恋について思うとき僕らが思うこと


できればこの文章を読むときにMiles Davisの枯葉を聴いていただきたい
それはとても重要なことだから

僕は先日ある女性とデートをした

彼女と会うのは二回目だ

僕は1回しか会っていない女性と

しかもその1回目であまり言葉を交わさなかった女性とデートをするのは

とても久しぶりだった

僕は年甲斐もなくドキドキし、家では時間をかけて服を選び

髪や眉などの身だしなみをいつもよりも念入りに手入れした

いつもよりとは、ガールフレンドがいたときに比べて、

ということなのだけれども

家を出る時間までまだあった僕は、せわしなく煙草を吸った

幾分かの緊張と期待とけだるさでいつもより煙草はおいしくなかった

それは毎日を平均して、ということなのだけれども

待ち合わせ場所に着くと、僕らは普通に話し始めた

初めてちゃんと話す、といってもいい彼女との会話は非常に楽しく

彼女は外見と僕のイメージからは想像もできないほどおしゃべりで

しかし、話すテンポが遅いためか、彼女が話している時

そのおっとりとした話し方に何度か笑ってしまった


店には予約時間ぴったりに入った

僕は八海山のグラスを頼み、彼女はそのお店オリジナルの

日本酒のカクテルを頼んだ

グラスとお通しの鶏肉と紺野菜の和え物が運ばれてきて

乾杯をすると僕は聞きたかったことに踏み込むことにした

彼女の恋愛観についてだ

彼女の好きなタイプや、嫌いなタイプ

過去の恋愛に話が向かった時

彼女はぽつりぽつりと最後に好きだった男性の話をしてくれた

その時僕らはたしか高知の地酒を一つの銚子から分けて呑んでいた

彼女の最後の恋愛はどこにでもある片思いで

今思い出しても詳しくは思い出せないくらい

僕は聞いていなかった

ただ話がピークを迎えた時

店内のBGMが聴きなれた音楽に変わった

僕は思わず笑いながら言った

「この曲知ってる?枯葉っていうんだよ、今ぴったりだね」

彼女は少し驚いたように僕を見つめた後

同じように笑った

演奏者はMiles Davis

バンドの名前は知らない

僕はそこで少し、ジャズについて講釈をのべた

今となっては恐らく彼女は覚えてもいないだろう

その後BGMはジャズばかりだったが

一曲も知っている曲は流れなかった


なんとなく頑張れば今夜ベッドを共にできるような気がしたが

僕は頑張らなかった

恋をした時、僕は相手を思い浮かべてitunesでプレイリストを作る

きっと彼女のためにプレイリスト作った場合

枯葉は最初か、最後か、それとも中間に入る曲だろう


ただ

プレイリストを作った相手とはいまだかつて結ばれた事はない

僕の人生の平均で言ってという意味で

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