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茨城の風景・ロケ地

 7時ごろから本格的に雨になった。

 春馬くんが去って8ヶ月。新しく公開された出演作はまだ見ていない。緊急事態宣言も解除となったものの、感染者数が上昇していて、春休みも始まっている。なんとなく不気味な、そしてぬるい解放感をみな感じていることだろう。できたら空いたレイトショーで見たい。

 昨日はなにもかも放棄して、家で6本の映画を見た。静岡と山形が舞台の古い映画、大阪と東京が舞台の古い映画、そしてたまたま見た3本目が茨城・鹿島界隈を舞台にした映画だった。1982年公開の「さらば愛しき大地」。柳町監督が変わりゆく鹿島を残そうとここを舞台にしたという。映画は本当にロケ地となる場所の記録的な意味をもつと実感される3本であったけれど、とくに「さらば・・」は、その思いで撮影されたというのだから、興味深い。

 どこがどう消えてしまったのか、なかなかわからない、というのは、私がこの数ヶ月Googleマップのストリートビューで見ている茨城県の中央から西南にかけての地域というのは、関東平野の果てしない農耕地。そして同じように広々と長く伸びやかな海岸線という印象で、映像に残されているものは、このところ見慣れているその風景と変わらない気がしたのだ。しかし、主人公が運転するダンプの窓の向こうに、工業地帯のようなものが小さく見えるシーンがある。それそのものを主役に写してしまうのではない、遠景にそれを匂わせるというのだけでも、当時の住人には、十分に大きな変化、不穏なものとしてその目に映ったのであろう。

 この映画は非常に濃い「茨城弁」映画でもある。なにを言っているのかわからない箇所もたくさんある。だっぺ、という語尾は茨城弁だったのか。

 茨城をロケ地にした映画を調べていたら「うさぎドロップ」が出てきた。この映画が公開された頃、私はちょっと松山ケンイチ熱が落ち着いて、それから仕事も忙しい時期だった。カムイ外伝で共演した小雪との結婚も発表されたあと。そのまま見逃したままになっていたけれど、「土浦がたっぷり見れる」ということで慌てて昨夜Amazonプライムで見た。

 ケンちゃんは当時20代半ば。本当に見ていてほっとする。デスノートの頃は、その透明感、線の細さが際立っていたけれど、彼は案外骨太な人だった。この8ヶ月、ずっと春馬くんのことを絶えず見て、読んで、探して、触れてきた。そして、今、こうして20代半ばだったケンちゃんを見ると、とても感慨深い。それぞれが際立つ感じだ。

 映画はとくにロケ地について特別な意味を持たせている感じはない。ただ、首都圏への通勤にそこそこ時間がかかるという設定がある。やはりこの映画でも「さらば愛しき大地」と同じ、広がる稲田、波打つ緑が背景になる。地域の人々にはいつもの風景ということになるのであろうが、私にはこれは茨城を判別する際の記号となっている。土浦駅前界隈で走ったり、慌てたりのシーンがたくさん撮影されている。この場所は、かつて春馬くんのご両親がお店をやっておられたショッピングモール。春馬くんはこの映画、見てたのだろうか。 

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