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詩と散文

☆photopos-3293  2023.9.14

これは詩ではない
詩は書けたためしがない

似ているかもしれないが
詩になってはいない
どこかアフォリズムに似た
ポエジーに憧れる散文にすぎない

海に潜ることは
それなりに難しくても
少しばかりは潜ることができるけれど
詩の海に潜ることはむずかしい

あの深みに憧れながら
深みを恐れ
そこでは息のできないことを恐れ
潜ることができずにいるように

詩が散文を使って
詩のへと潜ることはあるが
詩と散文は別物だ

潜るためには
そこにいま
潜るわたしが
いなければならない

散文は
潜らなくても
波と波の間を漂いながら
潜ったことにすることができるけれど
いまわたしが潜っていかなければ
詩の言葉にはならないのだ

詩の言葉になるとき
散文のかたちをしていても
散文はもう散文ではない
まだ見ぬ海の深みを
生きているわたしがそこにいる

※愛媛県久万高原町・古岩屋にて

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