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量子力学を概観する(1)「化学と量子力学」

量子力学は古典力学と並ぶ物理学の2本柱の一つです。
これらはミクロ/マクロの物理学として区別され,量子力学はミクロ=原子などの微粒子の運動を表すことができます。

本連載では,数式の導入などは行わず,量子力学とは何かを概観していきます。
学問の勉強というよりは手軽に読んでいただけるような読み物を目指していきます。

今回のテーマは「化学と量子力学」です。

量子力学とは?

まずは量子力学とは何かについてお話します。

量子力学とは,名前にある通り「量子の力学」です。
つまり,微粒子(=量子)の運動についての学問(=力学)です。

従来の古典力学では表すことのできない,つまり古典力学の限界を迎えたことにより誕生した学問です。
量子力学の誕生については次回詳しくお話していく予定です。

量子力学の大きな特徴は
① 連続性がないこと
② 粒子性と波動性を有すること

です。
これらについて簡単に説明していきます。

量子力学の特徴①:連続性がないこと

連続性がないこととは,微粒子のエネルギーなどはどんな値をとるのではなく,最小となる値の整数倍しかとりません。
わかりやすく言うと,最小単位である1電子が基準になるため,エネルギーは「1電子のエネルギー×電子の数」しかとりません。

量子力学の特徴②:粒子性と波動性を有すること

量子力学では,粒子(=物体)の性質と同時に波動の性質を持ちます。
古典力学では物体の運動(数学的には微積分が中心)と波の運動(数学的には三角関数や指数関数が中心)は別のものとして扱います。
量子力学では,古典力学では別物である2つがどちらも適用することになります。

化学と量子力学

では化学と量子力学の関係について見ていきましょう。

量子力学はすでに述べた通り,微粒子の運動についての学問です。
つまり,分子や原子の運動を記述する学問(=道具)が量子力学ということになります。

昨今の合成化学の分野では様々な分子が合成されています。
化学エネルギーから光,熱など様々なエネルギーなどに変換することで,私たちの生活の大きな変革をもたらしてきました。

ではその化学エネルギーはどのように見積もればよいでしょうか?

その答えが「量子力学」になります。

まとめ

今回は「化学と量子力学」ということで,量子力学とは何か,化学との関わりについてお話してきました。

今回は初回ということで,やんわりとお話していきましたが,次回から量子力学についてそこそこの深さでお話していきます。

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