見出し画像

星を吐く

仕事を終えて帰る人混みに逆らう車の中で心を無にしてリップを塗り直してお金のためお金のためと呟く中、コンビニに入っていくカップルが眩しく見える。

夜の世界に踏み込んだ頃はまだキラキラして全てが知らないことだらけでワクワクしてた。
裏で吐く胃液の苦さなんて知らなかった。
張り付いた笑顔でグラスを受け取るけど、こんなにも重かったのかなとか考える。きっと、気のせいだけどね。

更衣室の鏡でみると触られた頭や肩が汚くみえてあんなに大嫌いだったお風呂に何回も入ることになるとは思わなかったよ。
数字が全てのこの業界で理不尽な要求もアルコールと一緒に飲み込むしかなくて、自分で選んだ道なのに腑に落ちなくて息苦しくなる。

ネオンの色が映るアスファルトはとても綺麗なのになんて汚い世界なんだろ。
帰宅してベッドの中で口の中がずっと苦くてどこかがずっと痛くて寝れなくてトイレにこもる。
自分の内臓が動いて生きてるのを自覚し始めたからもう終わり。

私が泣きながら吐いた星達はお金に変わって私の元に降り注ぐ。

耳がとおくなってきた。もう、つかれた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?