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神様の話

隣の芝を抜いては燃やす
絵描きは青に取り憑かれている
蒐集家はまだ持ってない物の数を数えて
今日も一日を終える

心臓を失くした人形たちは
代わりになる物を探す
喪失それ自体が命の価値と
詩人は知ったような口を利いた

痛むかい?
紛れもなく君の痛みだ


奪い合った椅子は朽ち果てた
どちらが正義か決めずに
神は死んだ

性器の発明
欲望の装置
スイッチを入れたのは誰だ

寝ている間に
言った覚えのないことも言ったことにされていた
僕はただの観察者

彼女は聞く耳を持たず
三歩進んで三歩下がる
呆れてものも言わない神は
退屈な仕事に嫌気が差した
偉大な失敗作たち
どうして僕が助けてあげなくちゃいけないんだ?


痛みさえ忘れ
君は傷痕をナイフでなぞる
誰か私を壊して
罰を待ち侘びる

穴の空いた胃袋に
君は大事そうにしまう
ナイフ、海図、それから写真を

空虚な空を見上げ祈る信者
あの機械が終わるように

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