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2021年3月の本棚

今月はほぼほぼ電子で買ってた。相変わらず紙か電子か安定しない。

ゆうやけトリップ 1巻 / ともひ(芳文社)

学校で噂の町内心霊スポットを取材することになった新聞部の茜は、放課後の教室に一人残っていたミステリアスな転校生の雨村さんと二人で坂の町を「寄り道」する放課後を過ごすようになる。
淡いタッチで描かれたキャラクターや背景が印象的で、夕焼けに染まる「宵の坂町」の町並みをあやふやに表現するために上手く機能していたと思う。ホラーテイストではありつつも、終始ふんわりと優しい雰囲気の漂う作品でした。


蟹に誘われて / panpanya(白泉社)

panpanya先生の作品は感想を言語化するのが自分の語彙力だと難しい。面白い・面白くないの次元じゃないのは確か。


乙嫁語り 13巻/ 森薫(KADOKAWA)

中央アジアの花嫁事情を美しく描く名作。折り返しの旅の途中、双子乙嫁ライラとレイリが暮らす漁村を再訪したスミス一行。双子のドタバタな「おもてなし」が可愛く可笑しく微笑ましかった。戦争の影も見せつつ、今まで同行してくれていた仲間たちとの別れもあり、若干の不安が残る終わり方ではあったけど次巻も楽しみ。
次回からは掲載誌が『ハルタ』から4月に創刊される『青騎士』へお引っ越しとのこと。レーベルも変わるのかな。


舞妓さんちのまかないさん 16巻 / 小山愛子(小学館)

青森へ帰省するキヨちゃん・すーちゃん・健太の3人。偶然が重なって新幹線で3人並びに座れた時のキヨちゃんの満面の笑顔がもう幸せそうで、幸せそうで。それぞれの実家でのいつもと違う姿を描きつつ、ラブコメもしつつ、穏やかな流れの割には感情が忙しい一冊だった。


ゆびさきと恋々 4巻 / 森下suu(講談社)

生まれつき聴覚障害を持つ雪とハイスペック高身長イケメン先輩の逸臣。雪の幼馴染の桜志が非常に鬱陶しいが、多分この二人の関係には問題ないはず。「少女漫画あるある」かもだけど、主人公カプより脇役カプの恋路の方が気になるやつ。りんちゃんと京弥さんもっとイチャイチャしてくれ。舞台化するみたい。


殺し屋は今日もBBAを殺せない 1〜3巻 / 芳明慧(小学館)

タイトル通り、殺し屋がBBAを殺せない漫画。一見ごく普通のひとり暮らしのBBAを毎話毎話腕利き(っぽい)殺し屋が暗殺しようとするも、全員見事に返り討ちに遭う。BBAの過去も気になるところだけど、ちょっと展開がワンパターンすぎるかもしれない。まぁそこはギャグ漫画って感じ。


怪獣8号 2巻 / 森下直也(集英社)

謎の人型怪獣の襲撃を受けるレノと伊春。カフカの力といい、謎が深まる巻だった。ジャンプラ最速100万部達成の話題作から目が離せなさそう。


フードコートで、また明日。 / 成家慎一郎(KADOKAWA)

優等生っぽい見た目から話しかけづらい和田とギャルっぽい見た目から話しかけづらい山本の二人の女子高生が放課後にショッピングモールのフードコートでひたすら喋るだけの漫画。ただただ会話をしているだけなのに漫画として成立しているからすごい。しょうもない無駄話ができる関係って実はとても貴重だよなと思う。


あした死ぬには、 3巻 / 雁須磨子(太田出版)

働き方や生き方を見直し始める更年期の女性たちの姿を丁寧に描いた作品。余命宣告を受けた仕事仲間の有岡さんの映画制作を手伝う中で特別な関係になっていく主人公・本奈さん。自身の体調の変化にも目を向けつつ、他人と付き合っていくのは正直しんどい気がする。
20代の時の無茶は40代で必ず返ってくるとか言うけど、自分の身体に異変が起きたらめちゃくちゃ焦るだろうなぁ、と。怖い怖い。


シャドークロス 1巻 / スガワラエスコ(集英社)

対人恐怖症の為、他人に触れられないスーパーの店員・赤城冬実(せきじょうふみ)が出会った相方不在の競技ダンサー・長尾忍(ながおしのぶ)。二人の人生が交わった瞬間から動き出す物語。目まぐるしい展開であっという間に読み終わってしまった。『春待ついばら めぐる春』以来のスガワラエスコ先生の作品ということで、それだけで堪らなく嬉しい。


葬送のフリーレン 4巻 / 山田鐘人・アベツカサ(小学館)

祝マンガ大賞受賞。勇者パーティーのエルフの魔法使い・フリーレンが魔王討伐後の世界で、勇者たちとの冒険の旅路を辿る物語。勇者ヒンメルたちと過ごした過去を今を生きるフリーレンが未来へ繋げていく構成が個人的には斬新で面白い。4巻は相変わらず物語が静かに進みつつも、僧侶のザインが本格的に旅に同行したり、フェルンとシュタルクがちょっと良い感じになったりしていた。


君は放課後インソムニア 1〜5巻 / オジロマコト(小学館)

不眠症(インソムニア)に悩む二人の高校生、ガンタとイサキは学校で物置と化していた天文台で束の間の眠りと秘密を共有する仲になる。友達以上恋人未満な二人の関係を描きつつ、天体観測についても結構きっちり取り上げられている。「眠れないから星を観る」という流れも素敵。
自分自身不眠症気味だから二人の気持ちがよく分かるし、5巻のラストで描かれていたガンタの「眠れない理由」は特にわかりみが深かった。能登半島へまた行きたくなる。

夜しか撮れない星空写真をさ、夜、眠れない俺たち二人が撮るんだぜ。なんかすごいよな。


ミステリと言う勿れ 1〜8巻 / 田村由美(小学館)

天パの大学生・久能整(くのう ととのう)が思っていることをズケズケと喋っていくうちに謎が解決していく、新感覚ミステリー漫画。これをミステリーを言っていいものなのかはわからん。整くんの知識、観察力、思考力、常識に囚われない姿勢から出てくる台詞の数々が登場人物はもちろん、読者にも突き刺さってくる。面白い。面白かった。


少年のアビス 1~4巻 / 峰浪りょう(集英社)

登場人物全員狂っている、この世の終わりを小さな田舎に凝縮したみたいな漫画。4巻まで読んで終始吐きそうになってた。漫画を読んでこんな気持ちになりたくないのにそれでも読まずにいられないおぞましい作品。多分誰も救われないんだけど、物語が最終的にどう着地するのか想像できない。

迎えに来たよ!黒瀬くん!


初恋ゾンビ 1~5巻 / 峰浪りょう(小学館)

『少年のアビス』の峰浪りょう先生の過去作品。本当に作者が同一人物なのか本気で疑ってしまうくらい作風が全く違う明るい少年漫画ラブコメ。
ある日突然、自分を含む男たちの「初恋相手」の幽霊(のような妄想)が見えるようになった男子高校生タロウ。自分の初恋相手は10年前に遊んだイヴという女の子で、その恋を成就させない限り、この幻覚症状は続く…と絶望していた矢先、転校生として現れたのは初恋相手のイヴの正体(原型)の指宿くんという美少年だった〜という内容。タロウの思考がちゃんとしていて、ウザさが全くなく、少年漫画のラブコメでありがちな「主人公が無理すぎる問題」がないところがまず良い。
続きが気になるので、最終17巻まで一気に買ってしまった。4月中には読み切りたい。


ふたりエスケープ 1・2巻 / 田口囁一(一迅社)

漫画家の後輩と無職の先輩があらゆるエスケープ(現実逃避)を試みる話。先輩が無職なんだけど、遊びの達人で、締切に追われる後輩をいつも救ってくれている。(締め切りは落としているので救ってはいない)彼女のような「現実から連れ出してくれる存在」が身近にいてくれるだけでありがたいよなぁとか思ったりしたけど、家に居座られるのはちょっと堪えられない。


いとなみいとなめず 5巻 / 水瀬マユ(双葉社)

真面目な26歳ポッチャリサラリーマン・清と高卒人妻・澄の清く澄んだ新婚生活を描いた作品。お祭りに行ったり、指輪を失くしたりと二人の関係をゆっくりと深めていく中、清の幼馴染の梓月の登場で一気に暗雲立ち込める展開に。24歳であのアプローチの仕方は正直キモいぞ…


フールナイト 1巻 / 安田佳澄(小学館)

太陽の光がなくなり、植物も枯れ果てた世界。人類は「転花」という技術で、死期の近い者を植物(「霊花」)に変え、そこから生み出される微量な酸素で生き延びていた。その中で「霊花」の声が聞こえる主人公トーシローはもがきなが生きていく。人として暗闇を生きるか、苦しみから解放され植物として生きるか。
圧倒的な画力で描かれるダークな世界が読んでて気が沈みまくるけど、設定も面白くて次巻が楽しみ。


トリリオンゲーム 1巻 / 稲垣理一郎・池上遼一(小学館)

破天荒でワガママなコミュ力おばけのハルと気弱なPCオタクのガクのコンビが1兆ドル稼ぐためにゼロから起業する話。『アイシールド21』『Dr.STONE』の稲垣理一郎の原作を池上遼一の画で描く目が回るようなインパクトのある漫画。


チ。-地球の運動について- 第3集 / 魚豊(小学館)

マンガ大賞第2位。地動説の証明の為、協力者を捜すバデーニとオクジーの前に現れたのは、女性への差別が当たり前の世の中に絶望する研究者の少女ヨレンタ。人ひとりの人生をかけても到底辿り着けない境地へと地道に、でも着実に近づいていっているような予感。堪らない。

この世は、最低と言うには魅力的すぎる。


ぽんこつポン子 9巻 / 矢寺圭太(小学館)

脳梗塞で倒れてしまったゲンジじいさん。心配に思った娘のさちよが東京から帰ってきて一緒に住むことになるが、自分の存在意義を見失いそうになってしまったポン子は姉ポン子と旅に出る。そして家が爆発する(!?)
次巻完結。寂しい。

私はあんなふうにカッコつけてる、ご主人様が好きですよ。


スキップとローファー 5巻 / 高松美咲(講談社)

福井県の田舎から東京の進学校に進学した美津未(みつみ)が周りの人に優しくしたり、優しくされたりする漫画。2巻発売くらいのタイミングで出会って以来、大好きな作品の一つです。

みつみと志摩くんの関係が少しだけ進展?したのも良かったけど、今回はみつみのクラスメートのゆづちゃんとまこっちゃんのエピソードとみつみの叔父兼叔母のナオちゃんのエピソードがメイン。派手なイベントが起こるわけでもなく、平凡に、のんびりと進む物語の中で不意に出てくる台詞の切れ味が本当に鋭い。今月とうとう全巻紙でも揃えてしまった。無敵。


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