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いろいろな樹脂「熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂」

どうも,のうむです。

今回は熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂についてお話しします。
高校化学で学ぶ2種類の樹脂ですが,なぜ性質が違うのかなどあまり詳しく載っていないと思います。

気軽に読めるよう簡単にまとめておりますので,本格的に学びたい方は成書をオススメします(笑)

そもそも樹脂とは?

そもそも樹脂とは何でしょうか?

語源としては「樹の脂(あぶら)」,つまり樹木から得られる分泌物に由来しています。
合成化学の発展以降,天然物に限らず合成で得られる高分子類も含まれています。

樹脂とプラスチック

のうむは高校時代,「合成樹脂=プラスチック」と思っていましたが厳密には異なります。

プラスチックは熱可塑性樹脂,即ち樹脂の一種になります。

熱硬化性樹脂

熱硬化性樹脂とは?

それでは本題に入ります。
まずは熱硬化性樹脂から説明していきます。

熱硬化性樹脂とは加熱することで固まる樹脂のことを指します。
加熱を中断しても元の状態には戻らず,固まった状態を維持します。

これだけ聞くと,加熱前は液体なのかと思いますが,加熱前でも固体の熱硬化性樹脂も存在します。

意味不明ですよね?
これは,熱硬化性樹脂が加熱すると固まるメカニズムを理解すればわかります。

加熱で硬化するメカニズム

簡単に言うと,熱硬化性樹脂は加熱することで化学反応が起こっています。

厳密には単一の樹脂分子のみでこのような綺麗な架橋構造を作るのは至難の業ですが•••

樹脂分子は鎖状部位と反応点(置換基)があります。
加熱をすることで,この反応点同士が反応し,網目状の架橋構造を形成します。

架橋構造は化学反応によって形成されるます。
多くの場合,脱離反応であり,不可逆反応です。そのため,温度を下げても元の分子状態に戻ることはありません。

鎖錠部位の構造や長さによって,樹脂分子は液状,固形いずれの場合も存在します。

熱硬化性樹脂の分類

熱硬化性樹脂は反応点(赤丸部分)でいくつかの種類に分類できます。
代表的な熱硬化性樹脂をまとめました。

実際はこれらの樹脂単体ではなく,他の樹脂や化合物と合わせて使います。
例えばエポキシ樹脂は酸無水物やフェノール樹脂と混ぜて固めています。

熱硬化性樹脂の用途

熱硬化性樹脂は固まれば元に戻らないという性質から,耐熱性,耐候性に優れています。
その性質から,接着剤や塗料などに用いられています。
また,近年は電子部品の封止材など,スマートフォンやPC,車など我々の身近なところで使われています。

熱可塑性樹脂

熱可塑性樹脂とは?

熱硬化性樹脂は加熱することで反応して固まる樹脂を言いました。

一方,熱可塑性樹脂は加熱しても反応せず,ある一定の温度を超えるとゲル化して液状になる樹脂のことを言います。

この一定の温度のことをガラス転移点と言います。
ガラス転移点は固形状態からゲル状態に変わる温度のことで,融点みたいなものです。

熱硬化性樹脂は反応で状態が変化するのに対し,熱可塑性樹脂は状態変化が起こっています。
加熱前はある程度規則正しく樹脂分子が配列していますが,ガラス転移点以上の温度では樹脂分子の自由に動き回れるため,ゲル状,液状に変化します。

つまり,熱可塑性樹脂は反応性が低い樹脂と言えます。
また,状態変化なので,冷却すると元の固まった状態になり,再度加熱することでゲル状〜液状に再変化します。

熱可塑性樹脂の分類

熱可塑性樹脂は多くの種類が存在しています。
簡単に言うと熱可塑性樹脂=プラスチックと言えます。

最後に

以上,簡単ではありますが熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂についてお話ししてきました。

教科書では種類と構造覚えてねと丸暗記に近い内容ですが,性質の違いをしっかり知っておくべきだと思います。

それでは,また。

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