「お母さんったら、酷いのよ」 ぱちゃん、と湖の水面が揺れる。湖面に映るのは、ぼさぼさの黒髪にそばかすだらけの、お世辞にも可愛いとは言えない少女の顔。 「お前が美人じゃなくて良かった、なんて。……親の気持ちとしては……実際そうなのかもしれないのはわかるけど。あんまりじゃない。私だって、本当は可愛い顔に生まれたかったわ」 「ビアンカは可愛いさ」 むくれるビアンカの背を優しくなでるのは、小さい頃からの幼馴染であるカノンだ。 「ただ、その可愛さを理解できない大人が多いだけ