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データから見る "監督・宮本恒靖" by K

本日考えたいテーマは、監督論

サッカー監督を何を以って評価するのかというのは、古今東西議論が尽きないテーマだろう。

現在の森保一・日本代表監督は意外と試合には勝てている割に多くの批判を浴びている。ザックJAPANの時の「俺たちのサッカー」ではないが、日本代表はパスを回して、ポゼッションを高める観ていて楽しいサッカーを追求するものとして皆に認識されていた。それだけに、現在の勝てるが面白くないサッカーが批判のやり玉に挙げられてしまうようだ。

この日本代表監督批評はどこかで聞いたことがあると思えば、まさしく我がガンバ大阪の監督評価の論調と著しく似通っている。「宮本恒靖・現監督をどう評価するか。」これは今後数年のガンバサポ間での永遠の議題になるかもしれない。

この議題を考えるにあたって、非常に面白いデータがあるので皆さんに共有したい。きっかけはこの頃、FC東京の長谷川健太監督と札幌のペトロヴィッチ監督がJ1通算200勝を達成したことだった。J1最多勝利数を誇るのが我らが西野監督であることは有名だが、その他の面々が気になり、J1監督通算勝利数ランキングを作成した。結果は以下の通りである。

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J1監督勝利数ランキング  (参考記録:勝率)

さすが勝利数が多いだけあり、ランクインするほとんどの監督がJ1優勝経験を持つという、圧巻のテーブルである。他方、ガンバサポーターとして注目してしまうのは、1位・西野朗、2位タイ・長谷川健太と、いずれもガンバをリーグタイトルへ導いた日本人監督がワンツーフィニッシュを遂げていることであろう。

そして、さらに勝利数を試合数で割り、J1での勝率を計算してみた。個別のデータは表にある通りだが、ランクイン監督の平均勝率は48%くらいである。そうすると、大体シーズンの半分は勝点3を積み上げることができることになる。J1リーグが1シーズン34試合であることを考えると、これらの名将に率いられるクラブは最低でも勝点51を確保する期待値を有する。残り17試合は確率論的には勝ち試合は少なくなるとはいえ、トータルで見ても勝点60代後半に乗せることは容易であろう。ただ当然、本当にリーグタイトルを手にするためには、他のクラブの上を行かねばならない。勝点70代でも優勝できないシーズンは存在する。そういう意味で、このランキングに登場する監督たちは、コンスタントに成績を残せるからこそ、J1優勝という栄冠を勝ち取ることができたのであろう。

さて、本題に戻ろう。実は、番外編として載せた宮本監督の勝率は現在ちょうど50%なのである。試合数が少ないため有効に比較できないという指摘はもっともだが、現状上の表に載る名将たちと肩を並べられる好成績である。

ここで、話は冒頭の話題に戻る。「勝てる監督」「魅せる監督」、どちらが評価されるのか、である。ガンバ大阪ではどうなのだろうか。

ガンバの場合は、勝利・魅力と、もうひと要素考えねばならない。それはタイトルである。

ガンバ大阪・永遠の3命題

ガンバ大阪は、常に勝ち続けるクラブである。
ガンバ大阪は、見ていて楽しいフットボールを追求するクラブである。
ガンバ大阪は、タイトルを取り続けねばならないクラブである。

これを踏まえるとどうか。

西野監督は「魅せて勝ててタイトルが取れる監督」であった。

長谷川監督は「勝ててタイトルが取れる監督」であった。

宮本監督は、現状「勝てる監督」でしかない。これだけではガンバにおいては評価されない。タイトルを取って初めて、後世の評価の対象になる。そうすると、宮本監督の評価はシンプルに「タイトルを取れるかどうか」で判断するのでもよいかもしれない。

長谷川監督は「魅せる」要素が足りないと常に言われ続けた。前人未到の「昇格即三冠」を成し遂げてもなお、である。しかし、ガンバサポーター内で彼の評価が現在低いのは2017シーズンの悲惨さが記憶に新しいからであって、「サッカーがつまらなかった」という理由のみによってもたらされているのではない。

そういう意味で、宮本監督がタイトルを取ったときにどういう評価を受けるかというのは非常に注目すべき点であろう。ガンバ大阪ファミリーが何に重きを置いているのかが明確になるかもしれない。

もしくは、いずれ「魅せて勝ててタイトルが取れない監督」に来てもらうのも良い対照実験になるかもしれない。(2,3名名前が思い浮かぶのは気のせいだろうか。)

いずれにせよ、2020シーズン終盤、現実的に残された最後のタイトル・第100回天皇杯を懸けた熱戦を期待したい。

K











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