これからの教育。学ぶことは自分を変えること

新型コロナにより子供の教育の機会が奪われることに危機感を持たれているお母さんがたくさんいるようだが、それについては杞憂だ。

むしろ、教育そのものを見直すいい機会ですらある。

従来、親が師匠であり、農家の子は親から農業のやり方を学ぶ、職人の子は親から職人の技を学ぶということを人々は古代からやってきた。
ところが、産業革命以降、大量に工場労働者が必要になったことで、公共教育が生まれた。

それを示すのが、以下の文章だ。
公共教育の目的（by　19世紀のイギリスの社会学者アンドリュー・ウール）
いったん成長期を過ぎてしまったら、農民の子でも職人の子でも、優秀な工場労働者に仕立てるのは不可能である。
若者を、あらかじめ産業制度用に育てられれば、あとの仕込みの手間が大幅に省ける。
すなわち公共教育こそ、産業社会には不可欠である。

工業社会の裏カリキュラム（by アメリカの未来学者アルビン・トフラー）
・時間を守ること
・命令に従順なこと
・反復作業を嫌がらないこと
この３つが、流れ作業を前提とした工場労働者に求められる資質である。

義務教育の目的は、知識の習得ではなく、集団生活を学ぶこと、工場での流れ作業員養成教育だったというのが現実である。

もちろん義務教育は万人が読み書きそろばんを習得するためにはある程度必要なことはみなが認めるところだろう。また、学校でしかできない学びとして、皆で協力して一つのことを成し遂げるということも大切だ。

一方で、資本家や大企業経営者にとって都合のいい従順な労働者育成プログラムという側面もあるのだ。

チャイムが鳴ったら席に着く、先生が前に立ったら静かになるとか、そういった訓練を積んでおくと支配階級の人達にとっては非常に都合がいいのである。

産業革命時代の頃から金持ちの子供は家庭教師を雇って、工場労働者用のプログラムとは別な教育をさせていた。そして、それは今も続いている。

これからは、AIとロボット化によってどんどん自動化され、従順な工場労働者的人材は必要なくなっていくだろう。それは最先端をいくAmazonなどの工場を見れば一目瞭然だ。

つまり公共教育そのものを変えないと、不必要な若者がたくさん生まれ、路頭に迷うだろう。

義務教育が受けられないことを心配するより、これからの時代、子供に何を教えてあげるべきなのかを考える時なのだ。

AIとITによる情報革命により、社会の仕組みが急速に変わっている。GAFAなどの巨大プラットフォーマーの出現によって、お金より評価に価値基準が移っていく時代だ。

隣の人と比べ、競争するのではなく、自分を成長させ、共同体の中で自分がどういった貢献ができるのか、そのためには何を学ぶべきなのかが問われるだ。

そのためには親も子供以上に学ばなくてはならない。
学ぶことは自分が変わることだ。
時代が急速に変わっているのだから、自分もしなやかに変えていく必要がある。

しかし、残念なことに、日本人の半数は全くといっていい程、読書をしない。

一方、急速に経済大国にのし上がった中国人は世界トップの読書量だ。

「日本人の読書量や読書時間が少ない」としてよく使われるソース（世界との比較）

本は知の宝庫だ。読書家で成功していない人はいるが、成功者に読書家でない人はいないと言われる。

産業革命で出遅れた日本を鼓舞するため、福沢諭吉先生は「学問のススメ」で国民が学ぶことこそが国の力になることを世に訴えた。

世界でも指折りの読書をしない国民に未来はあるのか？答えは否だ。

コロナ禍で自粛をして時間を持て余しているなら、スマホやゲームに興じている場合ではない。ましてやパチンコなんて論外だ。

学ぶことは自分を変えることだ。

今、日本人一人一人が変わらなければ日本に未来はない。