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天使と悪魔+αの世界を救う物語(16+)— Good Omens—

概要

監督 ダグラス・マッキノン

プロデューサー フィル・コリンソン , ジョシュ・ ディネヴァー, ポール・フリフト, ティム・ブラッドリー(1)

あらすじ


 天使のアジラフェルと悪魔のクロウリーは、地球への愛着を深めていた。そんな2人にとって地球の滅亡は最悪のニュースだ。四騎士の準備は整っている。すべては神の計画の通りに進んでいた。誰かが反キリストを間違えてしまったことを除いては。人類のヒーローは反キリストを探し出し、手遅れになる前にハルマゲドンを止めることができるのか?(2)

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はじめに

 この作品は以前Twitterの腐女子の間で話題になっていた作品である。腐女子がお勧めするもの何てどうせくだらないものだと侮るなかれ。以前お勧めされた『シャーロック』というシャーロック・ホームズを現代にリメイクした作品はとても面白かった。なので今回も期待を込めて見ていたがシーズン1まで見た感想と言えば腐女子やブロマンスが好きな人しか満足できないもの。以下からその詳しい内容を語ろう。


特徴

天使と悪魔の絆

 天使と悪魔という対立する二人が世界の終焉(ハルマゲドン)を食い止める為に協力しようというものがこの作品の本筋だが本編が始まる前にもう二人は仲良くなっており、普通の天使と悪魔なら取らないであろう食事を一緒にするほどの仲である。この二人の遣り取りを楽しみながらハルマゲドンをどの様に止めるのかそれがこのドラマの醍醐味である。


ギャグテイスト

 作品全体がギャグに包まれている。反キリストが誕生する教会の名前が「聖ベリルのおしゃべり修道会」であったり、物語の重要な存在になってくる予言書の名が「魔女アグネス・ナッターの非常に正確な予言書」、地獄の番犬に「ドッグ」と名付けたことで普通の子犬になったなど多々ある。個人的なこのギャグ描写が面白かったが人に向かって銃を撃つシーンや性行為の描写があるために16+になっているのだろう。


良い点

衣装、背景

 どの時代のアジラフェルの衣装は白を基調としたものとなっており、天使という印象も強め彼自身の紳士的な態度と相まっている。クロウリーは髪型もその時代ごとに変えているので彼が流行りに敏感で浮世に染まっている印象を強め、全体の黒い衣装も彼の悪魔としての属性を目立たせている。

 衣装のクオリティが高くそのキャラクターの性格に合っている。そして天界と地界のデザインも現代風にリメイクされていながらそれぞれの印象に合致し、アジラフェルの古本屋のデザインもとても良い。デザイン面では高水準になっている。


天使と悪魔の友情?

 前述したとおり、この作品全体がハルマゲドンをアジラフェルとクロウリーが止める事を主題として行っている為、二人の絆描写が濃密にされている。途中で入る二人の間に絆が芽生える契機を約30分かけて描いている。その為に彼等二人に感情移入がしやすく、物語の中盤で描かれる不和や自然と仲直りしている事も何となしに受け入れられる。


悪い点

天使と悪魔以外

その他登場人物

 天使と悪魔の友情?の描写は濃密だがその他の登場人物の掘り下げが微妙になっている。1話が反キリストの誕生と彼に地獄の番犬が付くまでを描いている為他の主要の登場人物が出てきていない。また3話に30分アジラフェルとクロウリーの過去回想をしている為1話から出て、3話で過去回想をするキャラクターの方に感情移入がしやすく、6話中の2話に初登場し、3話の後半30分に漸く再登場するキャラクターに感情移入はしずらい。もう少しこの配分を気を付けた方が良い。

 魔女狩り軍やアグネス・ナッターの子孫、アグネス・ナッターを火あぶりにした魔女狩り軍のパルシファー少佐の子孫も物語の本筋にはほとんど関わらなかった。天使と悪魔が浮世に介入する為に必要ではあったが別の人物でも事足りた。


反キリストの心情

 反キリストは人間社会に溶け込み、不自由はあるが楽しい友達との生活に満足してた。そんな彼が何故世界を作り替えようとするのか彼自身の感情変化が分かりにくい。

 この世界が悪い事実に満ちており、それを隠そうする人たちがいるそんな人達が世界を牛耳るなんてどうかしてると考えたからだと解釈できるがそれが子どもながらの浅はかな感情の変化としか見えずこの作品はその解釈で良しと考えたとしか思えない。反キリストが思春期特有の惨めさではなく私達大人でも理解できる様な感情の変化を出して欲しかった。


CGのクオリティ

 これは特に天界でのシーンが分かりやすい。天使たちが会話をするシーンの時、体全体、建物全体も見える引きのシーンか顔だけ大きく映すシーンが多くそこでCGのクオリティが低いので背景の装飾が見えない様に工夫していると分かりやすい。もう少しどうにかならなかったのか。


展開

 天使と悪魔の仲良し描写が充実していたというほかない。他のキャラクターの影が薄い。物語の本筋となっていたハルマゲドンも反キリストが悪い大人に世界を任せられないから友達と一緒に作り直そう。友達と喧嘩した、友達ごと世界作り直そう。なんやかんやあって友達と仲直りした。でも世界が消滅しそうだから一緒に戦おう。という展開である。前述したとおりこの作品内に子供向けにしては厳しい描写があるがこの展開を見ると子供向けとしかいう他ない。この物語中のギャグに出来る程ハルマゲドンの下りはお粗末である。

 最期のサタンと対決するシーンも人物も少ない方が緊張感もあり、見栄えがするのに全員集合している(他の人物がいなくても展開に差しさわりはない)。人物が多すぎるが故に物語の進行の仕方は予想外であったが見応えがない展開になったというしかない。もう少し話のスリムさが必要である。


おわりに

 天使と悪魔の絡みとギャグにしか見どころはない。しかしその二つのクオリティが高い故に話の展開と他の人物の描写がお粗末になった言わざるを得ない。二人のブロマンスな関係やきついギャグを求めている人は是非見てほしい。

 個人的には天使と悪魔の関係は友情より愛情の方が大きいと思うがどうなのだろう?



(註)

(1)、(2)、ヘッダー画像以下転載、引用


https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B08BH8FNZ6/ref=atv_hm_hom_c_aY79aW_16_1

(3)以下から画像転載


〈リンク〉

当該商品Amazon primeページ

https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B08BH8FNZ6/ref=atv_hm_hom_c_aY79aW_16_1



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