支援を中心とするため、一定期間経過のち、自社サービス1社のマーケティングに従事したいと考える方がいらっしゃいます。
Sansan様やメルカリ様など強力な自社サービスをお持ちの企業様へのイメージを持ってもらう訴求となります。

②広告代理店特化の転職エージェント「代理店転職.jp」
1番の逆の訴求となります。中小零細企業のマーケターは予算が限られており、自ずと打ち手が限定的です。ルーティンのような業務に飽きがきてしまい、複数会社を支援する代理店やマーケティングコンサルティングの会社への転職を希望する方への訴求となります。

③SaaS特化の転職エージェント「SaaSマーケター.jp」
1番の更に切り口を尖らせた訴求となります。マーケターの人気企業様であるSaaS領域特化にすることで転職希望者へシンプルな訴求が可能となります。

ITエンジニアの訴求例

①自社開発特化の転職エージェント「MyProduct.jp」
エンジニア領域では、自社開発・受託・SESが混在しており、スカウトメールが届いてもどれか判別するために自分で目利きをする必要があります。ITエンジニアにとって一番人気は成長する自社開発商品の開発を経験する事です。
自社開発のエンジニア求人をラインアップする事で優秀なエンジニアの獲得に繋げます。

②SESで月収が20万上がるための転職エージェント「20UP.jp」
SES業界は商流があるため、商流構造によっては、同じ職場・同じ職務で会社の受取額が異なり、自ずと自身の給与が異なります。高いパフォーマンスを出しているため、SES業態は離れずとも、給与を上げたいと考えている中堅エンジニアの方への訴求となります。

③外国人エンジニアの転職エージェント「UR Place .jp」
外国人エンジニアに特化したエージェントサービスです。Yourを略称で、URとしました(ここは関係ありません笑)。
外国人エンジニアでも受け入れ可能な企業様のみをリストアップした求人サイトを多言語で展開する事により、優秀な外国人エンジニアの獲得に繋げます。

職種系のマーケティング施策の結論

①訴求軸の決定
②手法の組合せ
の順番で戦略をたてましょう。
①訴求軸の決定が、上のように職種を決定して、その上で年収軸や紹介先分類で分けます。
その上で②手法の組合せとして、スカウト・優良求人代理出稿・求人サイト・SEO/SNSを組み立てることにより他社の差別化を図りましょう。

[経験者:医療福祉・保育系]のマーケティング

コメディカル領域と呼ばれる介護福祉士・理学療法士・保育士の方向けの集客についてです。設計のポイントとして、こちらの対象者は資格保有者であり、「場所を問わず働ける」という特徴があります。別の観点でいうと、「求人自体の待遇差が少ない」ことを表します。
そのため下記が重要となります。

①勤務地の検索がしやすいUI・UXの整備
自分が住みたい・働きたいエリアを選べる傾向があるため、求人サイトの設計においてエリアの訴求は必須となります。

②教育体制・スタッフ紹介・物理的環境の掲載
待遇差が大きく発生しないため、「A:次の職場はどのような教育体制があり、どのような技術的・役職的経験を積めるのか」「B:どのような人物が働いているのか」「C:施設の外装・内装は自分の理想か」という点が重要となります。

著者としてお勧め訴求方法としては
A:教育体制・キャリアパスは、院長によるnoteの執筆記事のリンクを掲載 もしくは 客観的に良さを説明できる求人サイトのライターがインタビュー&独自視点の掲載
が良いです。

B:どのような人物が働いているのか は、院長動画ではなく、スタッフ動画が良いです。
離職率が高い業界でもあるため、誰が率いているかではなく「誰と一緒に働くか」をよりリアルに伝える方が良いです。下記のようなリアルインタビュー動画をお勧めします。

https://reclive.jp/p/124/302

C:施設の外装・内装などを写真・動画を活用して掲載しましょう。同じ仕事をするならば、暗く汚い職場よりも、明るい綺麗な職場で働きたいと思う方が多いためです。

補足

こちらの領域の人材紹介を行う多くの企業様がやり切れていない手法です。
実施するには紹介先の院との関係性や、情報取得の工数がかかります。
が、ここまで実施できると転職希望者の欲しいニーズは満たしているため、粛々と準備する事をお勧めします。

[経験者:士業系]のマーケティング

弁護士・会計士・税理士・高年収経理(CFO・管理本部長)を対象としたマーケティングについてです。
こちらの対象者への訴求は「企業ブランド・年収・従業員数」となります。
求人サイトを構築し、紹介先企業を並べていくのはもちろんです。
が、その上で、特に応募が集まりやすいのは、知名度が高い企業様へ一極集中します。

例えば、弁護士であれば四大法律事務所(BIG 4)と呼ばれる下記企業があります。

アンダーソン・毛利・友常法律事務所様
長島・大野・常松法律事務所様
西村あさひ法律事務所様
森・濱田松本法律事務所様

弁護士領域だと、上記求人は

・待遇が非常に良い
・独立を将来的に考える方が多いため、独立時の箔となる。
・戦略的法務など大企業案件に携わることができ、これは中小では実現できない

という強みがあり高い集客力を誇ります。

そのため発信方法としても下記二点をお勧めします。

①上記ブランド求人の求人内容詳細は、その他求人と比較してリッチに作成する。
具体的には、社長様/社員様/担当案件/業績推移/評価制度/1日の流れを写真・動画・イラスト説明図を駆使して制作。

②企業ブランドの高い企業様のオンライン説明会を実施し、集客コストは紹介会社が負担する。

求人サイト内で表現できるのは上記対応で、現職の士業従事者へYouTubeでリーチする際は下記のように、「四大法律事務所に入所してみてどう?」といったコンテンツを用意しましょう。
それだけ、一般的な「弁護士のおすすめの転職方法とは?」というコンテンツを並べるよりも、四大に注力したコンテンツ制作の方が成果に繋がります。

[経験者:接客・販売系]のマーケティング

ホテルスタッフやアパレル店員を対象としたマーケティングについてです。
こちらの対象者への集客は「同業界へ興味を持つ人は誰もがあこがれる求人」を訴求します。

他の仕事と異なり、こちらの対象者は「自身がお客様としてサービスを受けて、感動した経験」があります。そのため他領域と異なり、「あこがれ求人」の吸引力が登録者獲得に相対的に大きく影響します。

例えばホテル業界におけるあこがれ求人でいうと
・リッツカールトン東京様
・ペニンシュラ東京様
・ハレクラニ沖縄様
が対象となります。

上記「あこがれ求人」の企業人事部の方より集客に関しての提携を打診し、Indeedを含め求人を代理出稿する形となります。RPOという切り口で企業様の採用業務に入り込める場合が望ましいです。自社で求人サイトを構築する際も、エリア別の求人検索性も重要ではありますが、「おすすめ求人特集」などの特設ページを設置し、サイト上部へ掲載しましょう。

また上記士業のマーケティングと同様に、「あこがれ求人」の求人ページは、一般のそれより情報量を引き上げましょう。
募集内容と合わせて、スタッフの声、1日の流れ、福利厚生、教育体制、支配人のメッセージ、宿泊者からの感謝メッセージを写真・動画も合わせて掲載しましょう。

[経験者:特定職能系]のマーケティング

運送ドライバーやタクシー運転手、施工管理技術者に関してのマーケティングとなります。
他のセグメントと異なり、圧倒的に知名度の高い求人が存在しない転職市場であります。

エリア・年収が検索軸の最優先事項となりますが、こちらの職種特有の訴求として

・労働時間の柔軟性
週休3日の求人もあります。期間工の求人もあります。などです。

・福利厚生
住み込み可能な寮を提供する求人があります。などです。

・インセンティブ制度
配送実績などによっては、月収60万も夢じゃないといった訴求です。

・教育制度
運転技術や施工技術などの教育が充実しています。

なので求人サイトは必須となるのですが、求人サイトの構造として何を上部やサイドバーに掲載するか?という点だと上記内容となります。
またエリアマーケティングは変わりないため、そのエリアでの優良求人を開拓した際は、バナーを作成してMeta広告への配信の実施をお勧めします。

[未経験者:第二新卒系]のマーケティング

既卒・フリーター・第二新卒と呼ばれる若年層の集客となります。
著者がこちらの領域に特化した紹介会社を創業した2012年当時は受入れ企業様がすくなく、紹介料金も非常に低かったため注目されておりませんでしたが、近年の若手不足を背景に急速に紹介会社様が増えております。

具体的な手法については上段の【経験者と未経験者のちがい ー未経験者】で記載しております。マーケティングの具体的な手法としては、アフィリエイト・リスティング広告・Meta広告・スカウトが四大手法となっており、やり切った策としてSEOメディア・Twitter・TikTok・YouTubeがあります。

こちらの領域は、面談からの決定率が10%前後を誇り、かつキャリアアドバイザーの育成に他領域と比較して短い期間(最長半年以内)で、業績を上げてしまう背景から、新規参入企業が非常に多いです。

すなわち、メイン戦略のアフィリエイト・リスティング広告・Meta広告・スカウトのみで挑んでしまうと、競合の増え方が早すぎるため、常に競争に晒される激戦区となります。

早々に広告・スカウトの立上げは終了させ、認知施策と呼ばれるTwitter・TikTok・YouTubeに投資しましょう。
SEOは他の領域と比べて難易度が高いです。理由はマイナビさん・レバレジーズさんを筆頭にジャイアント企業がSEOマーケティングに予算を投入しており、後発が勝てる状態ではありません。

TikTokが流行り出す直前に、先見の目で新興SNSチャネルに投資して認知を図り、アフィリエイトサイトで再度視認して獲得するという手法を狙いましょう。

[未経験者:新卒系]のマーケティング

新卒マーケティングのキーワードは「①準備②出会い③アドバイス④口コミ」です。
新卒と第二新卒で同じ若年層でありながら、ユーザーニーズが全く異なります。

具体的には下記四点です。

  1. 4月一斉入社であり、大学三年生から「準備」をして本番に望みます。この準備をするという行為が社会全般に広まっている認識のため、準備に関するコンテンツを設計しましょう。

  2. 就活に非常にポジティブであり、「仲間」から情報を収集し、共に良い入社先を見つけたいという志向が強い。また「出会い」に前向きであり、積極的にコミュニティに属したい意欲があります。出会いが発生するイベントを仕掛けましょう。合同説明会・グループディスカッション対策セミナー・商社を目指す会などがあります。

  3. まずは「自己分析」から始まるという観念が周知されており、先輩やエージェントからアドバイスを受けるべきだ・受けたいというニーズが強いです。LPの訴求では求人の豊富さよりも、「丁寧にカウンセリングしますよ」という訴求を重視しましょう。

  4. 毎日大学に通い、サークルや部活動でコミュニティが存在するため、口コミが強く働きます。これは中途市場が「転職活動をしていることを隠すべきだ」という点と真逆となります。単独チャネルの成果だけを確認するのではなく、口コミが発生するには何をすればよいかを考えましょう。

上記に伴いマーケティングの手段が、中途市場と大きく異なります。
それは「オフライン」マーケティングが、デジタルよりも重要だという点です。

具体的には

・50社合同説明会がなんだかんだ一番集まる
・就活スクール / 業界セミナーへの集客単価も低い。
・大学主催のキャリアセミナーでの登壇で1日で大量の個人情報を取得できる。
・部活動の監督や、ゼミの教授などのコネクションが、外部イベントに参加しない層の獲得に繋がる。
・就活カフェを大学付近に物理的に設置する事により、特定エリアの学生の集客に繋がる

などがあります。

ビジネスの視点でいうと、新卒紹介は中途紹介と異なり、

・入社時で売上確定のため、キャッシュフローが悪い
・入社まで期間が長すぎて、内定辞退が15~20%発生する。(引当金のような設定が管理会計上必要)
・中途は平均的に3~5社程度しか選考を受けないのに対して、新卒は15社程度受けるため、決定率が読みづらい

というデメリットがあります。

逆にいうと一度成功をすると参入障壁が高い事も意味しております。

・オフラインのマーケティング手段を構築できるネットワークがある(&作れそう)
・キャッシュフローに耐えれる資金がある

の2点を貴社が保有している場合は、この市場で勝負する条件があります。

登録から転職面談を実現するためのカスタマーサクセス

登録 ⇒ 個人情報を取得する
面談 ⇒ 就職 or 転職面談をCAが実施する

と定義します。
マーケティングチャネルの良しあしは最終的には、「決定原価」で評価します。
しかし決定までの期間が長いため、短期では「面談原価」で評価する事が多いです。
決して「登録原価」ではありません。
理由は、IndeedやTikTok広告などでは、登録原価が低くなるのですが、登録~面談への移行率も低い(つまりライトユーザーが多い)ため、登録原価で評価をすると正確な価値を把握できません。

またこの登録~面談のプロセスを区分すると下記となります。

図:登録(レス) - 面談設置(設定) -  面談実現(実施 or 着座)
つまり、面談原価を抑えるためには、

・登録単価を下げる
・面談設置率を上げる
・面談実現率を上げる

の3つの因子を改善する必要があります。
そしてこの面談設置率 × 面談実現率 を面談率と定義します。

面談率はスカウトだと50%。広告系は35%。Indeedは25%が目標値となります。
今回、面談率(面談設置率 × 面談実現率)を引き上げるためのプロセスと具体策について記述します。
うん
面談率向上に向けた三大ポイントは下記です。

①構造

登録から転職面談を実施するまでのステップは4つあります。
各ステップごとの注意点を記載します。

※広告流入についてである。スカウト/Indeedは求人応募のため下記があてはまらない。

1.LP

登録するフォームを上部に設置する事により、ユーザーに困らせずに登録を促しましょう。
またLP内に3つのCTA(「転職相談をする」と記載されたボタン)を設置して、かつ、下部に追尾型CTA(常にページの下部にボタンが表示されている)を設置しましょう。

「これはCSの話ではなく、コンバージョンの話ではないか?」
と思われるかもしれませんが、多くの会社様が、フォームコンバージョンではなく、LINEコンバージョンの設定をされております。

LINEの方が登録単価は低くなるのですが、「面談率の低さ」「面談を追いかけるCSのノウハウ負荷および人件費」「アフィリエイトの承認ポイントが不在」というデメリットを鑑みるとLINEよりフォームがお勧めです。という点を伝えたく記述しました。

2. フォーム

フォームの注意点は下記です。

図:

記入するごとに回答率が表示されるステップフォーム。
チャットボット形式で一問ずつ質問があり、回答を促すチャットフォーム。

のいずれかを推奨します。
いわゆる一般フォームの回答率よりも高くなるためです。
また質問数はなるべく少なくしましょう。
(キャリアアドバイザーの現場との衝突もありますが、まずは面談数最大化を最優先)

なお細かいですが、1つ目は経験職種や卒業年度など、選択しやすいライトな質問を、後半で、名前・メールアドレス・電話番号などの記入式質問を設計しましょう。

3. サンクスページ

フォームへの個人情報入力が終わり、「登録する or 転職相談を申し込む」のボタンを押下すると、サンクスページが表示されます。
このサンクスページをGA4、Google広告・Meta広告・アフィリエイト広告では承認タイミングとして設定しましょう。

サンクスページでは
「ご登録ありがとうございました。弊社より1営業日以内にお電話いたします」
という表記ではなく、
「ご登録ありがとうございます、続いて下記の質問にお答えください」
と記載し、1つライトな選択式質問を設定します。
例えば、転職希望時期(いますぐ、1ヶ月以内、3ヶ月以内)などです。
その後に、面談可能日程を表示させます。

日付・時間帯ごとに〇・✕・△が表示され、登録者がワンクリックで日時を確定させます。
ここが非常に重要です。
多くの人材紹介会社は、フォームでコンバージョンした後にLINEやTELで日程を確定させようとします。
しかし、

・仕事中に登録したため電話をかけても繋がらない。(通電率が悪い)
・LINEの仕様上、向こうからメッセージを一つもらえないと追いかけるに追いかけれない
・SMSやLINEで返信はあったのだが、夜・土日祝なのでCSの返信が遅れて面談予約がなかなか確定しない

といった事象が発生します。ユーザーの温度感が一番高い、「登録時」に一気に日時予約を確定させましょう。

また予約後のキャンセル率も人材紹介では30%は発生します。(= 面談実現率は70%程度に集束する)。
キャンセル率を少しでも下げるために、キャンセルポリシーと、チェックボックスを挿入する事により牽制しましょう。

4. 追いかけツール

上記サンクスページで日時予約を確定してもキャンセルやすっぽかしは発生します。
登録後には下記ツールで接点をとり、面談予約を確実にいれて、キャンセルされないようにしましょう。
追いかけツールは4種類あり、利用の優先度は下記となります。

※SMSとメールは同順位です。
優先度とはすなわち、下記順番に実施するのが効果的という意味です。

1位:電話
まずは電話をかけましょう。理想は登録後10分以内、遅くとも1営業日以内には電話をかけることが望ましいです。

2位:LINE
面談日時予約後にLINE QRコードをのせてLINEでやり取りをしましょう。
電話よりもLINEの返信の方が年々高くなっております。

3位:SMS / メール
電話やLINEに反応しない方にはSMSやメールでアプローチしましょう。

構造編で一番伝えたいポイントは、「サンクスページでいかに予約を確定させるか」という点です。

②リソース

リソースも再確認しましょう。

上図の①はどの紹介会社も準備するのですが、②③を軽視しがちです。
夜間や土日祝の登録は、翌朝や月曜日にかければいいかという姿勢です。
就職や転職の申込はフリーターを除き、大体夜間か土日に登録をします。
また長期休暇こそ「このまま続けていいのかな・・・」と人は立ち返ります。
そのため、②③にもパート/アルバイトで良いので、人員を配置しましょう。

細かいですが、正社員は日勤/土日祝休みのなか、オフィスにパートさん1人残すわけにもいかないため、②③でパートさんに依頼する際はリモートで対応しましょう。

③CSリーダー

CSはRA(Recruting Adviser・法人営業)やCA(キャリアアドバイザー)と比較すると、間接部門とみなされ、ホスピタリティの高い方が組成されます。それ自体は問題ありませんが、非常に重要なユニットなので、リーダーは下記能力と人物像の方が望ましいです。

  1. 週次の考察レポート作成および経営陣への発表能力
    具体的には面談設定数を報告します。
    マーケティングチームとCSチームは2チームで、月次の面談数をCAに供給する責務を追います。面談数は結果論の要素があるため、週次の報告では面談設定数(実現されたかどうかではなく、設定というアクションを行ったか)を報告する事が望ましいです。
    著者のあるあるは、登録数は達成しているのに、面談数は未達というケースです。
    これは登録数の獲得にむけてお金は投下したのに、キャリアアドバイザーとの面談数は期待値を下回る、つまりお金の無駄をしているという状態です。
    即座にCSのフロー・中身・組織文化の見直しを図りましょう。

  2. 見直す力
    登録者への案内文章のパターンが2~3しかない場合は、フェーズごとに案内文章を作成してください。また実務を通して経験するQ&Aも溜めていきましょう。組織として同じ回答品質を保つためです。

    Q&Aの例)
    Q:営業の経験しかないのですが、エンジニアへの転職は可能でしょうか。
    A:年齢とご経験によります。20代であれば比較的未経験でもエンジニアとして受け入れて頂ける企業様はございます。一度ご相談ください。

  3. 達成マインド
    職務の気質上、ホスピタリティの高い、丁寧なオペレーター向きの方を採用する傾向が高いです。一方で、CSも面談設定数の月次目標を追っています。目標達成するぞというチームの士気を高めるリーダーが不可欠です

    ※おまけ
    コロナの影響もあり、転職面談は、対面よりもWeb、Webよりも電話と、距離が遠くなっています。接触に対する顧客ニーズの機微な変化に適応する能力も求められます。

★あるある課題と解決策★

人材紹介業の各機能における役割と重要性(自論)

人材紹介事業の機能はメイン機能 4つ、サブ機能 3つがあります。

CA
花形の職種です。売り手市場の2023年現在だと、求人獲得の職務を担うRA(営業)よりもCAに求められる価値の方が高いです。CA1名あたり、若年層だと年間で2~3千万の目標、中途だと3~5千万の目標が課されます。
離職も発生しやすい職種のため、入れ替わりはある程度受入れて採用し続けましょう。

RA
CAに続き花形職種です。新卒・第二新卒領域では、前金/着手金といった支払いをどれだけ増やせるかが重要です。中途領域では、合同説明会の開催時に協力してもらえるか、紹介会社の集客マーケティングでロゴの使用許可を頂けるか、求人オープンの情報をいち早く流してくれるかなどが腕の見せ所となります。

マーケティング
売上の3割が広告費の上限値です。収まるように設定しましょう。
初速は外注業者に依頼して作り上げても良いですが、正社員数15名を越えて来たら内製化も進めましょう。
記事や広告クリエイティブの精度の高さ(顧客インサイトの理解度)は自社にいる社員がやはり強いです。

CS
非常に重要です。著者が見る限り、CSリーダーに優秀な人材を配置している会社は伸びます。人材紹介を立ち上げる経営者は得てして、セールスよりなので、優秀なCA・RAは引っこ抜いちゃうケースが多いです。マーケティングも知人経由で優秀なマーケターに知り合いがちです。ただCSリーダーは出会わないし、価値を感じづらいです。
面談率が20%と40%では、売上が2倍変わるという重要なインパクトにも関わらず、軽視されがちな職種です。

図(サブ機能)

管理部
いわゆる管理業務と合わせて事業目線の管理会計も実装できると良いです。
すなわち、
・CA別の面談決定率および面談設定決定率(キャンセル率も加味した決定率)
・RA別の推薦決定率
・CS別の面談設定率
・求人別の昨対売上
・人材経歴別の決定単価と決定率
など経営陣の意思決定材料となる数値を細かく取りましょう。

エンジニア
社員数30名超えてからは1名は採用しましょう。(正社員じゃなくても可)
集客手段の複雑化、それに伴う計測手段の複雑化、計測後の集計の複雑化など、新しいツールを入れたり、人を採用するほど目に見えないコストが膨らむことを抑える必要があります。
セールスフォース・HRBC・Kintone・HubSpotなどをCRMおよびMAツールとして実装されるケースが多いですが、カスタマイズは必ず発生します。
人材紹介の利益構造は、年商に対して、人件費 50%、広告費 20%、その他 10%、営業利益 20%が好ましいです。この数値に落ち着かせるためにはエンジニアの支えが不可欠です。

広報
広報を強化し、人材業界内のみならず求職者・人事に向けてのプレゼンスを高めます。
広報とは具体的に、

①メディアネットワークを構築する
⇒記者の連絡先を把握しており、連絡をお互いできる関係性がある状態を指します。
②受賞し、発信する
ホワイト企業大賞や、FAST 50などの賞を獲得し、プレスリリースを配信します。

の2点が主な活動と成果となります。
求職者集客においては、SEO・アフィリエイト・Web広告などを配信した際の、登録歩留まりが向上する効果が見込まれます。
求人開拓の営業サイドにおいても獲得率が向上します。
広報やブランディング活動は、中々投資対効果が見込めず、力を入れない会社が多いです。
上記のように、集客・法人営業のどちらにも高い効果を出しますし、自社の採用にも大きな影響を与えます。

一度紹介免許取得時の講座に参加してみてください。
著者も参加したのですが、毎日何百という会社が紹介免許の取得をしているのです。
埋もれるほど沢山存在する紹介会社の中で、光を放つには事業成長を待たずして、広報にも一定リソースを割くことを推奨します。

さいごに

いかがでしたか。
8年間の自身の事業会社経営経験、および、2年で150社様のマーケティング支援を行う中で、気付いた知見を書き留めました。
ぜひ貴社の事業成長にお役立て頂けますと幸いです。

最後に一つ当社の営業をさせてください。

マーケティングで成果が出せるか出せないかは、「顧客理解度が高いか?」に帰着します。
ナウビレッジという会社は、ここまで顧客(ここでいう転職希望者)のニーズを把握しているんだという事をアピールしたく本記事を執筆しました。

マーケティングの依頼を検討したいという方はぜひご連絡頂けると嬉しいです。
メールでもFacebookでもTwitterでも構いません。
長文にお付き合い頂きありがとうございました。

◆関連記事の紹介
人材紹介会社の経営について
https://now-village.jp/blog/digitalmarketing/3805
人材紹介会社のBtoBマーケティング(求人開拓)について
https://now-village.jp/blog/digitalmarketing/3646

◆メール
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代表取締役
今村 邦之
imamura@now-village.jp

会社アドレス
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※プライベートの投稿の方が多いです笑
一度メッセージを頂けた後で承認後、ご確認ください。

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