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2023年4月の本棚

4月に読んだマンガをまとめました。
今月からちょっと仕様を変えてみました。



これ描いて死ね 3 / とよ田みのる(小学館)

祝マンガ大賞2023受賞。初コミティアを終え、次なる漫画制作に向けた日々を過ごす相たち漫研メンバー。島探検やSNSでの4コマ発信、文化祭出展、毎日の経験すべてが創作への道標。

藤森姉妹の愛情にホロリとさせられたり、石龍さんと赤福の不思議な友情に心揺さぶられたり、今回も大大大満足。『この世の90%はカスである』という言葉を頭の隅に置きつつ、赤福のような考え方も(一部)リスペクトしながら生きていきたいな。

『これ描いて死ね』がマンガ大賞を受賞したということで、4月は「とよ田みのる強化月間」として未読過去作品(『金剛寺さんは面倒臭い』以外)を一気に読みました。以下著者名割愛。

ラブロマ 全5巻 (講談社)

最初の連載作。高校1年生の根岸さんは、ある日突然、同級生の星野くんに告白される。はじめは戸惑う根岸さんだったが、星野くんに絆されながらお付き合いをしていく、という単純明快で気持ち良いほどにストレートなピュアラブロマンス

人が人を好きになるのに深い理由なんかいらなくて、誠実に相手と向き合うことが何より大切だと改めて気付かされました。状態の良い絶版(講談社)の方を入手できたけど新装版(小学館)も買おうかなー。


FLIP-FLAP 全1巻(講談社)

一冊完結の短期連載作。高校の卒業式の日に同級生の山田さんに告白した主人公の深町くん。山田さんからの返事は「ピンボールでハイスコアを出せたら付き合う」というものだった。

不純な動機から足を踏み入れた未知なる世界の。見返りのない、無意味で孤独な世界でこそ、自由になれる瞬間がある。愛と情熱に満ちた一冊でした。「軽く打つんだフリップ・フラップ


友達100人できるかな 全5巻(講談社)

連載3作目。妻の出産に立ち会うため病院へ急いでいた平凡な小学校教師の直行ナオユキは、病室でとある宇宙人に遭遇する。宇宙人は地球侵略を企てているが、「地球に愛が存在する」と証明された場合、自らの星の規約により侵攻をやめると言う

その観察対象に選ばれた直行に課されたミッションは1980年、小学3年生の頃に戻り、友達を100人作ること。地球の愛を証明するため友達100人できるかな!?

遠い少年時代を懐かしみながら読みました。あの頃どうやって友達作ってたんだろう。何がどうなれば友達と言えたんだろう。


タケヲちゃん物怪録ぶっかいろく 全7巻(小学館)

連載4作目。広島県三次市に実際に伝わる『稲生物怪録』を下敷きにした妖怪コメディー。

高校進学を機に上京してきた超不幸体質の女の子・稲生武夫イノウタケヲが入居することになった下宿先はなんと妖怪屋敷・百鬼荘だった。

ひょんなことから百鬼荘を統べる妖怪のリーダー・座敷童子の山本六郎左衛門に気に入られ、交流を深めていくタケヲちゃん。一人ぼっちの不幸少女が見つける幸福の形と優しい結末。過去作の中で個人的に一番好きな作品でした。


とよ田みのる短編集 CATCH&THROW(小学館)

一冊目の短編集。とよ田先生は手塚治虫リスペクトで「スター・システム(同一作家が一人のキャラクターを同デザインの別人として別作品に登場させる手法)」を多く用いていて、過去の読切で登場したキャラクターが後の連載作品の主要人物になっていたりすることが、ままある。

当たり前と言えば当たり前だけど、全部繋がっているんだよな。こういうところがマンガの面白いところの一つだと思います。収録作どれも好き。


とよ田みのる短編集2 イマジン(小学館)

二冊目の短編集。表題作【イマジン】が特に良かった。こういうイマジナリーフレンド的な要素は『これ描いて死ね』にも取り込まれている。想像力が持つ無限の可能性。

【読切版金剛寺さんは面倒臭い】【私が世界を守ります】はやっぱりだいぶ人を選ぶ感はある。こういう作者の描きたいもの詰め込みまくった!みたいなカオス作品は読むと幸せになれます。


タケヲちゃん物怪録外伝(Kindle)

金剛寺さんは面倒臭いのひみつ(Kindle)

最近の赤さん 全2巻(Kindle)

その他、Kindle Unlimitedで公開されていた副読本的な二冊と育児エッセイの『最近の赤さん』も。子育てって楽しそうだよな、と最近結構思う(甘い考え)

全作読んでみて、とよ田みのる先生からキャラクターたちに向けた愛だったり、周りにいる大切の人たちに向けた愛だったり、自分自身に向けた愛(興味や趣味嗜好)だったり、そういう全方位への底抜けの深い愛が、作品を通して読者にも伝わって来るようでした。

良い意味で作者の顔が浮かぶような、先生の描きたいことや体験したこととキャラクターたちの動きが違和感なくリンクしているような、なんかそんな感じ(?)

サラウンド 1~3 / 紺津名子(リイド社)

山口と戸田と田島、仲良し男子高校生3人組のゆるやかな日常。勉強にバイトに友情に、少しの恋に。良い意味で特別なことが一切ない穏やかな日々は、光ってないのに眩しく見える。青春ってきっとこういうことなんだと思える素晴らしい作品でした。

三人の関係性はもちろん、脇役との関わりも多すぎず少なすぎず絶妙な具合。山口の姉とか戸田の幼馴染とか同級生の澤井さんとか、登場人物全員を目で追いたくなる。


すずめくんの声 1 / 路田行(ジーオーティー)

大好きだった彼氏・すずめくんに突如フラれた主人公・ほのか。どうしても彼の声が忘れられず、録音した声を聴き続ける日々。そんなある日、彼と同じ声を持つ高梨くんと出会う。混乱するほのかだったが、気がつくと高梨くんに土下座でお付き合いを申し込んでいたーー。

声以外はすずめくんと似ても似つかない純粋無垢な犬系男子の高梨くんを振り回したり、振り回されたりするちょっと変わったラブストーリー。

すずめくんの危険なオーラや高梨くんの掴みきれない言動、そしてほのかの不安定な情緒がどう絡み合っていくのか楽しみです。だいぶ狂ってるようにも見えるけど、「声」って結構一般的なフェチだし共感もできる部分もある、かも。


透明人間そとに出る / 路田行(KADOKAWA)

『すずめくんの声』の路田行先生の短編集。透明人間が外に出る話/夫婦同士で中身が入れ替わる話/クローン人間の恋の話/察せられない女の子の話/ロフトに住み着いた家出少年の話/ゴミ屋敷に眠る自分だけの宝物の話、どれも登場人物たちの少しの感情のすれ違いやササクレが発端となりながらも最後はふわ〜っとハッピーになる優しい読後感でした。好き。

【ヤナギダクリーク】についてのあとがきがとても良かった。本当に好きなものを人前に出したくない。自分のものさしで勝手に好きでいたい。大事だ…


ことり文書 3 完結 / 天野実樹(KADOKAWA)

小鳥お嬢様に今日も手を焼く執事の白石。おてんばな小鳥も周りの人たちと触れ合いや自分自身の気持ちと向き合い、日々少しずつ成長していく。

歳だからか、こういう一人の少女の健気な成長みたいな描写に弱くてなんか2回くらい泣いた(誇張なし)。これで終わりだということが、とてもつらい。


気になってる人が男じゃなかった 1 / 新井すみこ(KADOKAWA)

洋楽好きな女子高生・大沢あやがCDショップで出会ったイケメンの正体が実は同級生の地味目女子・古賀みつきだった、というTwitter発のガール・ミーツ・ガール漫画

古賀さんの天然たらし感がとてもいやらしい(褒め言葉)。序盤でもっとちゃんと相手に説明しろ!とか野暮な感想を飲み込みつつ堪能させていただきました。紙面もキャラもオシャレでかっこいい分、タイトルもなんかもっと凝ってほしかった感は否めない。

作品公式の洋楽プレイリストも公開されています


アイドルマスターシンデレラガールズU149 1~12 / 廾之・バンダイナムコエンターテインメント(小学館)

アニメも大絶賛放送中の身長149cm以下の小学生アイドルたちが所属する「第3芸能課」が主役のデレマススピンオフ漫画。3巻くらいまでは過去に読んでいた記憶があるけど、気がつけばもう12巻も出ていた。

小学生と侮る勿れ、中身はしっかり「アイドル漫画」で、むしろ純粋に真正面からアイドルとしての仕事に臨んでいて邪気がない。葛藤とかはあるけど、憧れや情熱が不純物なく描かれているので、遠く離れたところからキモオタスマイルで眺めていられる感じの作品です。

ゲーム原作のコミカライズって本当に「ゲームのおまけ」というポジションなことが殆どだけど、今作は原作ゲームとは別の世界のアイドル事務所というテイで描かれています。

先輩アイドルが他事務所所属だったり、ゲーム特有のプロデューサー(ユーザー)とアイドルの1対1の構図が解消されていたり、ゲームのコミュを読むのとはまた違った別のオリジナリティーがあって大変読み応えがあります。ちなみに作画の廾之きょうの先生は女性で、最初知った時めちゃくちゃ驚いた。

OPだけでも見てほしい


針と羊の舟 1 / 幌琴似(KADOKAWA)

飼っていたウサギの死をきっかけに、ペットロスに陥ってしまった大学生の純平。大学にも行かなくなり塞ぎこみがちになっていた日々の中で「羊毛フェルト」という存在に出会う。

叔母の務める公民館に籠り、小学生の弥生に師事し、いつか愛兎そっくりのぬいぐるみを作ることを夢見て、ちくちくと無心で針を刺し続ける。

「羊毛フェルト」がテーマのちょっと珍しい作品。なぜか小学生の女の子の弟子になっていたり、北海道が舞台なのにあまりにもポッと新宿に行っていたり、と少し粗さは目立ちますが、細部のボケのノリが絶妙に好みで楽しく読めました。神は細部に宿るって感じの作品だった(?)


最果てのセレナード 1 / ひの宙子(講談社)

北海道の田舎町。ピアノ教室の家に暮らす中学生・律と、その教室に通うことになった転校生の小夜。あるコンクールをきっかけに2人は親密になっていくが、小夜は律に、母親を殺したいと告げる

10年後。律は東京で週刊記者として忙しい毎日を過ごしていたが、地元北海道では白骨遺体が発見されて騒ぎになっていた。10年前の雪の日に犯した罪。10年という月日。止まっていた物語は今、大きく動き出すーー。

答え合わせをしていくような構成と、ゆっくりじわりじわりと進むテンポにゾクゾクしながら楽しめたサスペンスでした。二人の女性に救いはあるのか。救いとは何か。2巻も楽しみです。


女子高生除霊師アカネ! 1 / 大武政夫(集英社)

『ヒナまつり』の大武政夫先生の新作。女子高生・東雲茜は、家の金と共に蒸発した父親の跡を継ぎ、除霊師になる。当然、霊など見えはしない。父親直伝の詐欺まがいな除霊テクニックを駆使して今日も依頼人を騙し、もとい救っていく。

あとがきにあった通り、何年も前から温めていただけあって『ヒナまつり』にも漏れ出ていた要素で構築されていて、懐かしくなった。良い話になりそうでならないギャグラインも健在で笑わせてもらいました。茜が完全に汚い瞳。




メリー・ウィッチーズ・ライフ ~ベルルバジルの3人の未亡人~ 1 / メノタ(主婦と生活社)

落ちこぼれ魔女のゾーイは魔女の島から旅立ち、辿りつ着いた小さな村で運命の男性と添い遂げる…も夫はあっさり他界し亡き人に。悲しみに暮れるゾーイは、同じく未亡人(虫)のコガネムシ・イライザと、実は未亡人だった友人・シィシカと共に「夫の復活」のため魔女修行をはじめる。

始まったばかりでまだなんとも言えないけど、不思議な村で不思議なことが起こる予感。どこか不穏な雰囲気を帯びている気がする。


天才魔女の魔力枯れ 1 / 辻島もと

『やきゅうみようよ!』の辻島もと先生の新作は、調子に乗って魔力全部使い果たしちゃった可哀想なメスガキ系魔女とその弟子のラブコメ。

かつての弟子たちの中からずば抜けて自分のことを慕ってくれていたという小麦くんの元へ転がり込んだかつての天才魔女・ナユ。アホだけどどこか放って置けない魔女の因果応報ラブコメ、でした。これももうちょっとタイトル捻ってほしかったかも。


まめで四角でやわらかで 上 / ウルバノヴィチ香苗(リイド社)

やわらかな線で描かれる江戸の風景。何が起こるでもなく、普通の人の普通の暮らしが淡々と描かれていて、マンガで読む一つの歴史資料のような雰囲気の作品でした。

かつて確かに存在した平凡で豊かな毎日。This is ODAYAKA.


ネバーエンディング・ウィークエンド 1 / 座紀光倫(幻冬社)

ドイツで暮らす日本人写真家の塁は、同居人のオスカーの提案で突如旅行に出かけることになった。準備に取り掛かろうとしたその時、母親との再会を望む謎の少年・ルイと出会い、母親探しの旅に付き合うことに。ドイツを舞台に始まる「家族」をめぐる物語

それぞれがまだちょっと秘密を隠し持ったまま進むストーリー。血を見ることになりそう。


正反対なわたしたち 1 / 夏奈ほの(一迅社)

小型犬を飼っている大柄な男性と大型犬を買っている小柄な女性。見た目も性格も飼ってる愛犬も”正反対”な男女と愛犬たちの触れ合いを描いたモフモフラブコメ

某正反対漫画の影響で完全にタイトル買いしたけど、普通に良作で癒されました。ここからどんどんラブコメの波動が強くなっていきそう。それにしても犬飼いたい、切実に。

(リンクが上手く表示されない問題)


IDOL×IDOL STORY! 1 / 得能正太郎(芳文社)

『NEW GAME!』の得能正太郎先生の新作はアイドルオーディションもの。流行りジャンルだ!と思ったけど、先生が某アイドルカツドウアニメのフアンだということを存じ上げていたのですんなり受け入れられました。

一度はアイドルを諦めた歳上主人公とかつて主人公に憧れてアイドルになった歳下主人公がサバイバルオーディションに挑む王道展開。1巻から超スピーディー展開だったので、もしからしたらアイドルになってからが本番なのかもしれない。


恋文と13歳の女優アクトレス 1 / じゃが(芳文社)

芸能事務所で経理として働いていた27歳の一色ふみは部署異動で営業へ。担当することとなった13歳の子役の少女・羽賀文乃あやのはどうやら文のことが気になる様子。子供と大人の境界で揺れ動く危うい関係性。

自分の邪念のせいか、倫理観のせいか、かなりギリギリのラインを攻めていると感じた。文乃は純粋に可愛いくて、読んでて悶絶するレベルに面白かったけど、これくっついてしまっていいのか?これを楽しんで読んでいいのか?という不安がどうしても付きまとう展開。危うい、けど面白い。


Psycho-Party 1 / ナガサワヒロ(芳文社)

超能力による大量殺人事件をきっけかに超能力者サイキックたちが危険視されるようになった世界。超能力擁護派や反対派、利用しようとする謎の勢力が存在する中、突如能力が開花してしまった少女・ヒバナを中心に思惑は渦巻いてゆくーー。

内気な少女が望まない強大な力を手にしたことで動き出す物語。内容も良いけど絵が好き。


無田のある生活 1 / 朝比奈リョウ(小学館)

自宅にて彼氏の浮気現場を目撃してしまった主人公の相沢ゆかり(27)。家を飛び出し、兄に紹介された仮の居候先は、ミニマリスト・無田むた仁(33)が住む空っぽの家だった。捨てられない女と捨てたい男、正反対な二人の不安だらけの共同生活

クソ元彼の男が不快すぎたけど、あんな男でもゆかりにとっては大切な人だったと思うと同情してしまう。痛い目見てほしいけどこの元彼がどうやら曲者そう。


やがて明日に至る蝉 / ひの宙子(祥伝社)

『最果てのセレナード』と同月発売のひの宙子先生の最新の短編集。中2の春、小2まで隣に住んでいた幼馴染の遥斗が転校してきた。主人公のゆうひは、遥斗の兄に性被害に遭った過去を持つ。遥斗にかけられた「おまえはあいつを殺していい」という言葉に揺れるゆうひだったが…

ちょっとテーマがデリケートすぎて上手く咀嚼できないまま終わってしまった感。後半収録のホタテやカニをベランダで食う男女の話とは温度差ありすぎた笑


グッド・バイ・プロミネンス / ひの宙子(祥伝社)

ひの宙子先生の過去の短編集。オムニバス形式で各話の登場人物がちょっとずつ繋がっているタイプの読んで嬉しい楽しい一冊。でも実兄に彼女寝取られる話が嫌すぎた。性にだらしない人間は簡単に軽蔑対象になるところがある自分。男女関係なく人は誠実に在ってほしい。




可愛いだけじゃない式守さん 19・20 完結 / 真木蛍五(講談社)

皆無事に受験を終え、式守さんと和泉くん二人だけの卒業旅行。下の名前で呼び合うだけでも二人にとっては大きな一歩。にしても泉くんの下の名前の漢字がまぁまぁイカつかった。

物語は卒業式まで描かれて完結。まさか20巻も続くなんて思ってもいなかったな。連載お疲れ様でした。皆の未来に幸あれ!


金色のガッシュ!!2 2 / 雷句誠(クラーケンコミックス)

2巻はフォルゴレとキャンチョメが登場。ふざけているとしか思えない名前の敵が出てきたりするけど、気がつくと感動したしまっているこの感じ、懐かしいし大好きだ。

封印されたバオウの力や魔物を滅ぼすカードの役目、魔界に一体何が起こっているのか。まだ「ガッシュ」という概念自体に感動しているみたいなところは少なからずあるので、もう少し謎が明かされていったら嬉しい。

ガッシュが成長してもブリが好きだったりしていいな〜と思っていたらもう19歳でびっくりした。「ガッシュ・ベル(19)」の字面ってまぁまぁすごいな。ルフィと同い年。


ウィッチウォッチ 10 / 篠原健太(集英社)

モリヒトの昔馴染みの流浪の鬼・ランが登場。鬼と黒魔女の間に生まれたというランは、ニコを利用し、最強の黒魔女「寿羅」の復活させるという闇の目論みに加担すると言う。予言が指し示す皆既月食の日、災いが起こる(はず)

大台の10巻目で若干の進展あり。9割くらいはいつものノリだったけど(だがそれで良い)


逃げ上手の若君 10 / 松井優征(集英社)

アニメ化決定めでたい。関東庇番衆との女影原の戦いが決着。敵将たちの死に様が敵ながら皆天晴れだった。

死地を潜り抜けた時行たちの活躍はすぐに京へと伝わり、尊氏の耳にも入る。歴史は間違いなく動き続けながら次なる相手、足利直義との対決の時が迫る。


チェンソーマン 14 / 藤本タツキ(集英社)

アサとデンジの水族館デート続き。飢餓の悪魔により館内に閉じ込められてしまう。惚れた腫れたを気にして自己嫌悪に陥ってしまうアサとペンギン見たいだけのデンジ。どこまでも噛み合わない二人の掛け合いは普通に青春ラブコメとして面白い。


弱虫ペダル 83 / 渡辺航(秋田書店)

1年生レース決着。親友二人の想いを乗せた走りで峰ヶ山を制した六代はそのまま力尽き、まさかのDNF(リタイア)。レース自体は木中が勝利し幕を閉じた。

昨日の敵の今日の友ということで、この二人の間の蟠りが残らず晴れてチームメイトに。六代には寒咲さんからニューバイクが贈られてこれからインターハイメンバー入りへの猛特訓が始まるんだろう。六代に与えられたバイクのブランドが「CUBE」で、なんかピッタリだなと思った。


君は放課後インソムニア 12 / オジロマコト(小学館)

4月からアニメも放送中。地元のお祭り、みんなで”七つ橋渡り”、そして時は過ぎ、高校3年生へと進級。進路を本格的に考える時期を迎えたイサキは母親に大阪進学について説得し、みんなでオープンキャンパスを兼ねた大阪旅行へ。

物語的には高校卒業までだと思うけど、イサキとガンタはこのまま遠距離になっちゃったら寂しいね。


クジャクのダンス、誰が見た? 2 /浅見理都(講談社)

殺害された元警察官の父の遺した手紙を頼りに、弁護士と共に父殺しの犯人を探す心麦。その中で、父が過去に関わった殺人事件「東賀山事件」を追う雑誌記者に出会う。しかし、その記者から告げられたのは衝撃的な言葉だった……

過去と現在が複雑に絡み合い、真実は闇の中へと沈んでいく。


九龍城でもう一度 2 / 藤田三司(小学館)

高層スラム街を束ねる大家の涼真と付喪神のメイチー。涼真と幼馴染の人魚の歌姫・宵花シウファの登場により揺れるメイチーの心情

お仕事漫画からラブコメ漫画にスライドした感じはするけど、シンプルながら上質な三角関係でとても良かった。タイトルの「もう一度」が良い味を出している。

本誌では終わっちゃうみたいですね… 残念じゃ。


キミと越えて恋になる 4 / 柚樹ちひろ(集英社)

獣人を記事のネタとしか見ていない新聞部に目をつけられ、学園祭後のイチャコラをすっぱ抜かれてしまった万里と繋。これは獣人どうこう関係なく普通に恥ずかしいやつだ。

クラス内で作り上げた交友関係や雪広やキサラとの信頼関係。障害は多いけど、味方も多いこの現状で、心穏やかに過ごせるようになってほしい。雪広×キサラも良い雰囲気で最高。


大丈夫倶楽部 4 / 井上まい(レベルファイブ)

なんだかんだで結構ポンポン新刊が出る大丈夫漫画(?)。どんどん「芦川という人物を巡るSFミステリー」的な側面が強くなってきている気はする。それはそれで面白いけれど、もっとシンプルに大丈夫を突き詰めていってほしいなとも思ったりします。

自立型ハンモック欲しい。


フールナイト 6 / 安田佳澄(小学館)

九大博士と転花技術の関する偽造文書を巡り、激しい戦闘が繰り広げられる。転花院側も転花反対派側も内部でかなり分裂状態だから完全に勢力が二分されてるわけでもないのがだいぶカオス。

ヨミコの用意周到さは流石だったけど叶野の離脱は痛い。死ななかっただけよかったけど。そして空気すぎるトーシロー。次巻は遂に最重要人物・九大博士と接触か。


朱月事変 2 / 壱原ちぐさ(小学館)

霊術師試験に辛くも合格した睦月。研修生として霊術師の道を歩み始めた。家に残った初月の元には「婚約者」の玉兎が現れる。当主の座を狙う分家の兄弟たちの陰謀が渦巻く。

しょせん他人事ですから ~とある弁護士の本音の仕事~ 1~4 / 左藤真通・富士屋カツヒト・清水陽平(白泉社)

インターネットトラブルにおける訴訟沙汰を扱う弁護士漫画。3~4巻収録の男子中学生が悪ふざけで他人のゲーム配信を荒らしたことで訴えられるという内容が特に良かった。一応「未成年のネットトラブル」を扱った回だったけど、最終的に加害者も被害者も特に救いはない。荒らした中学生がただバカだったというだけ。それ以上でもそれ以下でもない「しょせん他人事」という現実が描かれている。

インターネットってやっぱり毒だなー、と最近改めて思う。Twitterとか今この瞬間に消えてなくってしまってもいい。まぁでも第二、第三のTwitterが生まれるだけか。


いとなみいとなめず 8 / 水瀬マユ(双葉社)

波乱の正月帰省から戻ってきた新婚夫婦の清と澄。邪魔者もいなくなり、久しぶりに原点回帰の「いとなみいとめていない問題」が発生。

清に対して若干の疑心暗鬼に陥る澄さんが遂にキレて清をホテルへ強制連行。もうこうなったら無理矢理にでもヤった方が良いぞ!


サクラ、サク。 7 / 咲坂伊緒(集英社)

陽希の幼馴染・葉月の存在が咲の気持ちを惑わす。陽希と二人でプラネタリウムを見て良い雰囲気になっても、陽希の口から告白までされても、陽希の心に葉月がまだいるのではという不安から抜け出せない。一方、咲への気持ちを確信した井竜はもう完全に押せ押せモードに。すれ違いしかない!

面と向かって告白してきた陽希に対して「それは違う」って言うの、それこそ違うって。関係各所集めて一回ちゃんと話し合った方が良い。


生徒会にも穴はある! 3 / むちまろ(講談社)

「ヒロインの性に疎い母親」の登場はもはやノルマなので、そこしっかり押さえてきたか、という感じ。正直あまり好きじゃないけど。親を変なネタキャラにするの、この界隈の悪習だな、と思う。

事務の先生のキャラクターと扱いもちょっとどうかと思った。ギャグ漫画だしこんなもんなのかもしれないけど、横領(贈収賄)とか普通に懲戒解雇か、良くても異動レベルな気がするんだけど私立学校だしいいのか。いいのか?

面白い部分もあるんだけど、気になるところも結構あってちょっと残念な感じ。おまけの豪華作家陣寄稿の4コマは豪華すぎたし、ガチのおまけの内容がガチガチだったのは100点。


SANDA 8 / 板垣巴留(秋田書店)

トナカイくんの役回りがいまいち謎でいまだに持て余している印象。死者復活能力まで持たせちゃったけど扱い切れるかちょっと心配。別に死者を復活させる話じゃないし。というか何の話だったっけ。最強のサンタになる話だっけ。

三田母やジャックオランタンの末裔が出てきたり、やっぱりなかなかうーんって感じだ。


兄だったモノ 3 / マツダミノル(GANMA!)

紙版の1巻と2巻が出たタイミングで、結局それらを買わずに新刊の3巻だけ電子版で読んだのに書き漏れてました。※2023年10月8日追記




総括・雑記

ということで4月に読んだマンガまとめでした。

今回はサムネの10冊+α→新作→その他という順番にしてみました。なんとなく良かったもの順っぽくしてみたけど、また戻すかもしれない(下に行くほど露骨に嫌な感想みたいになってしまったので)

今月は『これ描いて死ね』『サラウンド』と新作多数!って感じだった。「とよ田みのる月間」も勝手にやって勝手に楽しめた。『タケヲちゃん物怪録』『ラブロマ』は特に良かったです。大好きな作品がまた増えて嬉しい。

『サラウンド』は発売日まで特に存在も知らずに、表紙の雰囲気とタイトルがティンと来たので読んでみたけどこれがまた大正解だった。こういう何もないところから生まれる偶然の出会いみたいなものは、それなりにアンテナを張っていたら電子の海でも起こり得る。

4月から放送中の春アニメの豊作っぷりが本当に過去イチ豪華だということもこの場で言いたい。マンガ原作の大物がとにかく多い。

Annictより

『僕ヤバ』『推しの子』が同時期というだけでもうヤバいけど、個人的一番の出来なのはダントツで『スキップとローファー』です。

原作の良さが余すところなくアニメ化されていて感動。OPのダンスなんか可愛すぎて泣いちゃった。

まだ見られてない作品も多々あるし、今見ている作品も全て完走できるかはわからないけど、神クールになのは間違いない。

ちょっと余談ですが、マンガの映像化による一番の恩恵は「作品に音が付く」ことだと思っていて。主題歌然り劇伴然り、もちろんその作品のために書き下ろされる曲なので、オリジナルを読むときに聴くのが一番”ハマる”けど、意外と全然関係ない作品にもピッタリだったりして、そういうのを見つけるのが楽しい。

例えば今期だと『王様ランキング 勇気の宝箱』のOP『GOLD』が『タケヲちゃん物怪録』に妙に合っている(ように感じる)件。アップテンポでお祭り騒ぎっぽいメロディとか「心通っていても 心通っていなくても」の歌詞とか、なんかピッタリな気がする。

マンガと音楽のこの不思議な関係性(と呼ぶのかどうかもよくわからないもの)を勝手に味わうのが好きです。

気がつけばもう一年の三分の一が過ぎてしまったので、気を引き締め直してマンガを読んでいきたい。

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