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一度きりの人狼、“パンドラの人狼”とは

こんにちは、田口です。
お元気でしょうか。

この度、秋山真琴さんが発起人・オーナーの「アナログゲームマガジン」というものに参加させていただくことになりました。

これが僕の「アナログゲームマガジン」としての初の記事であり、そもそも僕にとってnoteとして初の投稿になります。なので、特に見栄えの部分など至らないところもあると思いますが、よろしくお付き合いいただければと思います。

さて、ここ一年半ほどは「マーダーミステリー」というものにとてもはまっているのですが、それと同じくはまっていて素晴らしい体験が出来ると思っているゲーム?が、「パンドラの人狼」というものになります。

多少長くなってしまうので、まず最初に僕が思うパンドラの人狼のオススメポイントを簡単にまとめます。

①人狼が好きな人はより楽しく、苦手意識を持っている人も遊びやすい
②初心者と熟練者のスキル差が発生しにくい
③一度きりの物語体験が出来る
④没入しながらの推理・考察・気づきといったものが体験出来る
⑤途中脱落者が出にくい

といったものです。
ここでいう「人狼」とは「人狼ゲーム」とも呼ばれている、プレイヤー同士の会話を中心としたゲームのことですが、このゲームのことを全く知らない・聞いたことがない、という人はほとんどいないでしょう。そしてこれ以降の内容は、人狼についてある程度の知識を持っている人、遊んだことがある人を主な対象にしてお話ししていきます。

が、ここまで読んでもらって置いてけぼりというわけにもいかないので、僕が大好きな「人狼TLPT」という、舞台上でキャラクター設定を持ちながら人狼ゲームをプレイしつつ即興劇を行っている人たちによる解説ページ・動画をご紹介します。人狼をご存じでない方は、是非ご覧ください。そしてどこかでまた、人狼TLPTに関してもご紹介したいと思います

パンドラの人狼とは

いよいよ本題です。
まずはパンドラの人狼に関して定義をしていきます。が、決論からいうと、これは僕がやる必要もなく、既に決まっています。というのも、人狼というものは誰が作者か正確には分からないゲームですが、パンドラの人狼に関しては、作者が明確だからです。そしてその作者である、じゃんきちさんこと佐藤倫さんは、このように語っています。

【パンドラの人狼とは?】
・普通の人狼では絶対にあり得ない体験ができる新しい人狼ゲームです。
・レギュレーション(どの役職が何人いるのか)非公開でゲームが始まります。
・最初にわかるのは自分の役職とその能力だけ。
・1~3日目の議論前などにGMからレギュレーションについての
  ヒントを与えます。(例:どんな役職が居るのか、その役職の能力説明など)
・どの村にも複数のオリジナル役職が含まれています。
・テーマに沿ってデザインされたフェアなゲームを遊べます。

いかがでしょうか。ただこれだけだと、どういう面白さがあるのかがよく分からないかもしれません。
僕は総論としては人狼は好きですが、積極的に遊んだりはしていません。何故かというと、下記のような点からです。そんなことを気にして遊ばないのは勿体ないという意見も多いと思いますが、恐らく同様な人も結構いると思います。

①ある程度プレイヤーの人数がいた方が楽しいゲームなので、まとまった数を集めるのが難しい。

②人狼を遊べる専門店やスマホのアプリを利用すれば、上記のようなプレイヤー中の問題は解決できるが、そこに集っているのは熟練者が中心であり、僕のような初心者が混じって遊ぶのはスキル的な部分でお互いに難しい。

③僕が初心者だったせいではあるのですが、そういった場において嫌な思いをしたことがある(僕もせっかく参加しているほかのプレイヤーに対して、意味不明な言動や、用語が通じなかったりで迷惑をかけていたりもする)。また、時に議論中に厳しい言葉で追い詰められたりする。

④人狼の特徴として、昼の議論時間に処刑対象となったり、夜に人狼からの襲撃を受けたりすることにより、ゲームから途中脱落することになる。そして初心者ほどそうなりやすい。

こんなところでしょうか。上記に関しては色々な意見や捉え方があると思うのですが、ここでは本題ではないので一旦置いておきます。上記のポイント全てではありませんが、パンドラの人狼では上記に挙げたポイントが解消されている部分があります。

パンドラの人狼の魅力とは

冒頭でもまとめさせていただきましたが、いくつか僕が思うパンドラの人狼の魅力があります。

①人狼が好きな人はより楽しく、苦手意識を持っている人も遊びやすい

②レギュレーション非公開・どんな能力を持ったキャラクターが何人いるか、そして時には勝利条件すら不明なので、通常の人狼における戦略やセオリーというものがほとんど通用しない。つまり、初心者と熟練者のスキル差が発生しにくい。

③シナリオごとにオリジナルの世界観や役職(キャラクター)が設定されているので、ゲームであると同時に「一度きりの物語体験」となる。

④物語体験に加えて、没入しながら推理・考察・気づきといったものが体験できる。

⑤必ずというわけではないが、ゲームからの途中脱落者が出にくい

パンドラの人狼を経験したことがあるほかの人にとってはいかがでしょうか。僕は正直人狼の経験も少ないし、嘘をついたり、議論することや誰かを説得することも下手ですが、パンドラの人狼を後悔なく最大限遊びたいので、そのために人狼のトレーニングをしています(主にイメージで、一度だけじゃんきちさんが開いてくれた「人狼ゼミ」で)。

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パンドラの人狼の作品紹介

パンドラの人狼の作品紹介説明が足りていませんでしたが、パンドラの人狼はジャンル名です。その中に個別の作品(シナリオ)があります。マーダーミステリーというジャンルの中に「王府百年」とか「ヤノハのフタリ」とか「狂気山脈」とか「ランドルフ・ローレンスの追憶」といった作品がある、みたいな感じです。大まかなシステムは共通していますが、作品(シナリオ)ごとに世界観やレギュレーションが異なります。一度遊んでしまうとレギュレーションやギミックが分かってしまうため、一度しか遊ぶことが出来ません。

前述もしましたが、このパンドラの人狼を制作したのが、福岡在住のクリエイター・じゃんきちさんこと、佐藤倫さんです。“全人類やって欲しい”そして“殿堂入り”とも評されているマーダーミステリー「ランドルフ・ローレンスの追憶」の作者としても知られている人物です。

彼が作ったパンドラの人狼の作品名(シナリオ名)とそのサブタイトルをご紹介します。

なまえのないかいぶつ

そして村は滅びた

なまえのないかいぶつ
僕らはみんな死ぬしかない。さようなら、さようなら。
そして村は滅びた
運命に抗え、最後まで
14人による13人の17人村
かつて栄華を極めたその街は
人狼によって滅ぼされ、亡霊彷徨う廃墟へと変貌した。
星が落ちてきそうな夜に
彼らは星を読み、一族の運命を悟った。
冥土の土産に花束を
生きて生きて生きて、生きて
生命燃やして美しく
その里に住まうものは、ある秘密を抱えて生きていた。

どうですか、作品のタイトルやサブタイトルを読んだだけで、どんな内容かワクワクしませんか。通常の人狼は、なんとなくヨーロッパの村みたいなイメージの世界観だと思うのですが、必ずしもそうとは限りません。

個人的に最も印象深いのは、初めて体験した作品「そして村は滅びた」でしょうか。「ランドルフ・ローレンスの追憶」をじゃんきちさんのゲームマスターで体験された方はよくご存じだと思いますが、ゲームマスターとしての読み上げも非常に上手く、ある種反則的なBGMの演出もあり、最大限に煽られ、そしていやがおうにも盛り上げられる作品になっています。

そして作者自身も「最高傑作」と自薦しているのが「星が落ちてきそうな夜に」。前述したように「気づき」というものがパンドラの人狼の醍醐味の一つですが、この作品ではある真相に気がついたときに、人狼に親しんだ人ほど「えっ???」という叫び声が心の中で出てしまうのではないかと思います。

パンドラの人狼を遊ぶには

人狼の基本ルールを知っていて、ある程度のプレイヤー人数で対面で遊んだことがある人ならば誰でも遊べると言いたいところなのですが、ここで気軽に遊べる、という感じではないのが現状です。

パンドラの人狼の作者であるじゃんきちさんが書いている案内文は、このようになっています。

なかなかハードルが高いですね。もしこのテキストを読んでいるあなたが僕の友人・知人である場合には、何か力になれるかもしれないので相談してください。僕もこの記事を読んで興味を持ってもらえたのであれば嬉しいです。

厳密にパンドラの人狼と呼べる作品は、じゃんきちさんが作ったものと、じゃんきちさんが公演をしているものになるのですが、それ以外にも基本的には同じシステムと呼べる作品がいくつかあります。僕個人としては、出来ることであればじゃんきちさんの作品ないし、じやんきちさんのゲームマスターでパンドラの人狼を遊んで欲しいのですが、現状予定が全くないという方には、下記のような作品があり、オススメいたします。

パンドラの人狼に類する作品

数えてみると、じゃんきちさんが制作もしくはゲームマスターをしている作品で10作、それ以外で7~8作ほど遊んだことがあります。人によって「終末の人狼」と呼んでいたり、「マーダーミステリー風人狼」と呼んでいたりとまちまちですが、同じような体験感が得られると思います。

終末の人狼「あの日から僕らは夢を見ていた」
作者:ねこまみれ。

僕はこちらの作品をじゃんきちさんのゲームマスターで体験させてもらったのですが、じゃんきちさんの一連の作品と同じく、もしくはそれ以上に素晴らしかったです。

マダミス風人狼「Because of Love」
作者:カントク

マーダーミステリー風人狼「月の光によく似た狼の横顔」
作者:メガネ

月の光によく似た狼の人狼

「Because of Love」と「月の光によく似た狼の横顔」は、よく2作セットで公演されていて、たまにオープン公演で募集されるので情報をお見逃しなく。

他にも大分のオオツカさんも多数の作品を作っていたり、謎制作者として著名な南さんが作られた作品もあります。

最後に

随分駆け足になってしまったのと、勧めておきながら遊べる機会が少ないという難点がありましたが、恐らくじゃんきちさん以外のゲームマスターや店舗でもパンドラの人狼が遊べるようになっていくと思いますし、そうなっていくことを期待しています。

そしてじゃんきちさんが早く新作を制作してくれますように!もしくは、お蔵入りとなっている「ゴーストマウンテン」の公演を行ってくれますように!

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